太 極 拳 最 高 

健 康 を デ ザ イ ン す る

経絡・気の流れるルート  2

2009-07-31 14:58:25 | 太極拳
 経絡の考え方の背景には、陰陽思想と五行思想があります。陰陽思想は誠に単純な考え方で、陽の当たる側を「陽」といい、陽の当たらない側を「陰」という考え方が基本にあります。それを二元的に押し広めた思想なのですが、二元とはいいながら西洋のような絶対的なものではなく、相対的な二元論であるということができます。
 西洋的に陰陽を解釈しますと、「陰」は「陽」と対立して存在することになりますが、東洋流に考えますと、陰の中にも陽の要素が入っていると考えていますから、必ずしも陰は陰であるとは、言い切れないことになります。
経絡の流れの特徴は、立った姿勢で両手を上げた状態で、陰の経は下から昇ってゆき、陽の経は上から下に向かって流れるというものです。
 陰の気が上昇し、陽の気が下降するという現象は、食物も同じで、「陰性」を帯びた体に悪い影響を及ぼす白砂糖や油類は、体の中を上って肺から上の病気、肺、気管支、のど、鼻、耳、眼、頭などの病気の原因になります。
 一方、体に悪い影響を及ぼす「陽性」の、塩分、肉、魚などの食物は、体を下降して腎臓、膀胱、前立腺、足の故障に結びつきます。

衛気と営気のこと

2009-07-31 06:05:34 | 太極拳
 昨日の文章の中で、衛気と営気に付いて書きましたが、両方とも「えいき」なので、日本では衛気を「えき」、営気を「えいき」と呼ぶ慣わしになっています。

経絡・気の流れるルート  1

2009-07-30 21:35:20 | 太極拳
 太極拳は、気を扱う武術であるということを、まず念頭に置いておきましょう。気は人の体を包み込むようにして守っている「衛気」と、体の中で血液などの運行に関わる「営気」とがあります。
 体の中の、気の流れるルートを「経絡・けいらく」と呼んでいます。
 経絡の「経」は大きな通り道のことで、「絡」は小さな通り道のことです。また、別の言い方では、縦方向に流れるのを「経」、横方向に流れるのを「絡」ととらえる見方もあります。
 経絡には経穴という鉄道の駅のような、気のエネルギーが貯まる反応点があって、そこを刺激すると、経絡につながる臓器に反応が伝わり、細胞の働きがよくなって活性化します。
 それにしても中国人は、よくこのルートを探し当てたものと感心します。そのルートを探し当てたのは一人ではないでしょう。たくさんの人が長年かかって集めた情報を、さまざまな角度から検討していることとは思いますが、いずれにしても、気の通り道を探り出すには、それを見出すことが出来る眼を持っていなければならないはずです。例えば、仏像の眉間のところにある白毫 (びゃくごう) とか、チベット密教でいわれる第三の眼のような。

拳講三術

2009-07-28 21:21:13 | 太極拳
 拳は三術を講ず。
 拳講三術、技、医、芸術
 拳法は技術、医術、芸術の三つの要素を兼ね備えているということである。
 技というのは武術としての技。医術は体の成り立ちを弁えた上で、養生術や鍛錬の法を実践する意味での医。さらに芸術というのは、完成された武術の技は、それ自体が芸術であるということである。

拳の極意
動如濤  動くこと濤 (なみ) の如く  
静如岳  静なること岳 (たけ) の如く
起如猿  起 (た) つこと猿の如く   
落如鵲  落ちること鵲 (かささぎ) の如く
立如鶏  立つこと鶏の如く       
站如松  站 (た) つこと松の如く
転如輪  転ずること輪の如く      
折如弓  折ること弓の如く
軽如葉  軽きこと葉の如く       
重如鉄  重きこと鉄の如く
緩如鷹  緩 (おそ) きこと鷹の如く  
快如風  快 (はや) きこと風の如し

動くときには大波の勢いで  
静止しているときは山のように堂々と
立ち上がるときには猿のように身軽に  
下がるときには鵲のように敏捷に
立ち止まる時には鶏のように大地を踏みしめ 
立ち続ける時には根を下ろした松のように
回る時には車輪のように円滑に  
曲がる時には弓のようにしなやかに
木の葉のように身軽に  
鉄のように重量感を持ち
大空を舞う鷹のようにゆったりと  
風のように軽快に

濤、岳、猿、鵲、鶏、松、輪、弓、葉、鉄、鷹、風の十二文字は、武術における風格を表わしている。

不老不死のための五臓を考える 31

2009-07-24 06:46:42 | 太極拳
ハ、足伸

①両足を伸ばして座り、左足を曲げて踵を会陰 (えいん・性器と肛門の中央) に付け、右手で伸ばした右足の爪先を上から包むように掴む。

②左手で右膝を押さえ付け、右手で伸びた右足先を引きつける。

③足を換えて行う。

 この動作は脚の裏側、ふくらはぎ側を通る腎経を刺激し活性化させます。

 気分転換してきます。少しの間休ませて下さい。

不老不死のための五臓を考える 30

2009-07-23 09:37:28 | 太極拳
ロ、提肛 (ていこう)

 この提肛というのは、聞いたこともないような馴染みの少ない行為です。提肛の「提」は、引っ提げること、持ち上げることで、「肛」は肛門のことですから、肛門を提する、つまり肛門を持ち上げることです。
 肛門にギュッと力を入れると周囲の括約筋が働いて、尻が持ち上がるような感じになって会陰 (えいん・性器と肛門の中間) を活性化することができます。
 この提肛が、エネルギーを充てんするには最も効果的な強壮法なのです。この提肛で会陰のツボが開かれますと腎気が高まって、精力的になります。
 昔中国の皇帝が長生きをするために、暇さえあれば提肛をしていたというエピソードが残されています。

提肛の手法
①息を吸いながら肛門にギュッと力を入れて、肛門を閉める。

②息を吐きながら肛門を緩める。

③上記の動作を50回、リズミカルに繰り返す。

 気を督脈に流す時には、この手法が行われます。太極拳では最初の起勢と終わりの収勢のときに行います。

不老不死のための五臓を考える 29

2009-07-22 11:51:42 | 太極拳
(3)腎活性化の手法

イ、丹田呼吸法
 腎は、内分泌機能を指しており、からだ全体に内分泌腺が巡らされていて、中でも突出して集中している部分が足腰です。腎で作られた体の活力源である「精」は、命門 (臍の真裏) に蓄えられるという説もありますが、腎機能の活性化にはまず足腰を鍛えることが期待されます。
 因みに腎経は、足の裏の「湧泉」から脚の裏側を通って、体の前面を上り鎖骨のところの兪府までです。精を鍛えるための重要なツボが丹田です。

①足を平行に肩幅よりやや広めに開いて、腰をやや落として全身をリラックスさせて立つ。

②両手を丹田に当てる。手の当て方は、男性は左手を丹田に当て、右手を上に合わせる。
女性は逆。
丹田の正確な位置は、臍 (神闕・しんけつ) とその真裏の背中にある命門 (めいもん)、そして性器と肛門の中央にある会陰 (えいん) を結んだ、三角形の内辺に接した球体の部分をいいます。

③舌の先を上の歯茎につけます。これを太極拳では「舌抵上顎・ぜっていじょうがく」といいます。齦交 (ぎんこう) で止まる督脈 (背中の正中線) を任脈 (につなげる行為です。

④呼吸は鼻で行います。息を吸うときには、手の労宮から「丹田」に空気が入るとイメージして、お腹を膨らませます。吸い終わったところで一旦息を止めます。

⑤息を吐くときには、丹田から労宮を通じて空気が放出されるイメージで行います。

⑥この呼吸法を10分間続けますと、「精に足りるを以て寒さを知らず」という言葉の通り体が熱くなってきます。ただこれより短い時間ですと、効果はその分少なくなりますのでご承知おきください。

⑦同じ時間帯で行うとより効果的です。早朝が最適です。それは植物が代謝を行う時間帯が、午前0時から午後0時までですから、早朝の時間帯は酸素量が多く且清新の気に満ちているからです。

不老不死のための五臓を考える 28

2009-07-21 19:45:22 | 太極拳
(2)機能

 腎の機能は、上記のように生命活動に維持にありまして、腎の働きが低下しますと男性は精力を減退させ、女性は整理不順に見舞われることになります。
 腎経に気が通じなくなりますと内分泌機能が低下し、からだ全体のホルモンのバランスが崩れ、確実に糖尿病に罹ることになります。
 糖尿病は膵臓で作られるインスリンが、分泌されないことによって起きます。どうも日本人は「早飯」を美徳とするような傾向にありますから、食事をはじめて15分くらいしませんと脳からの指令が膵臓に届きませんので、すい臓がインスリンを出し始めるころには、食事が終わっていることになります。
 体に取り入れられたブドウ糖などの栄養分を、細胞に取り込む為には、インスリンの先導が必要なのです。が、インスリンのない状態では、細胞の中に入れませんから、ブドウ糖などは血管の中を巡り続けることになります。これが糖尿です。
 また、腎の機能が低下しますと、骨髄液の分泌に異常が出ますから、骨がもろくなって骨折したり、骨粗鬆症になったりします。骨を丈夫にするには、カルシウムの補給も大切ですが、腎経を調えて骨髄液をしっかりと分泌させることが大切です。
 腎機能の低下は、人間の生命力そのものの減退であるといわれています。生命力を維持するのが精気であり、それは、腎の機能が正常に働くときに生ずる気のことをいっています。漢方薬の7~8割は補腎薬であるところから、その重要性が認識できます。

不老不死のための五臓を考える 27

2009-07-20 09:36:46 | 太極拳
Ⅴ 腎

(1)概念
 「腎」といいますのは、西洋医学的な見地からしますと、排尿の働きを含んでいますが、東洋医学からしますと、腎はもう少し広範囲の機能を担っているとされています。
 それは、腎は精を貯蔵するといわれておりますように、生命活動を維持するための基本的栄養物質である「精」を貯蔵し、五臓六腑の求めに応じて随時精を供給しています。
 生長発育と生殖に関する働きで、生命力の元であるとの認識から、「先天の本」あるいは「先天の気」と呼ばれているものです。
 腎臓といえば、血液のクリーニングには欠かすことのできない重要な臓器をいい、心臓から送られてきた血液の中に含まれている余分な水分や老廃物を漉して分け、尿になったものを、膀胱を通して体外に排出する役割を担っています。この働きのおかげで血液は、一定の成分を保つことができます。
 また、体を弱アルカリ性に保つために、血液中の酸性物質やアルカリ性物質を、尿の中に溶け込ませて排出したり、血圧を調整する酵素や造血を促すホルモンも分泌し、さらにビタミンDも作るなど、生命活動が正常に機能し維持されるように活躍しています。

不老不死のための五臓を考える 26

2009-07-19 09:34:18 | 太極拳
②調息法その2

イ、動作とイメージは調息法その1と同じで、胸に熱い感覚、胸が膨張する感覚、それが収縮すると共に邪気が出て行くイメージで行うこと。

ロ、調息法その1は呼吸を鼻で行ったが、この功法は労宮 (ろうきゅう・手の人差し指と中指の間の一番奥まった所) で呼吸するイメージで行う。

ハ、鼻から息を吸って鼻から吐くのではなく、労宮から息を吸って膻中に収め、膻中が熱く膨らむイメージで行う。

ニ、吐くときには、息が膻中から労宮に向かって流れるイメージで行う。

ホ、そうすることによって、手にある肺経が刺激され、肺の機能が活性化される。

不老不死のための五臓を考える 25

2009-07-18 08:47:33 | 太極拳
①調息法その1

イ、足を平行にして肩の幅に開き、腰を軽く落として立つ。

ロ、舌を上の歯茎につける。舌抵上齶(ぜっていじょうがく)。

ハ、両手を両脇に降ろす。息を吸いながら、両手を体の前で交差させて上げていく。両手が頂点に達したときに息を吸いきる。
この動作は膻中 (だんちゅう・両乳首の中央・別名中丹田という) に意識を置いて、膻中を中心に胸が熱くなり、胸が膨張するイメージで行う。この意念する場所が熱くなるイメージ法のことを「火侯法・かこうほう」という。
肺経は腕にも巡っているので、腕を動かすことによって肺経が刺激される。

ニ、息を吐きながら両手を開いてゆっくりと降ろしていく。

ホ、呼吸は鼻で行う。肺の機能を分担している肺経の経脈は、鼻とつながっているので、鼻で呼吸したほうが経脈が活性化され、肺の働きがより円滑に機能するようになる。

不老不死のための五臓を考える 24

2009-07-17 14:49:28 | 太極拳
(3)肺活性化の手法

 健康を考えるとき最も大切なことは、「気」と呼ばれる生命力エネルギーを活性化することです。それは体の中に潜在しています。
 肺は「気」を統率する器官であり、外界から取り込んだ清気と、脾が取り込んだ水穀の気を混ぜ合わせて「宗気」として呼吸運動を推進させ、また心拍運動にも寄与しています。
 からだ全体の気のめぐり、気の働きを増大させるには、腕を良く動かすことが決め手になります。腕をよく動かしますと、腕に走っている肺と心の経脈が刺激され、肺と心の機能が賦活されるわけです。
 私たちの脊柱の中には自律神経が走っていて、四肢や内臓に直結しています。
 例えば胸椎の一二番は気管、肺、心臓、両手に、胸椎三四五番は肺、心臓、胃、肝臓、目、耳につながっていますから、手を意識的に動かすことによって、これらの諸器官を刺激して、活性化することになります。
 人は走るときに腕を振りますが、なぜ腕を振るのか、西洋の科学では答えは出てきません。東洋医学的に見ますと、腕を振ることによって、腕にある心経と肺経の経絡が刺激され、心の循環機能と、肺の呼吸機能の新陳代謝が促され、運動が円滑に行えるのであるということが明らかになります。
 肺と心の機能は互いに影響し合っていて、心の機能が低下すると必ず呼吸機能の低下につながります。例えてみますと、心筋梗塞、不整脈などによって心拍が乱れ、循環機能が低下しますと、呼吸まで浅くなります。
 これを五行の相剋に当てはめてみますと、心は火、肺は金に相当しますから、心剋肺の関係になりますから、肺の機能をしいたげている心の手当をすれば、肺の機能が回復するということになるわけです。