宝島のチュー太郎

酒屋なのだが、迷バーテンダーでもある、
燗酒大好きオヤジの妄想的随想録

モッキンポット師の後始末

2007年02月27日 15時02分51秒 | 本のこと
昨日の記事に登場したこのドラマの話で、懐かしさのあまり「チュー太郎」の本棚を探してみた。
すると、あった、あった!↓






本が先か、ドラマが先かがはっきりしなかったのだが、帯を見て判った。↓




やっぱ、ドラマが先だったんですな。
どうやら高校2年の頃に買ったようだ。
普段の生活では物価の上昇なんてあまりピンとこないものだが、これを見ると、激しく上がってますな。
当時は550円か。
今の単行本は1500円から1700円のものが主流だから、約3倍になったわけだ。
おまけにこの頃の方が装丁がが凝っている。↓





それまでの私は純文学一辺倒だった。
だが、多分この本あたりから現代小説?という世界に践み入ったように思う。
勿論、井上ひさしから、当時の流行作家だった庄司薫、北杜夫、ムツゴロウ・・・
やがて大江健三郎へと繋がっていくのである。


当時はよく見掛けたこの俳優さん、三谷昇。
個性的な演技が特徴で、おどろおどろしい役所が上手だったが、このモッキンポット牧師は全くのはまり役だった。
たしか、色つきのコンタクトを入れて出演していて、そのエキゾチックな顔立ちも相まって、ほんとに外人のようだった。


残念ながら細かなストーリーはほとんどが記憶の彼方だが、貧乏学生3人組とモッキンポットというフランスから派遣された牧師が織りなすユーモアとペーソス溢れる話だったように思う。

唯一覚えているのは「ひよこ鑑定士」のくだり。
モッキンポット牧師の紹介で養鶏場のバイトに行くハメになった3人組。
軽くついた「ひよこ鑑定士」だという嘘を撤回できなくなって、見よう見まねでオスメスの区分け作業に入る。

それは、ひよこのおしりの肉をめくって、黒点があればオス、なければメスという聞きづての知識にのっとったものだが、そんなの付け焼き刃で判る筈がない。
結局50%の確率にのっかって適当にやった挙げ句、メス箱のひよこにとさかが出始めたのを見て、一目散にトンズラするというもの。

全編がそうしたいい加減でフワフワした男達の生き方で埋まった物語なのだが、その尻ぬぐいに走るモッキンポット牧師が実にいい味を醸し出すのである。
当時17歳の私でも、その井上ひさしが作り出す、軽妙でのほほんとした幸福感というものは理解出来た。
流石、「ひょっこりひょうたん島」の作り手。

多分、感動したんだろうね。
裏表紙をめくると、鉛筆でこんなことを書き残していた。↓






また、33年ぶりにゆっくり読んでみたくなった。
やっぱり本は、出来ればいつも手元に置いておきたいものだね・・・









モッキンポット師の後始末

講談社

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2 コメント

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Unknown (nya-5)
2007-02-28 10:55:07
わあ~なつかしい~~!!

高校生の時、私も読みました。読んだ筈です。
内容は全く記憶にありません・・(忘)

ひょっとして チュー太郎→X→私 の図式で回ってきたのかも
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ふむ (チュー太郎)
2007-02-28 11:19:22
最初は意味が判らなかったのだが、
よ~く考えてみて理解しました。
その可能性はゼロではないかもね。
返信する

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