86と花咲け歌々同窓会

花咲け歌々同窓会と静高86期卒業生諸君!!好き勝手なこと書いていますが他意はありません。たかがブログ・・・・

大物

2015-01-20 17:45:39 | 管理人のぼやき

N子さんからフラワーアレンジの仕事を引き継いで、小さなアレンジなら

どうにかこうにかできるようになった頃、ちょっとヤクザっぽい老人が

女性を連れ、自分の会社のロビー(かなり広い)に大きなジャングルのような

アレンジを作って欲しいとの事でした。高さも横幅も3メートルくらい、

2つ返事で「ハイ、お作りいたしましょう。」本当は自分のキャリアでは

かなり難しい注文なのですが、以前2人の尊敬する先輩から同じことを

言われたことがあり(まず受けろ、断ったらその方からは2度と注文が

入らないぞ、できますといってから考えれば良い。)、お受けしました。


ジャンボエンチョーで鉄のアングルを買い、鉄骨で立方体の枠を作り

脚立に乗り、それを花や葉で隠してゆくような作りをしました。


朝から作業をはじめ、午後の3時頃には終了しました。


社長室に行き、仕事が終了したことを告げると、「いくらだ?安けりゃ

現金、高けりゃ小切手になるぞ、領収書は要らない。」

「ハイ、40万です。」「何だ、そればっかか。」

大きな指輪をいくつも着けた、2人の女性秘書の方の片方が現金で

手渡してくださいました。この金額で、出来上がった超ジャンボな

アレンジをご覧にもならずに、また、見積もりも、請求書も無し、

領収書も無しの仕事は初めてでした。

この社長、ご存命であれば90代半ばから100歳ちょっと前だと思います。


もう1人はN子さん制作の「飯田深雪アートフラワー」(現在私が商っている

造花では無く、もう一ランク上のゼロをもう一つ付けたお値段の代物)

しか買おうとしない社長の話。この社長、当時静岡市の長者番付の

ベスト10常連様なのですが、来店される時はいつも素足に下駄、腰に手拭、

口笛を吹きながら、「飯田深雪アートフラワー」だけを入れてある、大きな

ケースをご自分で開け、適当に野草的なものだけをお選びくださいます。

私はこの社長の下駄と口笛が聞こえると尻尾を振る犬の気持ちが

分かるような気がしました。毎回5~6本選んでくださり、

価格は3~4万円、金額を告げると「何だ、そればっかか。」

といいながらポケットからバラバラと20万位をカウンターにお出しになり、

「ほぅ」と言ってお渡しくださいます。

3~4日前、この社長のお使いで、お嫁様が社長の奥様が入っているお仏壇用にと

沢山のお花をお買い上げくださいました。その2日後、新聞の訃報欄に

社長(現会長)のお名前が・・・・・・91歳でした。


お2人の「何だ、そればっかか。」社長たち、全くその台詞に嫌味がありません。

ただただ、普通に出てくるのでしょう。日本の1番良き時代です。


金額はともかくとして、心が大物という感じがしました。







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