太 極 拳 最 高 

健 康 を デ ザ イ ン す る

五行物語 11

2008-03-31 17:56:27 | Weblog
3.肝は筋を主 (つかさど) る
 黄帝内経素問 (こうていだいけいそもん) に 「肝は筋を生ず」 とあり、同じく 「肝の合は筋なり」 とあります。肝は筋とそれに関する全ての統率者として、筋骨の痛み、筋のひきつれ、巻き舌などの筋に関するすべての症状が、肝の病変の表れとしています。肝は四肢、躯幹の筋肉、腱および関節などの運動神経系の機能を制御・調節する役割を担っています。

4.肝は目に開竅 (かいきょう) し、その華は爪にある
 黄帝内経素問に 「肝は目に開竅す」 とあり、同じく 「肝は血を受けてよく視る」と説明しています。眼は五臓六腑と深い関わりを持っておりまして、肝以外では特に「心」「腎」 と深いかかわりを持っています。
 慢性のかすみ目、めまい、目の乾燥、鳥目などの目に生ずる異常は肝に関係しています。血流、瞳孔、目の焦点など自律神経系調節の要素によって、肝の機能状態は目に表れやすくなっています。また、血液の働きが正常であるかどうかは、爪の状態を見ればわかります。例えば、爪の色が淡白になったり、爪が柔らかく薄くなったり、艶がなくなったりしますから、その爪の状態で健康状態が把握できるということです。
 「肝心要」 というときの 「肝」 と 「心」 の関係を五行的に見てみますと、肝は木に属し、心は火に属していますから、木が火の働きを助ける、肝が心の働きを助けるという 「相生・そうせい」 の間柄にあると見立てることができます。
 また 「肝腎要」 という場合も、腎は水、肝は木ですから、木の成長を水が助けるという、これも相生の関係ということができます。

五行物語 10

2008-03-28 12:13:39 | 太極拳
肝の機能
1.肝は血 (けつ) を臓す
(1) 血液の濡養 (じゅよう) 作用
  栄養物質が門脈系 (消化管からの血液を集めて肝臓に送る静脈) を介して肝臓に入り、分解、合成、貯蔵され、必要に応じて供給、消費されます。
(2) 血液循環の調節
  自律神経系の作用によって、血管を収縮させたり弛緩させたりして、体内の血液の量を調節しています。これらを霊枢 (れいすう)で 「肝は血を臓す」 と言い表わしています。
2.肝は疏泄 (そせつ) を主 (つかさど) る
  疏は疎と同じ、通る、通ずる、ふさがっているものを開きとおすという意味で、泄は内部のものが外部にしみでる、水があふれ出る、漏れる意味だから、疏泄は体の中を気と血と津液 (しんえき・体液) をのびやかに、滞ることなく巡らせ、各臓器を潤す作用です。
  情緒安定させを精神状態を快適に保ち、大脳辺縁系や新皮質、視床下部や自律神経系の機能により、全身の各機能が円滑に行われるように調節され、肝臓における代謝や解毒作用、胆汁の分泌と排泄などの機能を果たします。

五行物語 9

2008-03-26 21:02:44 | 太極拳
1.木

 木の性質は、幹や枝や根をのびやかに伸ばすことを好み、停滞することを好みません。木は、方角では東方であり、風であり、青い芽が息吹く春の季節であり、色では青に対応し、色の青と季節の春を組み合わせますと 「青春」 となり、若さを表現する言葉になります。味は酸味を好み辛味をきらう。感情では怒となって表れ、その反応は爪に現れます。
 木に属する経絡は肝で、「精なる魂を肝に蔵し、胆これに付す」という言葉もあります。性は仁を尊び、酸は筋に走り、多食をすれば疲れて病となります。肝の外に通ずる穴は目であり、爪に兆候が表れやすいです。肝の弱い人は春に体調を崩しやすく、怒りっぽくいらいらしがちになります。また爪が割れやすい傾向にあります。その他の症状は、肩こり、筋肉痛、目の病気、高血圧、不眠症、生理不順、頭痛などがあります。
 肝は胆汁の排泄とのかかわりで、西洋医学との共通点をあげることができますが、単に臓器としての肝臓だけではなく、胆のう、目、精神活動、血液調整などを含めた機能の系統を指しています。外敵あるいは病邪を防ぐという作用を司るところから 「将軍の官」 と呼ばれています。
 これは 「肝気」 が過ぎると怒りっぽくなったり、春が人間の精神を抑うつ状態にすることから、常に戦の脅威におびやかされている将軍の精神状態を、いい表わしたものと考えられます。
 イライラ、抑うつ感などのストレスの多い現代社会の中で、これらの障害を肝が受けやすくなっており、西洋医学的にも原因のつかめない不定愁訴による病気や、心身症や自律神経失調症と診断されるもののなかに、肝が関わっている症状が多いです。

五行物語 8

2008-03-25 09:04:24 | 太極拳
水の特性 (水曰潤下・すいえつじゅんか)
 「水」 は下方に流れて固まる性質を持っている。水は、全てのものに潤いを与える働きがあり、下方に向かって流れ、井戸水のように、夏でも肌をさす冷たさがあるというその特性を、「寒湿・下行・滋潤(じじゅん)」 としています。

五行物語 7

2008-03-19 16:47:05 | 太極拳
土の特性 (土爰稼穡・どえんかしょう)
 「土」 は万物を生み出す力で、多くのものが土の中で育まれることから 「万物の母」といい、豊満、重厚、和順などの性質を持つとし、やがては土に帰るという哲理から、その特性として 「生化・承戴(しょうたい)・受納」 をあげることができます。

金の特性 (金曰从革・きんえつしょうかく) 从=従
 「金」 は透明でさらさらした性質で、もっとも早い時期に発見された金属は錫で、次が銅です。その金属の特徴は伝導の良さと清涼な感覚に付随する清潔の保持、また火を使って形を変形させることなどが挙げられ、その特性を 「清涼・清潔・粛降・収斂」 と看做します。

五行物語 6

2008-03-18 18:01:00 | 太極拳
 五行の五つの基本物質の特性をみてみましょう。

木の特性 (木曰曲査・もくえつきょくさ)
 「木・もく」 は樹木がその枝葉を伸ばすように、柔軟に伸び広がる性質を持っています。古代の人は、木や植物の生長形態をよく観察していて、太陽の光に誘われ、天に向かって幹や枝や葉が伸びやかに成長していく姿や、生命力の強さを 「成長・柔和・舒展 (じょてん)・曲直」 としてとらえました。

火の特性 (火曰炎上・かえつえんじょう)
 「火・か」 は炎や熱に見られるように、昇・発・急・速などの性質を持つとしています。温められた空気や水が上方に向かって流動することから、その特性を 「炎上・陽熱・升騰 (しょうとう) 」としていました。

五行物語 5

2008-03-17 15:24:52 | 太極拳
相  生  (そうせい)

木生火   肝生心   胆生小腸

火生土   心生脾   小腸生胃

土生金   脾生肺   胃生大腸

金生水   肺生腎   大腸生膀胱

水生木   腎生肝   膀胱生胆


相  剋 (そうこく)

木剋土   肝剋脾   胆剋胃

土剋水   脾剋心   膀胱剋小腸

木剋火   腎剋心   膀胱剋小腸 

火剋金   心剋肺   小腸剋大腸

金剋木   肺剋肝   大腸剋胆

 五行学説は、自然界は五つの基本物質で構成されているという考え方をとっています。見方を変えますと、あらゆる事象は独立して存在するものではなく、お互いに関わりあいながら、ある時には相生し、またある時には相剋する立場をとって、平衡を保ちながら存在するという考え方です。
 夏の暑い日や運動をして汗をかいたあと、冷えたビールを一口飲んだときに 「うまいっ!五臓六腑にしみわたる」 といいますこの五臓は、肝、心、脾、肺、腎をいいます。
 中国の一番古い医学書の黄帝内経 (こうていだいけい) という本に、「肝、心、脾、肺、腎の五臓はみな陰となす」 とあります。陰と陽の立場から五臓を見たものですが、これに対して陽の方はといいますと、「胆、小腸、胃、大腸、膀胱」 になります。
 中に臓物が詰まっているのが 「陽」、中がスカスカしているのが 「陰」 ということになります。
      

      

五行物語 4

2008-03-13 18:27:37 | 太極拳
相生と相剋

 五行は自然界と人体のさまざまな現象を対比させ、互いにいい影響を与え合う関係を 「相生・そうしょう」 といい、それとは逆にお互いに制約し合うあいだがらを、「相剋・そうこく」 という関係を生み出しました。
 相生は木・火・土・金・水の五行が、お互いの特性を生かしてその働きを高めていく関係で、その関係を 「木生火」「火生土」「土生金」「金生水」「水生木」と言い表しました。
 木を擦り合わせると火が熾 (おこ) り、木が火を育て、燃え尽きた木は灰になって土を生じ、土は万物を生み育む。土の中で金を生み水を生じ、水は木の生長を助け、助長・促進する。これらの作用を相生という。
 相剋は抑制や制約の作用をいい、「木剋土」「土剋水」「水剋火」「火剋金」「金剋木」、木は土の養分を奪って土を剋す、水をかけると火は消えるから水が火を剋す、火は金を溶かすから火は金を剋す、金は木を切るから金は木を剋す、というように、五行学説は相と剋の二つの面を持っている。

五行物語 3

2008-03-10 16:09:39 | 太極拳
 五行といいますのは、陰陽とともに、太極拳に志す方にとりましては、大変重要な項目と思われます。その理論は中国医学にも取り入れられており、中国医学のバイブルといわれています 「黄帝内経」 には、人体の生理、病理、内外環境との相互関係、臨床診断と治療とにその方向性をみることができます。
 五行の気の重要な意味は、「生」「克」「制」「化」 の有機的全体観にあります。人間の生命維持活動は、自然の摂理として 「生」 勢いを盛んにさせ、「克」 勢いを阻害させ、「制」 制御し、「化」 変化させるもので、それが亢進し過ぎると害になりますから、克することによって安定すると、制・化が持続できるとする考え方です。
 五行の五は木 (もく)、火 (か)、土 (ど)、金 (こん)、水 (すい) の五つを指し、行は運動を意味しています。つまり、自然界の現象は全て五つの物によって営まれていると見立て、五つに分かれたそれぞれが、他と関わりを持つことによって、互いに影響し合うものとして、これを自然現象や体の部位、あるいは体の働きなどとして当てはめています。
 この五行の最も古い記述といわれていますのが、[尚書・洪範篇]です。
「五行一に曰く水、二に曰く火、三に曰く木、四に曰く金、五に曰く土。水は下に流れて潤して潤下 (じゅんか) し、火は炎上し、木は曲がったり真っ直ぐになったりする曲直をし、金は加工して形が変わる従革 (じゅうかく) をし、土は穀物を収穫する稼穡 (かしょく) をする。潤下は鹹 (かん・塩辛い味) をなし、炎上は苦をなし、曲直は酸をなし、従革は辛をなし、稼穡は甘をなす」 と記されています。
  

五行物語 2

2008-03-09 21:20:04 | 太極拳
 五行は、五行思想、五行学説、五行論などとさまざまな呼び方をされています。が、陰陽 (おんよう) 思想とともに古代ギリシャ哲学に並び称される、中国有数の思想です。
 陰陽思想は、紀元前5~4世紀に始まった二元的認識による思想で、自然現象や人体の状況などに関する解釈法であり、五行説は紀元前三世紀頃に確立した学説です。陰陽と五行はお互いに独立した学派であり、それぞれ陰陽家、五行家と呼ばれていました。陰陽、五行はともにバランス学説といわれ、中国医学にも強く影響しているものです。
 昔は、陰陽、五行それぞれ別個にとらえていましたが、最近では陰陽五行思想として同一に扱われる場合が多いです。陰陽の考え方は、宇宙がまだ混沌とした状態のこの世の初めのとき、その混沌の中から、軽くて澄んで温かい陽の気が上昇して天となり、同時に重く濁って寒い陰の気が下降して地となりました。
 この陰陽の二つの気は、一年を周期として、代わる代わる消長盛衰します。つまり、太陽から地上に到達する光と熱の分量は、一年を単位として増減しますから、その量に応じて一年のうちに春夏秋冬の四つの季節・四季が生ずるというものです。

指圧と導引 (Shiatsu and Do-in)

2008-03-02 17:19:25 | 太極拳
WHO伝統医学のシステムと実践の一項目です。

 「指圧と導引の起源は中国であるが、日本の呼び方の方が国際的に知られている。指圧は指で押すこと、導引 (do-in は日本語の発音であり、中国語では tao-yin) は自己励起を意味する。導引には二つの異なった側面がある。
 一つは、太極拳という運動である。もう一つは、呼吸法と十分間特定のツボを指圧して、人を覚醒させ活力を与える治療とからなる静的な方法である。針のツボの指圧は英語でアキュプレッシャー acupressur と呼ばれる。指圧と導引はセルフ・ケアと応急手当の手段として有用である」

太極 Tai chi 

2008-03-01 10:48:17 | 太極拳
WHOの第三弾です。伝統医学のシステムと実践から。

 太極 (中国音では Tai chi のみで太極拳の意味を持つ) の字は大きな極または軸であり、さらに、至高の究極的存在を意味する。太極拳は、気 「中国音でqi、日本でki、サンスクリットのブラーナ prana に相当する」 を集中し、その流れを整えることで人を宇宙と交感させるために考案された、瞑想的な運動である。「気」 は物質となる以前のエネルギーで、大気中に存在している。
 太極拳は呼吸を整えたあと力を抜いた状態でゆっくり行われるバレーのような動きである。運動しているときは、腕を上げて伸ばしながら息を吸い、縮めて下げながら吐く。背骨はまっすぐに保ったままであるが、固くはない。その軸は常に体重がかかった方の足にある。太極拳を行っているとき、空気を輝かすようなエネルギーが両方の手のひらの間に漂うのが感じられる。そして、やり終わったときには、そのエネルギーが全身をおおうように感じるのである。あらゆる年齢層のすべての人に適した運動である。
 太極拳は病気を予防するセルフ・ケアの方法として有効ばかりではなく、治療にも用いられる。