oregonian way of life. 

オレゴンでの学生生活から南下して社会人生活へ。IT産業でホットなサンフランシスコ・ベイエリアで地味~に文系の仕事してます

左翼系運動は、すべて「アブナイ」?

2006-02-10 | 歴史
去年亡くなったとき、女性として初めて国会議事堂に棺が安置された「市民権運動の母」Rosa Parksさん。(国会議事堂に棺が安置されるのは、大統領経験者が普通。)功績を称え、1月に祝日が設けられているキング牧師。先週亡くなった牧師の妻・Coretta Scott Kingさんの葬儀には、現職のブッシュ大統領を含めた大統領経験者が4名出席し、「市民権運動のファースト・レディ」に敬意を表しました。そして、『社会を改良するのは女性?』で紹介したBetty Friedanさん。この4人の共通点とは?

みんな、白人男性が優勢だったアメリカ社会に異議を唱えた「左翼系運動家」だった方たちです。Friedanさんは、1966年にNational Organization for Womenを設立し、今では、アメリカで一番大きな(?)男女同権論者(feminist)の団体になっています。残りの3人は、言わずと知れた市民権運動家。大手マスコミを含めた大多数のアメリカ人が、アメリカ社会をより良い方向へ導いたこの方たちの「運動家としての功績」を認めている、と言ってよいと思います。

左翼系運動家をそれなりに評価しているアメリカ。日本はどうでしょう?日本では、運動家の功績というのは認められているのでしょうか?多くのブログを見ていて感じることは、日本では、環境保全や自然食は「危険思想」というか、そのようなことに興味を持つ人は「過激派」と思われているような・・・。エコや自然食に興味を持っていると言っても、「でもね、運動系ではないの!わたしはそんなのには走らず、おしゃれに楽しく実践してるの!」などと弁解がましい(apologetic)ことを言わないと、日本社会から「危険人物」のレッテルを貼られると思っている、と感じます。

わたしは、左翼系運動と距離を置こうとしている人たちを、批判しているのではありません。わたしが問題にしているのは、市民運動を含めた左翼系運動に対する日本社会の評価。日本で実際、どのような学生運動や市民運動があったのか、わたしは知りませんが、そのような運動というのは、実際「アブナイ系」だったのでしょうか?それとも、そのような反体制派に対して体制派が「アブナイ」というレッテルを貼り、それを一般庶民が鵜呑みにしているだけなんでしょうか?それとも、実態は知らずに、「運動系はアブナイ」というイメージがあるだけなんでしょうか?

アメリカにも、過激派と呼ばれる人は常にいます。キング牧師が主張した白人と黒人社会の「統一」に対して、1992年に映画になったアフリカ系指導者・マルコムXは「分離」を説き、主流の(mainstream)アメリカ社会からは危険視されていました。今でも、「エコ・テロリスト」と呼ばれる暴力に訴える環境保護主義者が、オレゴンにもいるようです。でも、左翼系運動にも、非常に大雑把に言ってしまえば、「普通のアメリカ人」にも受け入れられる運動と、そんな人には受け入れられない、つまり「過激な」運動と二種類あるような・・・。左翼系運動を全部ひっくるめて「アブナイ」と見てはいないと思います。

そもそも、何が普通、何が危険/過激というのは、時代の流れとともに変わってきます。分かりやすい例が、民主主義という思想でしょう。この民主主義、アメリカでも日本でも、基本的には「いいもの」というか、肯定的な思想だと思われているはず。17世紀にイギリスの哲学者だったジョン・ロックが、民主主義思想の基になった政治論を説き、アメリカ独立戦争やフランス革命に大きな影響を与えた民主主義思想。しかし、ヨーロッパ王権政治の権力者からみると、国民に主権をゆだねる民主主義思想など、反体制的な危険思想に他なりませんでした。アメリカ独立後も同じこと。「Founding Fathers (建国の父)」と呼ばれた政治家の多くが、民主主義は快く思っていませんでした。なぜ?「おバカで、自分の私利私欲にしか興味がない一般市民」に政治を委ねたら大変なことになる、と思ったからです。独立戦争後に制定されたアメリカ憲法も、国民主権の考えを受け入れながらも、「おバカな一般市民」が政治権力を握るようなことがないような仕組みを作ったとか。逆に今では、「民主主義反対!」などと叫んだら、それこそ危険人物扱いされるのでしょうが・・・。時代とともに変わる普通と変/危険の基準。例えば遠い将来、肉を食べないことが普通で、肉食を主張する人が「危険な動物食い人種」というレッテルを貼られる日が来るかもしれません・・・。

左翼系運動はすべて「アブナイ」、と思われているような日本社会。運動をそのように評価する日本社会自体には、どのような評価を下すことができるのでしょうか?

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5 コメント

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過激派なの? (Kurampon)
2006-02-10 21:23:55
「環境保全や自然食に興味を持つ人は『過激派』」ってイメージあるのかなぁ?ずっと日本に暮らしてますが、あまり感じたことなかったです。

あえて言うなら、運動家はおしゃれじゃないというイメージは持ってます。オーガニック素材とかフェアトレードで、そういう点はすばらしいのかもしれないけど、デザインがヘンテコな服を着ているようなイメージ。。。

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そうですね。 (ふぐ太郎)
2006-02-11 00:47:21
タバコがそうであるように、肉を食べる人たちがレッテル貼られるような世界がきたら、とても嬉しいです。。。笑

昨日も会社で食事会があったのですが、食べるものが無くって困りました!野菜食えよ!って思いながら、何も食べませんでしたよ。

女性が前に向かって立つのは本当にすごいことだったと思います。昔は。。。今でもなかなか難しいかもしれませんね、特に日本は。

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コメント、ありがとうございます (しんのすけ)
2006-02-11 07:29:22
Kuramponさん、



「おしゃれ」という価値観は、特に日本で重視されているように思います。常に疑問に思っているのは、何/誰がおしゃれで何/誰がダサいという基準は、何/誰が決めるのでしょうね?



ふぐ太郎さん、



運動を先導する女性は、特に日本では「おしゃれ」ではないと思われるでしょうね。自分が「おしゃれでない」というレッテルを貼られるほど、日本で怖いことはない?
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はて? (Kurampon)
2006-02-11 11:13:10
しんのすけさん、話を難しくしてるような気がするなぁ~。単にヘンテコなデザインの服、しかも似合ってないのを着てるのは、見て美しくないなぁ、と。

さらに言えば、運動を先導する女性がステキかどうかは、その人次第と思いますよ。やり方によりけり。左翼系運動に限らずそうじゃないでしょうか?
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Unknown (しんのすけ)
2006-02-11 11:37:03
そうですね
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