山口洋子が亡くなったそうであるが、何も読んだことがないぞと思ったのは間違いで、「貢ぐ女」というのは大学のときだかに読んだと思う。作詞家の男に貢ぐ、スナックで働く女が、自分で貢いでいるつもりが貢がせてもらっていたことに気付くという話(確かそんな感じ)である。そのクズ男に「貢がせてもらっていた」という納得の仕方をどう解するかは当時考える気にはならなかった。今もならない。とにかく、当時、そのクズ作詞家に激しい怒りを覚えたのは確かである。作者がどういうつもりかは知らんが、フェミニズムというのは、こういう小説によっても支えられるところがあるのではなかろうか。
たしか、コトをすましてベッドに寝ていたら、男に別の女から電話かかってきて「居ない居ない」と繰り返す男の口元に「居るわよお!」と叫ぶ場面があった。よかった。