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森の詞

元ゲームシナリオライター篠森京夜の小説、企画書、制作日記、コラム等

日々の生物(ナマモノ) 第28回

2008年12月12日 | 日々の生物(ナマモノ)
Q:「ツバメは元の巣に戻ってくるけど、あれはその家で生まれたオスが花嫁を連れて戻ってくるの? それとも早い者勝ち?」
A:「ツバメは地元結婚で、新郎新婦はダンナの実家の近くに新居を構えます」

 ご存知の通り、ツバメは人家に巣を作ります。夏に日本(温帯)で子作りをし、冬は暖かな場所(台湾、インドネシアあたり)で過ごします。
 ツバメの生態におけるポイントは、移動することに加えて、
①夏になると同じ場所に帰ってくる(帰巣性を持つ)
②ケンカにとても弱い(※1)
 ことがあります。ツバメが人家に巣を作るのはヒナや卵を狙うカラスなどの敵を避けるためと考えられています。ツバメは田畑の害虫を捕食する一方、農作物には被害を与えないので、人間と共存関係にあると言えます。
 ツバメがいつから人間の側で暮らすようになったのかは不明ですが、「竹取物語」で「燕の子安貝」を巣に取りに行って転落死した人(※2)がいましたから、平安時代前期には確実に暮らしていますね。

 ツバメの平均寿命は2~5年程度とされています(最長記録は15年だとか)。
 戻ってきて前年に使った巣が残っていればそれを使います。巣がなくなっていたり、別の個体が使っていれば近くに新しく巣を作ります。前年度の巣を使うのは省エネのためだと思われますが、巣を巡って戦ったりはしないようです(ケンカが苦手だから)。
 戻るときは親と子供が一緒に戻ることになるわけですが、基本的に巣は親個体が使うようです。子供はその付近に新しく巣を作るか、空いている巣があればそれを使います。
 ツバメは冬の前に付近の個体が集まって団体(数千羽単位になることも)で南に渡り、また戻ってきます。この際、オスの方が数日早く帰ってきて、後から来るメスを誘います。パートナーができるとオスが巣を作る場所に連れて行くので、必然的に新居はオスが生まれた場所の近くになります。と言っても、メスの実家もあまり離れていない場所にあると思いますけど。

 ちなみに帰巣性は色々な生物にありますが、意外な所では「ゴジラ」がいます。ゴジラは(正確には、そのモデルとなった恐竜は)渡り鳥のような移動を行い、日本がそのルートに含まれるらしいのです(※3)。
 劇中で説明されたところによると「ゴジラが日本にばかりやってくるのは、日本に帰巣しようとするから」だそうです(な、なんて迷惑な!)。
 恐竜を含めた「は虫類」は鳥の近縁なので、似た生態を持つ可能性は実際にあります。映画「ジュラシック・パーク」の原作小説でも、恐竜の「渡り」の可能性が語られていました。


※1
この前、テレビを見ていたら、ミツバチを食べようとして逆に負けていました。弱いです。
※2
竜と戦いに行ったわけでも、かぐや姫を騙そうとしたわけでもないのに唯一死んだ人。
※3
ゴジラは恐竜が被爆して生まれた怪獣です。ゴジラの帰巣性は「なんでゴジラは日本ばっかり来んねん」というツッコミに対する言い訳ですが、その帰巣性を利用して撃退する話もあります。

日々の生物(ナマモノ) 第27回

2008年12月10日 | 日々の生物(ナマモノ)
物質編


Q:「ホタルはどうやって光っているのですか?」
A:「悪魔みたいな名前の物質を使って光ります」

 ホタルは尻にある発光細胞で「ルシフェリン」という物質を作ります。これにルシフェラーゼという酵素が反応すると光を放ちます。ウミボタルとか、発光するイカの多くも同じ原理で光ります。
 ルシフェリンの語源は「ルシファー(ルシフェル)」です。これは「光を帯びる物質」という意味のラテン語ですが、明けの明星(金星)の意味でも用いられます。
 まあ、悪魔サタンの別名としてのほうが有名でしょうね。ファンタジー系のRPGや漫画で一度は目にしたことがあると思います。冥界の神(プルート)にちなんで名付けられたプルトニウムは原子爆弾の材料ですが、悪魔の王の名前を持つルシフェリンは光るだけで、実に平和的ですね。
 ちなみにルシフェリンは製造が難しいらしいですが、身近に同じ原理で発光する製品があります。ジャニーズ系のコンサートなどでファンの女の子が振り回している、光る物体。基本は棒状で、ペキペキ折り曲げると蛍光の光が出る「ケミカルライト」がそうです。
 あれは内部に発光物質と発光させるための物質が分離して入っており、折り曲げると二つが混ざって発光します。内部の蛍光物質を使い切ると反応が終わるので、数時間だけ発光します(使い捨て)。


Q:「バファリンの半分は何でできていますか?」
A:「緩衝制酸剤ダイアルミネート」

 バファリンはアスピリン(アセチルサリチル酸)という鎮痛剤を改良した製品です。
 アスピリンは世界で最も多く飲まれている鎮痛剤なのですが、飲むと胃が荒れる場合があります。それを抑えるための成分(緩衝制酸剤ダイアルミネート)を加えたのがバファリンです。
 ちなみに薬の作用を和らげるために入れる物質のことを「バッファー(緩衝液)」と言います。
 バッファーの入っているアスピリン→バファリン……ということですね。
 つまり、バファリンの半分は(飲んだ人の胃が痛まないようにという製薬会社の)優しさでできているわけです。

日々の生物(ナマモノ) 第26回

2008年12月09日 | 日々の生物(ナマモノ)
海産物編-3


Q:「貝はどうやって呼吸していますか?」
A:「水中の貝はエラ。カタツムリ、ナメクジは肺」

 貝は基本的にエラ呼吸です。ただし、魚のように体の表面からは見えず、水管という管の奥にあります。
 アサリを食べるときに貝から黒っぽい管が2本飛び出ているのを見たことがあると思いますが、あれが水管です。目ではありません。
 アサリは一方の水管から水を吸い込んでエラへ送り、もう一方から吐き出します。また、水を吸い込むついでに餌も取り込むそうです。我々が呼吸と食事の両方に口を用いるのと同じですね。
 イカやタコなどの軟体動物は貝に近い仲間で、貝と同じくエラと水管で呼吸をします。スミは水管から吐き出しますし、水を勢いよく吐き出すことで素早く泳ぐこともできます。
 カタツムリやナメクジも貝の仲間ですが、これらの陸上生活を行う貝はエラではなく肺で呼吸しています。

 ここからは余談。
 エラから肺への切り替えは魚類でも起こり、肺を持った魚が現れ、それが両生類に進化して陸上に進出しました。意外と知られていませんが、現在の魚類は肺とエラの両方を持っており、肺で呼吸することのできる魚もいます。とはいえ大半の魚は肺を「浮き袋」へと変化させており、呼吸器として使われている例はごく少数です。
 魚が肺を持つに至った経緯については、川などの淡水域に魚が進出した際、海水での呼吸に慣れた従来のエラでは呼吸が困難だったために補助的な器官として肺が形成されたとされています。後に肺を持つ魚が世界中に広がり、現在の魚の祖先になったそうです。
 ちなみに現在の淡水魚はエラだけしか使っていません。

日々の生物(ナマモノ) 第25回

2008年12月08日 | 日々の生物(ナマモノ)
海産物編-2


Q:「フジツボって何の生物ですか?」
A:「引きこもっているカニ」
 
 フジツボって知ってますか? 海の岩場に沢山くっついている富士山みたいな生物です。貝のように見えますが、カニやエビと同じく甲殻類に属する生物です。
 カニやエビが殻を作って、その中に引きこもっている生物と考えてください。ガチャピンの内部構造は不明ですが、フジツボの中身はカニです。とは言え、内部の生物にカニの面影はありませんけど(貝みたいです)。
 どう見ても貝なので、昔は生物学者も貝の仲間と考えていましたが、その生涯を調べてみることでカニの仲間ということが判明しました。貝は生まれた時から貝殻を持っていますが、フジツボの幼生は貝殻を持たず、カニの幼生とそっくりなのです。
 フジツボは生まれると海中を泳ぎ、そのうち岩など(船底や大きな生物の体など)に付着し、殻を作って引きこもり生活を始めます。

 フジツボは非常に美味とされています。売っていれば一度食べてみてもいいでしょう。

 フジツボと言えば、有名な都市伝説があります。
「海で転んで、フジツボで足を切った男の体内にフジツボが繁殖した。フジツボの卵が傷口から体内に入ったのだ」というものですが、全くの作り話です。
 これはフジツボの幼生が海中を漂うことに基づく作り話ですが、もし幼生が傷口から侵入しようとしても、
①体内には免疫機構があるので排除される
②血液の浸透圧(塩分0.9%)は海水(約3%)より低いので幼生の体が破裂する
 という理由で生存は不可能です。
 そもそもフジツボの幼生はゾウリムシよりちょっと大きいくらいの大きさです(0.2~0.4mm)。この大きさの生物が体内に入り込むことはありえませんし、入り込めるとすれば他の生物も入れるはずです。
「池で足を切ったら、体中にゾウリムシやミドリムシが大繁殖!」
 という話は聞いたことがありませんから、たぶんないのでしょう。

日々の生物(ナマモノ) 第24回

2008年12月07日 | 日々の生物(ナマモノ)
海産物編-1


Q:「ザリガニはエビですか? カニですか?」
A:「ザリガニはザリガニだけど、どちらかと言えばエビ」

 ザリガニは地方によっては「エビガニ」と呼ばれているくらいカニともエビとも判断しにくい生物です。
 ザリガニはカニやエビと同じく甲殻類に分類されます。前回説明したミジンコやカブトエビ、ダンゴムシなども甲殻類です。その中でカニやエビ、ヤドカリ、ザリガニは「エビ亜目」というグループに含まれます。
 更に「形はエビっぽいけど、大きなハサミを持っている生物」を集めたのが「ザリガニ下目」で、その名の通り、ザリガニはここに含まれます。「ザリガニ下目」には他にロブスターなどがいます。
 と言うわけで、ザリガニはザリガニ下目を代表する生物なわけですが、どちらかと言えばエビに近い生物になるようです。納得いかない人はエビガニと呼んでください。これが一番、正しい気がします。
                                    

※補足(名前の由来)
 ザリガニと言えば外来種のアメリカザリガニが有名ですが、ニホンザリガニなど、日本に昔からいる種もいます。古くは「シャリカニ」とか「居ざりガニ」と呼ばれていたようです。
 これらの呼び名は、1)居ざるように歩く(後ろ向けに進む)ことから居ざりガニと呼ばれていたのが訛ってザリガニになった、2)体内にある胃石(カルシウムの貯蔵用)が仏舎利に保管されている骨を連想させることからシャリカニになった、など諸説あります。
 なんでカニなんだという気もしますが、昔は川に住んでいれば何でもカニと呼んでエビと区別していなかったのではないかと思います。ハサミも大きく、体も赤いですからカニに見えなくもないですしね。

日々の生物(ナマモノ) 第23回

2008年12月05日 | 日々の生物(ナマモノ)
ゲテモノ編-2


Q:「カブトエビとカブトガニは何が違う?」
A:「カブトエビはミジンコの仲間。カブトガニはクモの仲間」

 カブトガニはともかく、カブトエビって知ってますか? 田んぼとかにいる生物です(左の写真)。私が小さい頃に「シーモンキー」という生物の飼育セットが売っていましたが、これの一種です。
 カブトエビは甲殻類という分類群に属します。甲殻類は節足動物の1グループで、節を持った体と足をしています(昆虫も節足動物です)。甲殻類には勿論、エビやカニが属するわけですが、微生物として有名なミジンコもこの仲間です(中央の写真)。


 カブトエビは甲殻類の中でもミジンコに近いとされています。生物の分類とは見た目だけでなく、内部構造の特徴や生態を基準に分けますので、意外な物が同じ分類群に属していたりします。

 カブトガニ(右の写真)も節足動物の一種なのですが、甲殻類とは違う生物です。ただ見た目がカニっぽいので、カブトガニという名前がついています。
 詳しく分類するとクモやサソリに近い生物らしいのですが、カブトガニは節足動物の中でも古い時代に現れた種で、5億年前には既に現在の姿で生きていたと言われています。シーラカンスなどと同じ、生きた化石というやつですね。
 ちなみにカブトガニは日本では天然記念物に指定されていますが、東南アジアでは食用にされています。ある先生に聞いた話では北九州でも食べるそうです。
 ただし、かなり不味いそうです。

日々の生物(ナマモノ) 第22回

2008年12月03日 | 日々の生物(ナマモノ)

 今回はあまり好かれてはいない生物に関する質問。

ゲテモノ編-1


Q:「ゴキブリを人間の大きさにすると、時速何キロで走りますか?」
A:「270km/h」

 東工大のゴキブリに関するホームページによりますと、現実のゴキブリは時速5~6キロで走ることができるそうです。これを人間の大きさに換算しますと、一秒間に自分の大きさの50倍の距離を移動できるので、約時速270キロの速さになるそうです。
 他の記述を調べてみても、ゴキブリのスケールスピード(人間大での速さ)は時速300キロくらいにはなるようです。
 新幹線の速さで突進してくる人間大のゴキブリ……丸めた新聞紙では勝てませんね。
 
 この手の「もし昆虫が人間のように大きかったら、人間では太刀打ちできない」という話はよく出てきます。この前もある格闘漫画を読んでいたら「体重100kgのカマキリがいたら、アフリカ象より強い」という話が出てきました。でも、このような考えは、あくまで計算上の話です。
 昆虫は骨の代わりに外骨格で体を支える生物ですが、外骨格の生物は脊椎動物(骨格のある生物)程には大きくなることができません。現在の地球で最大の節足動物は「タカアシガニ」で、体長2mを超えますが、ほぼ足のみの大きさです。おまけに海中に住んでいるので、浮力に支えられています。
 1m以上の昆虫は未だかつて地球上に存在したことはありませんし、構造上、不可能です。昆虫は体重の割に筋肉が強いので(と言うより体が軽い)、人間の大きさに直すととんでもない数値が出てきますが、現実として新幹線より速く走るゴキブリは出現しないので安心してください。


Q:「ミミズに目はありますか?」
A:「ありませんが、光は感じ取っています」

 ミミズは地下生活をしているので、無駄な器官はいっさい省いた形をしているのですが、体表には光を感じる視細胞を含んだ小さな眼点が散在し、光の方向を感知することができます。
 なので地上に出てくる際に迷うことはありません。

日々の生物(ナマモノ) 第21回

2008年12月02日 | 日々の生物(ナマモノ)

ペット編-2


Q:「オオカミと犬は何が違う?」
A:「あまり変わりません」

 イヌは1万5千年ほど前にオオカミから分かれたとされ、オオカミの子供が人間に飼われるようになったのが始まりと考えられています。オオカミは元々集団行動をする生物なので、飼われることには抵抗がないようです(小さい頃から始めれば)。
 イヌは最も古くに家畜化された動物とされ、飼われるようになってから様々な品種が作られ、現在に至ります。ですが、完全にオオカミと分かれたわけではないようですし、雑種も作れるようです。ただ日本では野生のオオカミは絶滅しており、いるのは家畜化されたイヌだけになります。


Q:「ウーパールーパーは何なの?」
A:「足の生えたオタマジャクシ(色白)」

 ウーパールーパーの和名は「メキシコサラマンダー」か「メキシコサンショウウオ」になります。和名からわかるように、イモリやサンショウウオを含む両生類……つまりはカエルの仲間です。
 普通、両生類はオタマジャクシから手足が生えて成体(カエル)になりますが、ウーパールーパーは「オタマジャクシに手足が生えた状態」で成長が止まってしまったのです。
 両生類はオタマジャクシではエラ呼吸、成体になると肺で呼吸をしますが、ウーパールーパーはエラ呼吸のままです。このような現象を幼形成熟(ネオテニー)と呼びます。
 
 ちなみに大抵の両生類が白くないようにウーパールーパーも本来は黒いのですが、突然変異で生まれた白い個体が好んで飼育され、現在のウーパールーパーになりました。自然界には「黒いウーパールーパー」がウジャウジャいます。
 ちなみにウーパールーパーは日本人がつけた名前(商品名)で、海外では通じません。正式な英名は「アホロートル(Axolotl)」と言いますが、「これじゃ売れない」と判断した業者が適当にウーパールーパーと名付けました。それも最初は「スーパールーパー」と名付けるつもりが、「スーパーって頭についているのも安直だな」という意見から、SをWに変えてウーパールーパーにしたという話が残っています。
 ……適当ですね。

ウーパールーパーの写真と絵/リアルに描くと気持ち悪い

日々の生物(ナマモノ) 第20回

2008年12月01日 | 日々の生物(ナマモノ)

 ペット編-1

 ペットの多くは野生動物を人間が飼い、改良したものです。自然界でも生物の形は変わっていきますが、人の手が加わると何倍もの速度で変化していくことになります。これを「人間の手によって生き方を狂わされた」と見るか「人間と共存して生きている」と見るかは自由です。
 実際、元の生物は少なくなったのに、ペット化された種は世界中にいる、ということは多いのです。


Q:「デメキンは何故、眼が飛び出ている?」
A:「昔の金魚愛好家の好み」

 金魚はフナの突然変異です。フナというのは大抵黒いものですが、1600年程前に中国の長江で「赤いフナ」が発見されました。現在の金魚はこれを元に品種改良されたものです。
 日本には室町時代くらいに伝わっています。江戸時代の浮世絵などに頻繁に描かれていますし、今でも浴衣などの絵柄に使われますね。
 金魚は人に飼われて改良されていくうちに、さらにバリエーションが増えました。その一つがデメキンと言うわけです。目が飛び出た直接的な原因はわかりません。偶然そんな個体が生まれてしまったということなのでしょう。
 突然変異は自然界でも起きますが、大抵の場合、生きていくことができません。特に赤いフナなんて川の中では目立ってしょうがありませんし、ヒレがヒラヒラしているのも邪魔なだけです。ですが、金魚は人に飼われるようになったので、どんなに生存に不向きな変異体でも子孫を残すことができるようになりました。
 それにしても目の飛び出た金魚なんて残さなくてもいいのに……と思うかもしれませんが、昔の中国では上から見たラインの面白さが珍重されました。なにしろガラスの入れ物が存在しなかったので、金魚は陶器の器で飼われており、上からしか眺められなかったのが理由だそうですが……マニアというのは昔も今も一般人とは違うセンスの持ち主が多いのではないかと思いますね。

 ちなみに「赤い魚」なのに「金魚」なのは、光を受けて鱗が輝く姿からついたらしいですが、金色が縁起のいい色なのも関係しているようです。実際、渡来当時の金魚は神様への奉納用に飼われていたそうです。

日々の生物(ナマモノ) 第19回

2008年11月30日 | 日々の生物(ナマモノ)

昆虫編-3


Q:「蝶々と蛾は何が違う?」
A:「見た目」

 昆虫の内、蝶と蛾は「鱗翅目」というグループに属します。
「羽(翅)にさわると粉(鱗粉)がつく」のが名前の由来で、イモムシ状の幼虫からサナギを経て、成虫になる特徴があります。この内の何種類かが蝶になります。
 普通、生物の種類というのは明確な基準があるのですが、蝶と蛾を明確に分ける基準というものは存在しません。蝶と蛾の境目は曖昧で、実際、両者の呼び名が同じである(分類していない)言語もあります。
 基準がないわけですから、見た目で「こいつは蛾っぽいぞ!」と思えば、「お前は蛾だ。決定~~!!」と決めつけても問題はないわけです。
 ですが、それでは嫌だという人のために一応の見分け方を幾つか。

①蛾の幼虫が毛虫、蝶の幼虫がイモムシ
 綺麗な蝶でも幼虫が毛虫というのはいるのでアテになりません。
 ただ、そこら辺にいる毛虫は大抵、蛾の幼虫です。

②羽を閉じて(壁とかに)とまるのが蝶、開いてとまるのが蛾
 これは結構当てはまるので、気をつけて見てみると面白いですよ。
   
③夜行性なのが蛾、そうでないのが蝶
④地味なのが蛾、派手なのが蝶
 夜、電灯に寄ってくる蛾を見てもわかるように、蛾は夜行性が多いのです。
 地味なのは夜行性だから派手にしてもしょうがないのです。

⑤触角がブラシ状なのが蛾。そうでないのが蝶
 夜行性の蛾は触角が精密なのか、蛾の触角はブラシみたいな形になっています。
 日本の蝶と蛾はこれで見分けられるそうです。


  左が蝶の触覚、右が蛾の触角


Q:「どうして鳥の羽は2枚なのに、トンボの羽は4枚?」
A:「もともと足の数が違うからです」

 昆虫と人間を含めた動物とは起源が大きく違います。
 動物はおおざっぱに言えば、魚→両生類→爬虫類→ほ乳類の順に進化しました。動物の手足は魚のヒレが変化した物なので、カエルから人間まで前後合わせて4本です。そして、爬虫類から分かれたのが鳥で、前足が「翼」になりました。

 昆虫の祖先については第8回の昆虫編-2で述べた通りです。
 進化の過程で足の数を減らし、あるいは別の器官に変化させていった結果、昆虫の体は「足が6本+羽が4枚(+触覚その他)」という形に落ち着きました。トンボは古い時代に現れた昆虫で、体は長めで羽が4枚という、もっとも基本に近い体の構造をしています。
 一部の昆虫は更に進化を進めています。カブトムシなどの甲虫では、体が短くなり、前の羽は体を覆うカバーになりました。ハエは小回りがきくように、更に羽の数を減らして2枚だけにしています(直線的な速度ならトンボが一番速いです)。
 アリはハチに近い仲間ですが、生殖を行うアリ(女王アリなど)以外は羽がありません。
 昆虫の進化は足の数を減らしていく方向に進むようです。