弱い紐帯の強さ(よわいちゅうたいのつよさ)
価値ある情報の伝達やイノベーションの伝播においては、家族や親友、同じ職場の仲間のような強いネットワーク(強い紐帯)よりも、
ちょっとした知り合いや知人の知人のような弱いネットワーク(弱い紐帯)が重要であるという社会ネットワーク理論のこと。
1973年に米国の社会学者マーク・S・グラノヴェター(Mark S. Granovetter)が『strength ofweak ties』という論文で示した仮説で、
企業と労働者のジョブマッチング・メカニズムを明らかにするための実証研究に由 来する。
調査は1970年、米国ボストン郊外のニュートン市に住む282人の男性のホワイトカラーを対象に行われた。
このうち、56%が人的ネットワークを用いて職を見つけ、
しかも同じ人的ネットワークでも弱いネットワークから得た情報で転職した人の方が満足度などが高いことが分かってきた。
これは求職者自身を含む強いネットワーク内の情報は相互に既知のものであることが多く、
対して弱いネットワークから得られる情報は求職者にとっては未知の、重要なものであるためだという。
グラノヴェターによれば、弱い紐帯は強いネットワーク同士をつなげる“ブリッジ”として働き、情報が広く伝播するうえで非常に重要な役割を果たす
強い紐帯によって構成されるネットワークは同質性や類似性が高く、強い紐帯ばかりを重視すると求心力ばかりが働き、
そのネットワークは孤立化を招くことになる。
情報伝播や相互理解を促進するためには、弱い紐帯が必要なのである。
また、弱い紐帯によって伝達される情報や知識は、受け手にとって価値が高いことが多い。
強いネットワークの内部では接触こそ頻繁だが、たわいない話題などを交換しているだけのことが多
いのに対して、弱い紐帯では関係性が弱いにもかかわらず連絡を取るほど、伝達内容は重要なのだということができるだろう。
恋する日本語 小山薫堂
the cafe mozart waltz / anton karas
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