太 極 拳 最 高 

健 康 を デ ザ イ ン す る

気の本質を探る

2008-09-23 20:30:19 | 太極拳
 昔は、陽の東西を問わず、人体には生命エネルギーが満ちていると信じられてきた。それを西洋では 「プネウマ」 といい、東洋では 「気」 と呼んだ。東洋では他にヒンズー教で 「ブラーナ」 という呼び方をしている。
 生体エネルギーの呼称としては、世界各地で呼び方が異なり、いろいろな呼び方をされている。
 西洋では、
① 自然治癒力  ヒポクラテス
② ニューマ    ピタゴラス
③ アルケウス  パラケルスス
④ 動物磁気   アントン・メスメル
⑤ オードの力  カール・フォン・ライツェンバッハ男爵
⑥ 生命力    サミュエル・ハーネマン
⑦ オルゴン・エネルギー
           ウイルヘルム・ライヒ
⑧ オーラ    欧米の霊能者

 近世に入ると、西洋でデカルトが、心と体は別物であるとする 「二元論」 を唱えて以来、すべての面に於いて二元論が科学の根底に据えられることになった。現代に入るとそれはさらに徹底して、物事を細分化して発生源をたどることこそが、「科学的」 であるとして、マクロからミクロへの挑戦が始まった。
 気はエネルギーであるから、その働きかけによって作用するものである。気には運命を変えるほどの力があるが、受け手としての人間の、受け皿がないとそれを受けることができない。

站樁 (たんとう) の意味

2008-09-21 17:09:54 | 太極拳
 申し訳ありませんが、表題の 「樁」 の字を入れることができません。あしからずご了承ください。

 站樁というのは、太極拳の基本中の基本の姿勢である。足を肩幅に開いて土踏まず側を平行にして、膝を曲げて腰を落とし、胸の前にボールを抱える姿勢をいう。この姿勢は単に胸の前にボールを抱えるというだけのものではなく、宇宙を抱えるイメージで行うものである。つまり大宇宙と小宇宙の人間が一つになることである。
 太極拳では、身に五弓を備えるといって、腕、胴体、脚を弓状にする。弧は気を通すという言い伝えがあり、それを実現する姿勢をとるものである。両腕を弧にしてボールを作るのが弓二張。尻を少し前に出して、背骨のS字状を弧に修正してこれで弓一張、次に膝を折ることによって両脚の弧二張、これで弓五張りとなる。このことによって気が、体の中を縦横に走ることができるようになる。
 私たちの内臓は自律神経によって制御されている。私たちが動かそうと思わなくても、心臓の拍動、胃腸の蠕動、肺の呼吸など自動的に働いてくれている。拍動や蠕動を支配することは難しいが、呼吸ならばできる。站樁を行うときには腹式呼吸で行うが、意識的に呼気を長くすれば拍動は緩やかになり、吸気を長くすれば拍動が早まる。
 站樁を行うと、立ったとたんに拍動が速くなり、体温が上昇することが確認されている。つまり、血流が良くなっているのである。
 站樁というのは、凄い、と思いませんか。

定式

2008-09-20 09:37:45 | 太極拳
 一つの型の決め技を 「定式」 という。一つ一つの技の最後の部分である。24式には多くのの定式があることになる。太極拳には連綿不断・ずっと続いていて途切れるところがあってはならない、という要求があるから、この定式と定式あるいは定式と次の型に移行する 「過渡式」 (かとしき) に、間延びしたところがあってはならない、ということになる。
 太極拳は拳と名が付いてはいるが、武術というよりはむしろ、舞いに近い。舞いの場合、この間の取り方が非凡であれば名手、凡庸であれば凡手といわれる。と同じように、太極拳も舞いといわれているところから、やはり間を大切にしなければならない一つの理がある。

2008-09-07 10:17:01 | 太極拳
 気といいますのは、紀元前から既にその存在が確認されていました。それは、老子のころと言いますから、紀元前300年のころかと思われます。
その頃気は、このように、とらえられていました。
一、気は物質である
 気に通じているものは、物について明らかである。としていましたが、気は無形でありながら、存在しないわけではなく、とても小さいものであるから、目には見えないものである。ということでした。
二、気は生命を構成する基本物質である
 黄帝内経素問 (こうていだいけいそもん) に 「天地が気を合わせたものを人間と呼ぶ」とあります。人の生は父母の精気が生み出したもので、呼吸と食物の精気によって養われ、維持されるものである。としています。
三、気は自然現象および人体の生理活動を司る
 気はこの世の全ての運行と、人の体の生理活動のすべてを掌握し、陰陽の摂理に従って物事の正常な活動を促すものである。と。

 気についての解釈を、王宗岳が著した十三勢歌で確認してみますと、
①気は身躯に遍くして少しも滞らず
②腹内 (ふくない) は鬆浄 (しょうじょう・柔らかで清らか) にして気は騰然たり
③意気は君来るが如く骨肉は臣なり
④意気均しく来たれば骨肉は沈む
とあります。
 続いて十三勢行功心解で、気のことを確認してみましょう。
①心を以て気を行 (めぐ) らせ、務めて沈着ならしめば、収斂して骨に入る。気を以て身を運び、務めて順遂 (じゅんすい・順調に成し遂げ) ならしめば、乃 (すなわ) ち能(よ) く利を便にし心に従う。
②意気は須らく換えるに霊を得れば、乃 (すなわ) ち円滑の趣あり。
③行気 (ぎょうき) は九曲 (きゅうきょく) の珠 (たま) の如く、往 (ゆ) きて利ならざるはなし。
④気は直を以て養う、而 (しか) して害なし。
⑤心は令となし、気は旗となす。
⑥腹を鬆 (ゆる) め気を沈めて骨に入るべし。
⑦牽動往来 (けんどうおうらい・動きは全て) 気は背に貼るべし。