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フェルマーの小定理を証明する

2024-04-25 | 日記

フェルマーの小定理を証明する

フェルマーの小定理を証明するやり方は、何通りか考えられていますが、ここではそのもっとも簡単なものを使って、この式を自分で再現してみましょう。

 
まず、小定理の定義に合うように、割り数/法としてなにか適当な「素数」をとり、それがとりうる余りを全部列挙します。たとえば「5」をとってみましょう。

フェルマーの小定理の証明

余りは上のように、1から4までの、5より1小さいところまでの整数が並びますね。次に、この列に5とは公約数を持たない(「互いに素」である)別の適当な整数を掛けてみます。たとえばそれを「7」としましょう。

フェルマーの小定理の証明

そのうえで、このあらたにできた数の列について、それぞれ除数に対する余りを考えますが、このとき次のことがいえます。それは上の「?」に入る余りは、順番は分からないが1から4までの余りのどれかが1回づつ入る ということです。

なぜでしょうか。理由は、もしもこのパターンのうち、どれかふたつの余りが同じ数で一致するなら、以下の合同式が成立しますが、この式は7が5と互いに素であるという条件から、合同式の割り算の公式が適用できますので、そこで矛盾になるからです。

フェルマーの小定理の証明

また、5が素数であり、7とも互いに素であることから、余りが0である(左辺が5を約数に持ち、5で割り切れる)可能性もありません。従って、上の「?」の部分の余りは、それぞれすべて違う値であり、式は4つですので、法の5がとりうる4つの余りがひとつづつばらばらにどこかに入ることになります。実際に計算してみると、

フェルマーの小定理の証明

となります。以上を踏まえたうえで、次にこの合同式の辺々を積の公式を使って全部掛け合わせます。すると、

フェルマーの小定理の証明

となり、あとは、また合同式の除法の公式を使って共通部分を割り算すれば、あら不思議、フェルマーの小定理の公式のできあがり、というわけです。この話が成り立つポイントは、上からわかるように、除数が素数であり、累乗される基数とも互いに素(coprime)であることです。その条件が維持されれば、5と7以外のどんな数のセットでも、同じように成り立ちます。

それから、フェルマーの小定理とは直接関係はありませんが、数学の中では、上記のように、ある整数をひとつづつ減らしながらすべて掛け合わせる という計算がときどき出てくることがあり、このパターンの計算をあらかじめ決めておくと便利です。この計算を「階乗(factorial)」と呼び、感嘆符(ビックリマーク)を使って次のように表します。

階乗

この階乗の表現を使うと、上の最後の式は、以下のようにすっきりと表現できます。

フェルマーの小定理の証明

素数は自身と1以外の因数を持たず、従って、そこから 1 引いた数の階乗とは互いに素ですので、上記の合同式はその条件を満たせば常に階乗の部分を払えます。