里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

ヒカゲノカズラの胞子嚢穂

2017-03-06 | 日記
一関市花泉町永井地区の、丘陵上の林道法面に自生していたヒカゲノカズラに、
太クギの先端のような形状の、胞子嚢穂が出ていました。
今年になってから何度も見ているヒカゲノカズラですが、今までは胞子嚢穂を
見ませんでしたから、今が出穂時期なのでしょう。




                             二枚とも2016.7.8撮影

ヒカゲノカズラの胞子は石松子(せきしょうし)と言い、ごく微細なサラサラとした
淡黄色の粉末です。リコポジウムオレイン酸を主成分とする脂肪を50%ほど含んで
いるため、湿気を吸収しない、流動性が極めて高い、相互に付着しないなどの特性
があります。かつては丸薬の衣にしたり、皮膚病薬のパウダーとして股ずれ・湿疹に
外用したり、止血剤として傷口に振掛けたりしたようです。
現在用途の多いのは果樹の人工受粉用で、貴重な花粉の増量剤として使われています。


                                 2016.7.8撮影

ヒカゲノカズラ科ヒカゲノカズラ属の常緑羊歯植物で、北海道~九州に分布する。
丘陵や山地の明るい林縁や林床、草地や道路法面に自生する。
長く地を這う主軸は叉状分枝しながら2mほどの長さになり、所々に根を生じる。
これから枝分かれして、斜上~開出する側枝は更に数回分枝し、小葉を密生する。
小葉を含めた太さは5~10mmほど、主軸~小葉の各部位とも緑色。
7月頃、斜上する側枝から長さ5~15cmの総梗(ソウコウ)を直立させ、先で分岐して
長さ3~6cmの円柱状の胞子嚢穂を数個付ける。
胞子嚢穂は9月に黄褐色に成熟し、胞子嚢が破れて黄色い胞子を放出する。



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