素振りブログ。

一般でスピーチできる話の素振りのはずなのに、無理な話がほとんどのブログ。

新年最初の日記

2017年01月05日 05時34分40秒 | 日記
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

正月休み中に、押切蓮介先生の作品「ゆうやみ特攻隊」を読了しました。
面白かったですわ。

特に終盤の戦いは熱い。
弱い人間が自分を奮い立たせて、強大凶悪な敵に立ち向かうために必要なものは、そいつ個人の憎しみや恨みでは無い。
数えきれない人の願いや祈りだ、っての。

ゆうやみ特攻隊は、心霊現象の解決で小金を稼いでいた高校生が、とある偶然から日本社会から隔離され、無法地帯状態になっている魔の島「黒首島」の存在を知り、島に乗り込み、島を支配し神と崇められている大悪霊ミダレガミと対決する。
そんな内容の漫画で。

終盤の展開が熱くてね。
最後にミダレガミの前に立ったのが、物語開始時から無敵状態だった幽霊を殴り殺せる女子高生・花岡隊長では無く、物語開始時に弱く根性無しだった少年・辻翔平だってのが。
まぁ、主人公なんだけどさ。彼。
だったら主人公なんだからそうなるのは当然だ、と言われればその通りだし、それまでだとも思うんですけど。

彼、戦いの中で心が鍛えられて、マッチョになった結果、そうなった、ってのじゃ無いのがいいんですわ。

それはミダレガミのために蹂躙された他人の痛みに共感し、願いを背負った結果。
ようは底抜けの優しさと義憤で強くなったってわけです。

自分ひとりの恨みで戦おうとしたとき、彼は無力で。
そうではなく、数えきれないほどの人々の祈りや願いを受けて戦おうとしたとき、彼は無双状態になる。
まぁ、そういう能力をおそらく謎の神・うつぼ神に与えられたんだと思うんですけど、そこは重要なところじゃ無いよね。
(そういう能力になったの、他人の痛みに共感できる彼の優しい性質に見合った結果、と思うこともできるし)

巨悪に蹂躙された人々の願いと祈りが、ちっぽけな人間・翔平に願いを託し、その願いを受けて大悪霊・ミダレガミに立ち向かう。
この熱さ。実に爽快。

自分一人の恨みや呪いで戦うなら、その気力は最後まで続かず、自分を超えた力を出すことなど不可能。たかが知れている。
しかしそれが数えきれない人々の祈りと願いの結果だったならどうか。

いくらミダレガミが強くとも、それが自分たちだけを哀れみ、恨み、呪った結果であるならば。
数えきれない人の願いや祈りを背負った翔平に勝てるはずがない。

熱いねぇ。

戦いの決着がつき、ミダレガミに取り込まれた犠牲者の魂が天に昇って行くシーンの美しさは、そこに至るまでの熱さのせいか、ハンパなかったですわ。
トーンを一杯使って魂の輝きを表現してましたけど。
やはりそこに至るまでどういう物語を持ってくるか。そこが大事ですよね。