★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

縦横逃避行

2011-11-17 23:31:47 | 映画


「未来世紀ブラジル」はあまり好きではなかったが、この前見直したら結構よかった。10年前から、同じ監督の「バロン」の方は好きであった。後者が、逃げたら帰ってきて又逃げるという運動性があるのに、前者は、結局逃げられなかった話だから、二十代の私には鬱陶しかったのである。

情報局みたいなのが社会全体を管理し、書類のタイプミスが現実化してしまうような社会の話である。そこでは、役所から降りてきた情報だけが「現実」である。

見直してみると、描かれている管理社会はダクトでつながれた巨塔とその他という感じであった。主人公は最後、パノプティコンですらない、巨大な筒状の空間の底につながれているが、このイメージは面白い。おそらくこれは、作品の世界を管理していたところの、指令が通過するパイプや、空気清浄のダクトを象徴するものでもあろう。人間はそのパイプやダクトを使用している気になっているが、その「なか」にいるに過ぎない。普段は、ダクトが垂れ下がる狭苦しいところに住み、役所も狭い個室なのに、主人公がとらわれている空間は広い。それは閉じられた砂漠のようなものである。支配は一見自由と似ているわけだ。上の空間は空いているらしく、だからこそ主人公は、友人のもぐりダクト修理屋(デニーロ)が上方から助けに来てくれると妄想してしまう。しかし、いつも上方から来るのは、上からの情報の通達であり、逮捕しに来る警察官であったはすだ。空に向かって舞い上がり天使のような女の子と飛ぶ夢は、上方からの通達に怯える管理社会に生きる者の逆説的な上昇志向に過ぎなかったのではあるまいか。管理社会はパイプやダクトのように上方は空いているように見え、希望がそこにあるような気がする。しかし気がしているだけである。

で、主人公は、夢にでてくる彼女に似た現実の女の子とは上方ではなく横に逃げたのであったが……、ただ逃げりゃいいものを、彼女を書類上死んだことにするという、いつもの情報現実化を逆手に取ろうとした結果、つかまってしまう。

ただ、横に逃げるべきである。

「バロン」では、ミュンヒハウゼンは気球に乗って飛んでゆくが、あれは実際は上空への上昇ではなく、月に行ったのを除けば、横に移動するための手段なので、同じことだ。

我この恨を懐いて煩悶(キリッ)──×川大学恋愛狂室 ふられ6

2011-11-15 12:38:20 | 文学


今日の共通科目は、藤村操の「巖頭之辞」から入り、ロマン派音楽を経て、マラルメの「ある売春婦に」に至った。

研究室に帰ってきて、あいかわず卒論のプレッシャーで筆が進んでいないAさんとかT1さんとかがいたので、さっそくじゃまをする。三人で話し合った結果、藤村さんの辞世は、いちいち「キリッ」をつけるとよい感じになってくることが判明した。



悠々たる哉天壌(キリッ)。遼々たる哉今昔(キリッ)。五尺の小躯を以てこの大をはからむとす。(キリッ)ホレーショの哲学、竟に何らのオーソリチーを価するものぞ(キリッ)、万有の真相は唯一言にて悉くす(キリッ)。曰く「不可解」(キリッ)
我(キリッ)この恨を懐いて煩悶(キリッ)、終に死を決するに至る(キリッ)。既に厳頭に立に及んで(キリッ)、胸中何らの不安ある(キリッ)なし(キリッ)。初めて知る(キリッ)、大いなる悲観は大いなる楽観に一致(キリッ)す(キリッ)る(キリッ)を(キリッ)。

JPOPの融合=分離

2011-11-13 03:18:44 | 音楽


久しぶりにテレビを視た。それも10年ぶりぐらいに「CDTV」を視た。最近の歌謡曲JPOPの動向を知りたくて。

今週の三位は、A×B48のなんとか
今週の二位は、Perfumeのなんとか
今週の一位は、嵐のなんとか

上位三位がアイドルかよ

Perfumeはそれなりに年を食ってきたので、へんなオーラのお姉さん達が変わったポーズをしてるというまさに珍味的な境地に達しつつある(←初めからそうだったかも)ので、アイドルとは言い難いかもしれん。Perfumeは、そもそも高校生の頃、木の子さんという作詞家がナカタヤスタカ(既に名前が電子音ぽい)と組んでつくった曲を歌っていたのである。「人間消えたら地球痛むの?」とか「視線盗む引力 こぼれた その顔」とか、十代のおなごに歌わすには嫌がらせに近い歌詞を感情込めないで歌いつつ、難しい妙な振り付けをかわいく踊るという、隙間産業と書いてアイドルと読ませるが如き路線であった。のだが、ナカカタヤスタタカカが作詞もやり始め、十代のおなごの気持ちを「どれだけ キミのこと 想い続けたら」とかなんとか乙女チックに歌わされつつ、ディスコ的というかクラブ的というか、そんな感じのサウンドに乗せて更に洗練されたヘンテコダンスを踊っていたら大ブレイクした。

歌詞と音楽の関係はなかなか難しい問題があるんだろうけれども、私は、やっぱり言葉と音楽は別物であり、音楽家の天才によって見事な融合を果たしたとしても、それは最終的には別物だ、と思う。映像と言葉もそうだし、文字と発音もそうであろー。

そんなことを忘れさせる飴のような路線があると思う。CDTVを視ていてそんな雰囲気を感じましたね。聴かれているのは本当に音楽なのであろうか。まあ、昔のポップスも大概でしたけどね……

もしかしたら、日本人は、本離ればかりじゃなく音楽離れも始めているんじゃなかろうか?本もそうだが、音楽も日常生活とは違うものだと思う。日常的にあまり音楽を浴びすぎると、それは音楽じゃなくなるような気がするのである。


断固精霊を

2011-11-11 23:07:15 | 思想


どぜう首相が、TPP交渉参加を表明。国益を損なわないように、特に農業は断固守り抜くそうである。

最近の政治家やメディアの発言の傾向から考えるに、全て真実とは逆のことを言っているとみなせばよい。あまりにやばそうなので現実逃避してお茶を濁しているうちに、発言が板に付いてきてしまうのだ。

日本に言霊はない。あるいはその言霊とは空気と化した言葉のことである。その空気を変えるためには、三島由紀夫みたく抗議のために腹を切ったり、小林多喜二みたく撲殺されたりしなければならないのか。柄谷行人もこのまえどこかで、「贈与」の力の例としてそんなことを言っていたが、冗談じゃないw。言霊の代わりにアニマ(精霊)を、というわけだ。確かにデモなども精霊を呼び起こす行為である。

蟷螂さん保護

2011-11-10 12:16:17 | 日記


階段でよたよたしていた蟷螂さん(←♀)を保護してあげました。



なかなか美人である



美人であるのを鼻にかけているらしい(←鼻はどこ?



最期までがんばって下さい。ぽいっ

鷹を×して優勝だ(笑)

2011-11-09 03:37:05 | 日記


あまりに当然なので申し遅れましたが、中日ドラゴンズ日本シリーズ進出けってーい!

まあ当然ですわな。

ところで、中日の応援歌として一部で有名な「燃えよドラゴンズ」という曲がある。球場にいくと、ファンが歌っている。メンバーや監督によって歌詞が変わる。

これは、よく聞くとすぐわかるのだが、山本正之という例の「ヤッターマン」の作曲家がつくった曲である。ニコニコ動画で歴代の曲が上がっていたので聴いてみたが、作曲者が歌ったものは別格としてロイヤルナイツの歌った奴がよかった。

あと、歌詞が昔はよかったね。

トラを×ろして
クジラを×べて
つばめかわして
コイつって
そしてにっくき(←ここは一生分の恨みを込めて歌うところ)ジャイアンツ
息の根止めて優勝だ




歌の上では、大虐殺!でも……めったに優勝できませんでした。

×川大学恋愛狂室 ふられ5

2011-11-08 13:23:51 | 文学


アリスエリスちゃんから必死に逃げるわたくし豊太郎

今日は、レポート第一回目の提出日であった。舞姫のパロディを書いてこいという課題である。

駄作が100以上あるこの絶望感たるや、エリスじゃなくとも発狂するよこれ。

とりあえず、B5をA4で提出してしまったすっとこどっこいはエリスに殴られてきなさい。