難関大学・数学の発想のしかた(さくら教育研究所)(SKREDU)

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整数論の華である類体論

2016-01-10 | 日記

整数論の華である類体論は、高木貞治が発表し、アルティンによって完成した理論です。 数学は自然科学の王であり、整数論は数学の女王であるといわれていますが、整数論の中でもとりわけ類体論は極めて美しい理論です。 しかしながら、類体論を理解するには、最低限、郡論/体論/ガロア理論が前提となります。

そもそも、整数論は、方程式の整数解を求めるところから始まりました。古代ギリシャ時代より直角三角形がピタゴラスの定理( $ x^2+y^2=z^2$)を満たすことは知られていましたが、このピタゴラスの定理を満たす整数解が無限にあることも知られていました。 

方程式の整数解を求める場合に、有効な方法の1つとして、方程式の$ pmod{p}$をとる方法があります。$ pmod{p}$とは、$ p$(素数)で割った余りを考えるということです。フェルマーは$ pmod{p}$の世界において、多数の法則を発見しましたが、オイラーは更にそれを一般化して平方剰余の相互法則を発見し、ガウスが証明しました。 平方剰余の相互法則とは、2次方程式を$ pmod{p}$した場合の解の有無を記述する美しい法則です。 $ pmod{p},pmod{q}$の間に美しい調和があることが分かります。更に、それを一般化したものが、高木貞治に端を発する類体論です。 

類体論の入門書については、既に、多数の良書があります。にもかかわらず、なぜ、類体論の入門を記載する気になったのか、1つには郡論/体論/ガロア理論を知らない高校生/社会人に少しでもこの美しい理論を知ってもらいたかったからです。もう1つは、方程式の解の有無という整数論の原点に立ち返って類体論を記述したかったからです。 

方程式が$ pmod{p}$で解けるか否かは、クンマーらの努力により、素イデアルの分解と同値であることが示されました。そこで、古典的類体論は、アーベル拡大における素イデアルの分解の法則を示す理論になります。しかし、素イデアルの分解は本来方程式の分解に対応するものです。方程式の分解を通じて類体論を記述したい、そんな素朴な想いにより書き始めました。 

できるだけ高校生に理解できるよう、群論やガロア理論を知らない人にも読めるように記載していくよていです。といっても、これらを丁寧に解説しようとすると1つ1つで本ができてしまいます。群論やガロア理論は基本書が多数出ていますので、できるだけ簡単な基本書を1冊読まれることをお勧めします。


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