(昨日の続き)
-犯罪容疑者の検挙は警察の仕事であるが、犯罪予防は食物にかかっているというのが、昨日の結論であった。
欧米の栄養学では、炭水化物・タンパク・脂肪が論じられていた1世紀ほど前(明治時代)、日本の生んだ偉才・石塚左玄は、欧米諸国に先がけて、ミネラルとビタミンの重要性を唱えたことも、あったな。
-そのとおりだ。いまでこそ、ビタミンとミネラルの大切さは、常識であるが、明治時代では、このビタミンとミネラルの重要性は、世界中、石塚左玄以外、だれも注目してなかったんだ。
昨日の話だが、アメリカ政府が行ったアメリカ国民栄養調査では、平均的アメリカ人は、ビタミンとミネラルが欠乏しているということであったが、日本では、どうなのかね。
-じつは、欠陥食事は、アメリカ人に限られず、日本人にも当てはまるのだよ。朝日新聞(1993年4月13日)で報じられた女子栄養大学吉田企世子教授による調査がある。
ほう、どんな調査かね。
-同教授は、市場に出回っているホウレン草・ブロッコリー・トマト・グリーンアスパラガスなどのビタミンC含有量を調査したのだ。調査結果でわかったことは、それらの野菜の成分は、4訂日本食品標準成分表の記載値よりも、おおむね20%から30%少ない、のだそうだ。
えっ、そんなに少ないの。
-北海道にも、似たようなデータがある。荒川義人天使大学教授は、北海道栄養短大に在職時に、野菜の成分を調査したことがある。その結果は、同大研究紀要第十三号に載せられている。
どんな結果が、出たのかね。
-北海道恵庭市内の農協ス-パ-で、ホウレン草・ニンジン・カボチャ・ジャイモを買い求めた。それらを分析して、「日本食品標準成分表」(科学技術庁四訂版)と比べてみた。すると、ビタミンA、ビタミンC、灰分では、カボチャのビタミンAを除けば、すべて「成分表」より低いという結果がでたんだ。
なんということはない。野菜が、栄養価のすくない水ぶくれとなっているわけだ。
-吉田教授のデータも荒川教授のデータも、およそ10年以上前のものである。ここで取り上げるデータとしては、古過ぎるとも考えられるが。この10年間、野菜の栄養価が改善されたキザシもないから、いまの野菜でも、相変わらず、ビタミンとミネラルは少ないとみてよかろう。あるいは、さらに低下しているかもしれない。
-そんな野菜を食べていては、必要量のビタミン・ミネラルがとれないではないか。栄養不足となって、アメリカの犯罪研究者A・Gシャウスの言うとおり、情動が不安定となって、つまり、キレやすく、犯罪をおこしやすくなる。
-そのとおりだよ。キレル少年・少女が、いま社会問題となっている。キレル原因のひとつは、欠陥食物、とくにビタミンとミネラルの足りない「貧栄養化の食事」にあることになる。