太 極 拳 最 高 

健 康 を デ ザ イ ン す る

太極拳を楽しむ

2008-05-21 13:17:11 | 太極拳
 太極拳を表面的に解釈しますと、拳法の動作を緩やかにした健康法ということになりますが、太極拳は単なる型や技の追求ではなく、背景には高度な思想の裏づけがあるということを、心に止めおいていただきたいと思います。その高度な思想と言いますのは、陰陽と五行の思想のことです。
 中国医学も同様、この思想的な背景を持っていますから、西洋医学のように、個別の器官のその部分だけを診るというものではなく、全体を一つとして診るわけです。それは人間が、一つの細胞から分裂して、からだ全体を形成しているという考え方に基づいています。
 ですから中国医学では、病気に罹ってから病気のことを心配するのではなく、病気に罹る前に、あらかじめ病気の元になりそうな部分に注意して、それを防ぐという 「未病」 という考え方をしています。太極拳もこれと同じように、太極拳によって病気にかかりにくい体を作ろうとしているわけです。
 「才能とは長き忍耐なり」という言葉がありますが、長い間、耐え忍ぶように仕方なく太極拳をしていたのでは、太極拳をする意味がありません。太極拳はそれを行う過程が大切ですから、なんといっても 「楽しく」 舞うことが一番です。太極拳が好きだからやるという、好きこそ物の上手と解釈したほうが、はるかに有意義に思えます。
 スポーツの歴史は、闘争からスタートしていますが、太極拳は丈夫で長生きをしようという思想からの出発ですから、発生の歴史が違います。
 明るく楽しくをモットーに、太極拳を楽しみましょう。

五行物語 23

2008-05-15 21:15:25 | 太極拳
4.腎は耳に開竅 (かいきょう) し、二陰 (性器と肛門) に開竅し、その華は髪にある
 腎の充足度が老化に伴って低下し、耳鳴りや聴力減退、排尿異常、生殖能力の低下や異常、排便異常、白髪、毛髪脱落等を起こす。

5.腎は納気を主 (つかさど) る
 腎は気を収めることを司り気の根本を担っている。呼吸機能、特に吸気が腎と関連している。また、呼吸中枢の興奮性に関与するとではないかとも考えられている。難経には呼気は心と肺から出て、吸気は腎と肝に入ると記されている。
 腎の内に働く気を 「呼吸の門」 と呼び、吸入された気が腎に下がって、腎気によって摂取される理論の裏付けになっている。

 腎そのものは腰部にある左右一対の臓器であるが、中医学で腎という場合には、もう少し広い概念としており、命門をも包含している。命門の部位にはいろいろな説があるが、その主なものは次の三説である。
1.難経などにみられる、腰部にある左右一対の腎の内右腎をいう。
2.趙献可 (ちょうけんか) の医貫などに記されている両腎の間にあるとする説。
3.虞搏 (ぐはく) の医学正伝などは、両腎の総称としてとらえている。
 このほかにも包絡 (ほうらく) 命門説、動気命門説などがあるが、ともかく、張景岳がいうように、「命門は元気の根であり、水火の宅である。五臓のいずれの陰気もこれがなくては滋養されないし、五臓の陽気も、これなしに発動することはできない」 と、説いているように、五臓六腑のすべての機能は、命門のエネルギーに左右されているので、元気はここに分布していると見るのが正当のようである。
 元気の源は、道教では丹田にあるといい、難経では命門にあるといい、内経では胸椎の七節目の傍ら、中に小心ありといわれる所という。腎といい命門とはいっても、いずれ命の源であることに変わりはなく、腎の気を増すことで、生命を永らえさせることができるというのは、確かなものと思われる。

五行物語 22

2008-05-09 11:02:05 | 太極拳
腎の機能
1.腎は精を蔵し、生長、発育、生殖を主 (つかさど) る
 腎が貯蔵する精は、人体の生長、発育、生殖及び生命活動を維持する物質的な基礎である。これを精といい、生命体が先天的に持っている生長、発育などの生命エネルギーの基本となる物質である。
 精は先天的に備わった先天の精と、飲食物の運化によって得られる栄養分の精選された部分の後天の精が、絶えず補充されることによって維持される。この物質は、視床下部→下垂体→副腎系→性腺→甲状腺→松下体→上皮小体などの内分泌系全般の機能を指すものと考えられています。
 最近の研究によりますと、腎は下垂体と副腎系との関連が強く、内分泌系を通じた免疫監視能との関係も重視されています。

2.腎は水液を主 (つかさど) る
 これは腎が体液の代謝全般を、作用し調節していることを示しています。副腎皮質のコルチコスチロイドや下垂体、後葉ホルモンなどによって、腎尿細管での水分再吸収の過程が調節され、これに付随するイオンや酸塩基平衡の調節によって、体液浸透圧を調整する作用も含まれています。このほかホルモン系を介した血流量の調節によって、腎系球体のろ過圧を調整する作用も含まれます。

3.腎は骨を主 (つかさど) り、髄を生じ、髄に通ずる
 生長ホルモン・甲状腺ホルモン・グルココルチコイドなどの内分泌系機能を通じて、生長・発育・成熟・老化の全過程に関わり、知能・知覚・運動系などの発達と維持に大きな役割を果たしています。このほか、髄液やグリア細胞などの代謝に関連した、中枢神経系への栄養補給の機能を持っています。

五行物語 21 

2008-05-07 19:25:08 | 太極拳
 太極拳の鍛練をする時、呼吸に従って神闕 (しんけつ・臍) に注意を向けるか、直接命門を意守 (いしゅ・意志を集中したまま) することで、命門の作用を強化させることができます。
 腎は骨を守る。腎は髄を生じ、髄の海といわれています。腎気が充実すると精力が増し、頭の回転が速くなり、記憶力が増します。腎は 「作強の官」 ともいわれ、腎気が旺盛になりますと筋肉や骨格が強くなり、敏捷になります。太極拳の鍛練をしますと、この傾向が顕著になります。
 太極拳の鍛練を積んで真気が充実してきますと、腎の元陰と元陽の相互のバランスが均衡し、水の腎と、火の心の協調関係 (相生) に、良い影響が表れます。
 太極拳を演舞しますと唾液の量が増えるのは、元陰が補充されている証です。李知念 (りちねん) はその著 「内経知要・だいけいちよう」 の中でこう説いています。「津 (しん・唾液・リンパ液・ホルモンなどの体液) と腎水は、元は一つである。それは臓腑に必要な水分を与え、皮膚を潤す」 と。
 腎は五行では 「水」 に属し、方角は北であり、季節は冬、色は深く閉ざされた色の黒、黒を玄といい表わし季節の冬と組み合わせ 「玄冬・げんとう」 といい、人生でいえば白秋の次にくる、老境ということができます。
 生命活動の基本物質である精を 「腎精」 といいます。腎精には 「腎陰」 と 「腎陽」 があり、腎陰を 「元陰」「真陰」 といい、腎陽を 「元陽」「真陽」「命門の火」
といっています。

五行物語 20

2008-05-05 16:50:48 | 太極拳
5.腎
 腎は腰部にある左右一対の臓器で。腎とは命門 (めいもん) を包括した概念ですが、命門の位置については諸説があります。
1.難経 (なんぎょう) などに見られる、左右一対の腎の
  内、右腎をいう。
2.趙献可 (ちょうけんか) の医貫 (いかん) などに
  記される、命門は両腎の間 (臍の眞裏) にあるとする
  もの。
3.虞博 (ぐはく) の医学正伝などの、両腎の総称と
  して命門をとらえるもの。
 このほか包絡命門説、動気命門説などかあります。命門は太極拳を鍛練するときの重要な部位の一つです。「命門は相火なり、相火は君 (君火すなわち心火) に代わって事を行う。ゆえに小心という」 といわれている。張景岳 (ちょうけいがく) はこれを 「命門は元気の根であり、水火の宅である。五臓のいずれの陰気もこれがなくては滋養されないし、五臓の陽気もこれなしに発動することはできない」 と説いています。また趙献可は医貫の中で命門を走馬灯の中の火に例えています。
 命門と他の臓器との関係を、陳士鐸は石室秘録の中で次のように述べています。
「心は命門を得てはじめて神明を司ることができるようになり、物に応ずることができるようになる」
「肝は命門を得てはじめて謀思 (ぼうし) する」
「胆は命門を得てはじめて決断する」
「胃は命門を得てはじめて受納する」
「脾は命門を得てはじめて転輪する」
「肺は命門を得てはじめて治節する」
「大腸は命門を得てはじめて伝導する」
「小腸は命門を得てはじめて布化する」
「腎は命門を得てはじめて作強する」
「三焦 (さんしょう)  は命門を得てはじめて決涜 (けつどく・溝を切り開いて溜まった水を通す) する」
「膀胱は命門を得てはじめて収蔵する」
とありますように、五臓六腑のすべての機能は、命門のエネルギーによってさようしているということになります。元気は命門に分布しています。その源は道教では丹田にあるといい、難経では命門にあるといいます。
 内経 (だいけい) ではその位置を胸椎の七節目の傍ら、中に小心ありといわれるところにあるとしています。体の陰陽のバランスは、ここに依存していて、呼吸がうまくできるのも命門が関係しているとされています。

五行物語 19

2008-05-01 05:52:59 | 太極拳
3.肺は皮毛を主 (つかさど) り、鼻に開竅 (かいきょう) する
 「肺の合は皮なり、その栄は毛なり」 素問五臓生成論
 「皮毛というのは、体の表面にある組織のことで皮膚、汗腺、毛髪などを指します。汗が分泌されて皮膚が適度にうるおっていれば、外邪の侵入を防ぐことができる。これは肺気が受け持つ衛気 (えき) が皮毛に十分に分布し、汗腺の開閉、汗の分泌、立毛筋の調節などの末梢循環や、体液のバランスを調整し維持する機能によります。
 「衛気 (えき) は分肉 (筋肉) を温め、皮膚を充たし、腠理 (そうり・皮膚と筋肉が接しているところ) を肥やし、開闔 (かいこう・汗腺の開閉) を司る者なり」 霊枢
 衛気のこの働きは、肺の宣発 (せんぱつ) の作用によるもので、「上焦 (じょうしょう・三焦の一番上の部分で胸郭の部分を指し、心肺をその内に含む) を開発し、五穀の味を宣 (の) べ、膚を熏 (くん) じ身を充たし、毛を沢 (たく) すこと霧露 (むろ) の漑 (そそぐ) が如し」 霊枢
 衛気というのは、病邪が侵入するのを防止し、侵入した病邪に抵抗して排除します。これは免疫能に相当し、血の濡養 (じゅよう) 作用を基礎としています。