★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

バーから始まってビール会社に続く

2014-01-31 23:09:47 | 文学


 私にもだんだんと辻永の語る恐ろしさが判ってきた。ゾッとする戦慄が背筋へ忍びよる――。
「この明るい東京の真ン中に、あのバーから始まってビール会社に続くこんな恐ろしい街道があるのだ。それは死に至る街道だ。地獄へゆく街道だ。これでも君は、おれ様の探偵眼を疑うか」と辻永は虹のような気焔を吐いた。

――海野十三「地獄街道」