ときめ句ノスタルジッ句昭和親父の温故知新

思うままに、俳句と唄を、昭和の匂いをぷんぷんさせて。

秋刀魚の味

2019-04-13 | 昭和の親父



 小津安二郎の「秋刀魚の味」を観ました。ずっと前に一度観て、今回が二度目だったけど、より深く味わえた気がするのです。まさに秋刀魚の味です。地味な、よくあるストーリーかもしれないのだけど、やはり小津安二郎だからこそ描けたいい味が出ていると思います。ヨーロッパで人気があるとか。秋刀魚の味わかるんですかねえ。

 妻に先立たれた、もう初老近い男(まだ定年になってないから60前でしょうか。昔の人は10歳フケて見えます。)が、息子(次男。長男は結婚して別に住んでいる。)年頃の娘と暮らしていて、妻を亡くした後、父の世話を、家庭の事をずっとして来た娘を嫁に出すまでの話です。いつの間にか家庭の事を娘に頼り切っていた、この初老の主人公を笠智衆が演じています。娘役は、まだ若い(デビューした頃だろうか。)岩下志麻。
俳優の名前をあまり知らないから、ここに書けないけどチョイ役でも、後に大物俳優となった人がほとんどではないでしょうか。
 1962年、小津安二郎の最後、遺作となった作品です。
この映画に出て来るバーや飲食店の、シンプルな文字の看板がまた良いんです。僕の好きな場面でもあります。
中学を出てから級友もみんなそれぞれ地位ある暮しぶりのようで、集まってよく飲んでは他愛もない色気話や日常の会話をします。そこへ恩師を招待します。その先生役が、東野英治郎です。しかし、定年後の、ひょうたん(先生の、あだ名)は落ちぶれていました。主人公と同じく、妻に先立たれて、今は娘と中華屋をして生活しています。ゆとりのない生活のため、娘をとうとう嫁に出しそびれて。
この娘役が若い時の沢村貞子です。後に味ある女優になりましたね。

 当時の団地の生活ぶりも見れて、電気釜とか懐かしいですね。
僕は落ちぶれた先生役の東野英治郎が、今回みて、より好きになりました。秋刀魚のはらわたのほろ苦さです。



春愁や「秋刀魚の味」のほろ苦さ