どうも、「食べ処・身土不二」(札幌)は、その性格が誤解されているようである。
たしかに、一見、「食べ処・身土不二」は、食堂の装いをしている。
しかも、「店名」には「食べ処」という文言もあるから、ますます食堂と思われても、当然かもしれない。
だが、この食堂風の入り口の左右には、立て看板のようなボードが何枚も貼りつけてある。それぞれには、「身土不二」と「農・食・健」について、スローガンのような言葉で埋め尽くされている。
しかも、「店内」に一歩踏み入れると、壁と言う壁には、ところ狭しとばかりに、札幌タイムスのコピーが張られている。
これでは、誰が見ても、とうていレストランとか食堂のような雰囲気ではない。
◆手段としての「食べ処・身土不二」
たしかに、「食べ処・身土不二」は、街の食堂とは異なる。
「当店」は、「身土不二」を啓蒙するための手段なのである。
玄米定食を提供するのも、「身土不二の原則」という生活原理・哲学を普及するためである。玄米定食を売ることは、あくまで手段であって、お金もうけという目的ではない。
ふつう、街の食堂は、ビジネス(お金もうけ)が、その目的である。
ここに、手段と目的の違い、つまり、啓蒙運動とビジネスの違いが見て取れる。
蛇足ながら、ビジネスと運動の違いに触れておこう。
*運動としての「食べ処・身土不二」は、その目的を達したら、終 わり、つまり「閉店」である。
*ビジネスとしての食堂・レストランは、お金を儲けることが目的 なのだから、終わりと言うものはあり得ない。お金が儲かる限 り、食堂というビジネスは、永続的に継続される。
*ビジネス・レストランは、お金儲けが目的なので、黒字で な け ればならない。赤字が続き、それが黒字と なる見通が立
たなければ、ビジネス・レストランは、廃業せざる を得ない。
*啓蒙運動としての「食べ処・身土不二」は、いつも赤字である。 もっとも、啓蒙運動という性格上、黒字の啓蒙運動体という ものはありえないが。会費の徴収・カンパなどで、赤字を埋め て、所期の目的を達するまで継続するのが、啓蒙運動という ものである。
そもそも、黒字・赤字という経済的概念を啓蒙運動に当てはめ ることに、かなりの無理がある。 だが、ここでは、啓蒙運動と ビ ジネスと比較するために、無理を承知で、赤字・黒字という用 語を用いているのだが。
◆「食べ処・身土不二」、カンパとボランティアに助けられて
ご支援、まことに有難うございます
お陰さまで、運動としての「食べ処・身土不二」は、本年で、 「開業」以来6年目になります。
「開業」以来、収支は、いつも赤字でありました。
その赤字を埋め合わせてこられたのは、なんらかのご縁の ある皆さま方からのご支援でありました。
10円のカンパ、100円のカンパ、1000円のカンパがありま した。大口では100万円のカンパもありました。
もちろん、「食べ処・身土不二」は、カンパだけで今日まで 存続してこられたのではありません。ボランティアという「人 力のカンパ」を抜かすわけにいきません。
厨房を手伝って下さったボランティア。
ホールを受け持っていただいたボランティア。
カンパ、そしてボランティアの労力奉仕がなかったならば、
「食べ処・身土不二」の運営は、いっそう困難をきわめ、 今日、「弊店」は存在していないに違いありません
身障者の方々へ、そして幼小中学生・高校生へ、玄米定食を 定価の半額で、大学生には40%引きで食べていただけたの
も、カンパという「お金の補給」、そしてボランティアの「無償 の労力」によるものであります。
もちろん、カンパをしなくても、ボランティアとして労力奉仕をし なくとも、ただただ、「食べ処・身土不二」で食事されるだけ で も、運動への協力となります。食事には、マ ージンが 含ま
れていますから。当然のことなが ら、このマージンも、運動に使 われます。
これまでのご支援、まことに有難うござい ました。
今後とも、よろしくご支援くださいます よう、お願いたします。
◆メニューには、売価がつけられないのかも・・・
啓蒙運動としての「食べ処・身土不二」は、カンパとボランティアによって支えられているのだから、メニューには売価をつけない方がよいのかもしれない。
例えば、玄米定食は、いま、一食700円であるが、はたして、それでよいのだろうか、という思いがある。
定食を召し上がった方々の経済状態そしてお気持ちで、支払い金額を決めていただくのがよいのかもしれない。
その金額は、10、000円でもよいし、100円でも、あるいはゼロ円でもよい。つまり、金額は、0から無限大までということになる。
このことを、何人かの支援者に話したところ、どなたも、啓蒙運動の理論上、定価はつけられないかもしれないが、定価はあるべきだということで、みなさんの意見が一致した。
その理由は、いくら支払うか定まっていないと、人は戸惑うであろうからということであった。という次第で、現在のところ、玄米定食は、一食700円となっている。
ちなみに、「食べ処・身土不二」の住所は、札幌市北区北7条西4丁目3番地宮澤ビル(ヨドバシカメラ斜め向い)地下1階。
「食べ処・身土不二」の電話番号は、(011)747-8986である。