太 極 拳 最 高 

健 康 を デ ザ イ ン す る

太極拳という名のいわれ 7

2007-04-30 09:52:35 | 太極拳
リュ 手編に列
 相手の力を他に移して無力化させ、そのスキに乗ずる手法をいいます。
 楊澄甫 (ようちょうほ) が著した 「太極拳体用全書」 に、 「相手の左手首を取って采とし、右手が動かなければ、抑え込んだ形、それを変化させるとリェとなる。リェは相手の左肘を払い、相手の首を掌で打ち上げる」 とあります。
 リェというのは、はずみ車のように力が増幅して、そこに入ると自然に巻き込まれてしまうような、うず潮に似たものといわれています。易の卦では、全ての兆しが陰であり、陰の作用の遠心力を働かせる動作であるということができます。

肘 (ゾウ)
 手が使えない接近戦の、肘を遣う手法です。俗に言います 「ヒジ鉄」 のことです。この技を遣うには自分も危険に曝されるわけですから、楊式では秘伝とされて、師匠から弟子に直接指導されてきたものです。
 この動作は体の上下左右の虚と実、つまり陰と陽をハッキリとさせながら、肘を曲げて遣う手法です。この技を遣うときには、手の平の中央にある労宮のツボと、肩にある肩井 (けんせい) のツボに神経を集中させることが肝心です。

人気blogランキングへ

みちのく行

2007-04-29 17:48:27 | Weblog
 今年は桜を追いかけて、三月には大和路を訪ねたが花は未開、四月の第二週には上州赤城千本桜、沼田城址公園、沼田運動公園で満開の花見。
 今回の奥羽探訪では、秋田城址の千秋公園が満開の他は、角館の武家屋敷の枝垂れ桜は満開であったが、桧木内川畔の桜は開花したばかり。弘前城がやっと五分。金木の芦野公園は未開であった。
 私は神社仏閣、城郭などの古い建物が好きである。特に城と五重塔が好きだ。どこがどう好きなのかと聞かれても返事のしようがないが、造形の美しさとコントラストに魅力を感じているのであろう。長い間弘前城には憧憬があった。東京から南を訪れる機会は多かったが、北を訪れる機会が少なかったせいかも知れない。
 弘前城への憧憬は、桜の中に建つ城の印象が、脳裏に克明に刻み込まれていたせいであろう。三層の楼閣は、寄せ手側の白壁に縦長の狭間が切られており、屋根の黒、狭間の黒と壁の白が妙に調和している。
 天守に至る手前には朱塗りの下乗橋が架かっていて、天守閣とのコントラストは一幅の名画を見るようである。
 また、ここから少し離れた所に最勝院の五重塔がある。本州最北の重要文化財の弁柄色 (べんがらいろ・インドの Bengal に産する酸化第二鉄の銅赤色) の五重塔である。この五重塔は、津軽統一の際に戦死した敵味方の将兵の霊を供養するために、津軽三代信義が着工し、四代信政が寛文七年 (1667年) に完成させたものである。
 これで今年の桜の旅は終わりを告げる。
  

太極拳という名のいわれ 6

2007-04-25 11:34:06 | 太極拳
按 (アン)

 按は 「押さえる」 という意味の言葉です。按摩の按です。手の平で相手を押したり、下に引き落としたりする技です。押してもだめなら引いてみろ。というのは恋の駆け引き。
 按の勁は、易では兌 (だ) の卦で、三本の上が欠けて虚、中と下が実線で陽を表わしています。これは水の流れのように運行する 「運用如水行」というものです。
 この技も腰が決め手です。「按在腰攻」 と、按が繰り出す技は腰に在り。といわれています。


采 (ツァイ)
 相手の手首や肘を下に押さえ込みながら、もう一方の手で逆の攻撃をする、テコを応用した手法です。
 この技は、手首と指を利用した禽打法 (きんだほう) の一種で、この技を遣うときには、竿秤 (さおばかり) で物を量るときに錘 (おもり) を、指で動かすときのような注意力を集中させることが大切といわれています。

人気blogランキングへ 

太極拳という名のいわれ 5

2007-04-24 05:50:55 | 太極拳
捋 (リェ)

 相手の腕を取って方向を変える手法。相手の力を引き込んで重心を狂わせる技です。攻めてくる相手の力の方向と勢いに準じて、相手の力を巧みに利用し、前方から後方に引きこんで、やんわりとかわす手法です。この技は、相手の手首と肘の関節を取りますが、この技を遣うときには、腰を軸にして手を螺旋に回しながら引き込む感じで行いませんと、相手に付け込まれることになりかねませんので、注意が必要です。


擠 (ジ)

 胸前に、横に構えた腕の内側にもう一方の手を添え、相手の攻撃を防ぎ、あるいは相手を押す手法です。手や腕を相手に密着させ、相手に動く余地を与えずに押し倒す手法です。
 「擠在手背」 擠は手の甲にあり、「用時有両方、直接単純意、間接反応力」使うときは両方ある、直接技のときは単純に、間接技のときには反応力として用いる。

人気blogランキングへ

太極拳という名のいわれ 4

2007-04-23 09:26:47 | 太極拳
十三勢を分ければ、掤、将、擠、按、采、リェ (手編に列)、靠、肘
十三勢者分、掤、将、擠、按、采、リェ(手編に列)、靠、肘
十三勢というのは、手法の八法と歩法の五法を合わせた十三の勢・型のことで、手法の八法は八卦とも呼ばれ、掤、将、擠、按、采、リェ(手編に列)、靠、肘に分けることができる。


掤 (ポン)
 片方の手で、相手の攻撃を跳ね上げてかわす手法のことです。攻撃してくる相手の力を腕で上方へ受け流し、相手の重心を狂わす手法のことです。
 「八法掤為主」 八法は掤を主 (かしら) とすと極意書にありますが、掤勁の実質的な働きの重要さを、強調したものです。
 「掤填坎中満」 掤勁の発揮は中心に気が漲っている必要があるという意味です。
 この掤 (ポン) は、弱い力が強い力に勝つことを示したものですが、実際には力ではなく 「勁」 を発揮させることを説いています。

人気blogランキングへ

太極拳という名のいわれ 3

2007-04-22 14:46:54 | 太極拳
 四百年ほど前、王宗岳が生きていたころ、よくこの太極という言葉に行き着いたものだと感心する。今であればインターネットで文字を検索すれば、アッという間の出来事であろうが、情報の流通の乏しい時代に、易経や太極図説に出会うことは、とても難しいものであったに違いない。
 素晴らしいネーミングに少なからず驚いている。

 それでは、太極拳の命名について、「太極拳釈名」 の一文をご紹介いましょう。

太極拳は一名長拳またの名を十三勢という
太極拳、一名 「長拳」又名 「十三勢」
太極拳は「長拳」 又の名を 「十三勢」と呼ばれていた

長拳というは、長江や大海の如く滔々として絶えざるなり
長拳者、如長江大海、滔々不絶也
長拳というのは、長江や大海のように滔々としていて絶えることがないものである

長江
 通称揚子江のことで、中国第一の大河である。チベット高原の北東部に源を発し、青海省、四川省、三峡を経て湖北、湖南、江西、安徽、江蘇の各省と上海を経て東シナ海に注ぐ、全長6300㌔、流域面積日本の約5倍の181万平方キロで、中国の1/5を占める

人気blogランキングへ

太極拳という名のいわれ 2

2007-04-21 06:11:59 | 太極拳
 いま400字ほど打って、さあ終わりだと変換キーを少し強めに打ったら、それまでに打印したものがすべて消えてしまいました。二月にノートパソコンに買い替えてから、もう十回くらいこんな状態になります。安いからとDELLにしたのですが、これでは意味がありません。グチはこれくらいにして、もう一度打ち直します。

 太極拳の太極という言葉は、五千年ほど前に伏犠 (ふっき) が創り出したといわれている 「易経」 がベースにあります。ですが、その後に朱子が著した太極図説によるところも大きいかもしれません。太極の太は 「ゆたかなるおおもと」という意味で、、極は 「きわまったところのもの」 という意味です。
 宋の時代に周濂渓 (しゅうれんけい・1017~1073年) は、儒教の一派として宋学を樹立し、程明道、程伊川、張横渠がその思想を受け継ぎ、それを朱子が集大成しました。周敦頣 (とんい・濂渓) の太極図説は、内面と外界、つまり人間と自然の関係を一元的に太極に統一し集約したものです。
濂渓先生曰く、無極にして太極あり。太極動いて陽を生じ、動くこと極まって静かに、互いに静かにして陰を生ず。静かなること極まって復 (ま) た動く。
互いに静かにして陰を生ず。静かなること極まって復 (ま) た動く。一 (あるい) は動き、一は静かにして、互いに其の根となり、陰に分かれ陽に分かれて両儀立つ。
 陽変じ陰合して水火木金土を生じ五気順布して四時行 (めぐ) る。五行は一陰陽なり、一陰陽は一太極なり、太極はもと無極なり。五行の生ずるや、各々その性を一 (こと) にす。無極の真と二五 (二・陰陽、五・五行) の精、妙合して凝る。乾道 (けんどう) は男と成り、坤道 (こんどう) は女と成る。二気交感して万物を化生し、万物は生々して変化極まるところなし。と。

人気blogランキングへ 

太極拳という名のいわれ 1

2007-04-20 18:24:40 | 太極拳
 太極拳というネーミングは素晴らしい。この上ない命名である。この名を付けたのは、太極拳の創始者といわれている王宗岳で、その著 「太極拳釈名・しゃくみょう」 の中で命名を明らかにしています。釈名の釈は 「解き明かす」 意味ですから、太極拳の名を解き明かすという意味になります。
 その昔 「長拳」「十三勢」「沾綿拳」「軟拳」「化拳」「綿拳」 などといわれていた拳法を、『太極拳』と名付けたいわれを明らかにしたのが、「太極拳釈名」 です。宗岳は太極拳は自分が発明した拳法ではなく、もともと十三勢や長拳といわれていた拳法が、八卦や五行の哲理と相呼応していることを発見し、それを思想的により高めた概念として取りまとめただけであると言っています。

人気blogランキングへ

太極拳の極意つづき

2007-04-19 05:49:27 | 太極拳
意守丹田
 気を丹田に集中させることです。太極拳術十要では項目を設けずに、含胸抜背の項で気を丹田に沈めるとありますが、他の格言には特別にこう言い表わされています。勁に関わることなので、項目を一つ設けたいところです。
 太極拳経には気沈丹田とあります。

鬆腰鬆跨
 腰と股を緩めることです。太極拳論には腰が主宰する、主宰于腰とありますから、腰が主導するためには、腰を緩めておく必要があるわけです。

三尖相照 (さんせんそうしょう)
手尖、鼻尖、足尖の三尖の動きを一致させることです。同じような意味の言葉に、三尖相対、三尖六合があります。

二目平視 (にもくへいし)
 目の付けどころについて解説したものです。目はあちこちに向けるのではなく、相手の動静を見極めることが大切なので、しっかりと前に向けて、攻撃側の手の向こう側を注意深く視るようにします。

円襠、吊襠
 襠 (とう) というのは、胴体の真下、陰部と肛門の真ん中、会陰のツボを指しています。ここを丸くあるいは吊るようにすることです。

太極拳の極意

2007-04-18 14:03:21 | 太極拳
 昨日まで書いてきた太極拳術十要は、それぞれが太極拳の極意である。極意とは基本の中にあるといわれているが、一流と言われる人は皆、基本に忠実であった人たちである。イチローにしても松井にしても、基本をマスターしたからこそ、大リーグでも通用しているのである。
 基本に勝る極意はない。
 太極拳術十要になかった言葉で、極意といわれるものをもう少し挙げてみましょう。

「尾閭中正・びろちゅうせい」
 尾骨の先端にある長強 (ちょうきょう) のツボを尾閭といい、肛門を締め上げる 「提肛」 をすることによって、その尾閭を少し巻き上げるようにすると、重心が落ちて安定し、且つ、頭のテッペンの百会とが垂直になって、中心線が確保できる。丁度、独楽が勢いよく回っているときのように、ジッと動かずに澄んだ状態になるのと同じ、中心がブレない状態になることである。

人気blogランキングへ

太極拳術十要 23

2007-04-17 17:14:19 | 太極拳
十、動中求静 (動の中に静を求める)

外家拳術は    外家拳術
太極拳の内家拳に対して、破壊力を外に表わすような拳法は

以て跳躍をよく為し    以跳躍為能
よく飛んだり跳ねたりするから

気力を用い尽し    用尽気力
気力を使い果たして

故に練習の後は    故練習之后
練習をした後は

気喘 (きぜん) なきことなし    无不気喘者
息があがってしまう

太極は静を以て動を御し    太極以静御動
太極拳は静かな動きの中に動を御する力があるから

動と雖 (いえど) も猶 (なお) 静    雖動猶静
動中に静を秘めている

故に架子 (かし) を練するにいよいよ慢いよいよ好    故練架子愈慢愈好
だから型を練習するときにはゆるやかにするのが好ましい

慢は即ち呼吸を深く長くし    慢則呼吸深長
ゆっくりした型と同時に、呼吸も深く長くし

気を丹田に沈む   気沈丹田
気を丹田に沈めれば

自ら血脈の僨張 (ふんちょう) の弊なし    自无血脈僨張之弊
脈が乱れたりするような差し障りはなくなる

学ぶものは細心に体会 (たいえ・体で会得する) すれば    学者細心体会
太極拳を学ぶ人は細かいところにまで気を配って、技を会得すれば

焉 (いずく) んぞその庶 (もろもろ) を得るべし    庶可得其焉
ここに多くのものを手に入れることができる

人気blogランキングへ

太極拳術十要 22

2007-04-16 18:14:51 | 太極拳
太極拳は意を用いて力を用いず    太極用意不用力
太極拳は力を用いるものではなく勁を使う

始め自 (よ) り終りに至るまで    自始至終
最初から最後まで

綿綿として断つことなく    綿綿不断
ずっと繋がっていて途切れることなく

而して廻り復 (ま) た始め    周而復始
巡っては始めに戻り

循環し窮 (きわ) むるなし    循環无窮
巡り巡って止まることがない

原論の所謂    原論所謂
太極拳論にいうところの

長江大河の如く    如長江大河
長江などの大河のように

滔々として絶えることなく    滔々不絶
滔々として流れ絶えることがない

又曰く運勁は抽出絲の如し    又曰運勁如抽出絲
勁を運ぶのは糸を紡ぐように

皆その言貫串一気なり    皆言其貫串一気也
みな言うことは同じで、気を集中して一気に爆発させるように。と。

人気blogランキングへ

太極拳術十要  21

2007-04-12 17:05:55 | 太極拳
九、相連不断 (そうれんふだん) 連続させて途切れさせてはいけない

外家拳術は    外家拳術
外家拳というのは、硬気功に属する、丁度空手で瓦を割るような技を使う拳法

その功、后天の功なり    其功乃后天之功
その能力は生まれてから授かった後天の能力である

故に起あり止あり    故有起有止
気を発するときと蓄えるときがあり

続くことあり断つことあり    有続有断
気を発した後に気を蓄えるが、この両方の途切れたときのこと

旧力を尽くし止む    旧力已尽
持てる力を遣い尽し

新力未生の    新力未生
新しい力がまだ備わる以前に

この時最も人に乗じられ易き所なり    此時最易為人所乗
この時に隙が生じるから人に乗じられ易い

人気blogランキングへ