索引 名著146「心の傷を癒やすということ」精神科医・安克昌
死者・行方不明者の数が6400人を超え、甚大な被害をもたらした阪神・淡路大震災。
あの日から30年の歳月がたとうとしています。
復興は大きく進み、その物理的な爪痕はほぼ消えつつありますが、今なお心の傷を負い、死別や喪失の痛みを抱えて苦しんでいる人たちが数多くいます。
また、ちょうど一年前に起こった能登半島地震の爪痕は今も大きく残り、人々への「心のケア」が大きな課題として残っています。
そんな中、静かに読みつがれている一冊の本があります。
「心の傷を癒すということ」。
自らも阪神・淡路大震災の被災者である精神科医・安克昌が、自らの被災体験、救護活動を克明に記録し、被災者にとって何が最も大切なのか、
どんなサポートが必要なのかを徹底して考え抜いた思索の結果を記した名著です。
「100分de名著」では、阪神・淡路大震災から30年目を迎える2025年1月、この本に新しい光を当てることで、現代の私たちに通じるメッセージを読み解いていきます。
阪神・淡路大震災で被災者たちが体験したのは、ずっと続くと信じられていた日常が、ある日突然奪われてしまうということでした。
「かけがえのない日常を根こそぎにされた人々」「たまたまその場にいあわせなかったために愛する人と二度と会えなくなった人々」…そんな痛切な体験をした人たちは、その後も長い期間「心の傷」を負い続けます。
しかし、物理的な復興は見えやすいが、心の傷は見えにくいもの。精神科医・安克昌は、その問題に真摯に向き合い続けました。
医療人類学者・精神科医の宮地尚子さんは、彼が著した「心の傷を癒すということ」は、私たちが見失いがちな「心の傷の問題」や「心のケア」の大切さを、いろいろな言葉で、今も問いかけているといいます。
HAUSER - Ave Maria
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