食物パワーは、身体と心を変える
-今日は、玄米菜食がいかに人を変えてしまうか、ということだ。
人を変えるって、いったいどのようなことなのだね?
-つまりだ、食物は、私たちの心の持ちかたというか、肉体だけでなく精神にまで影響を与えるということさ。
えっ、なんだって。食事で心まで変わるっていうこと?それは本当かね、信じられない。
-本当だとも。飲食物には、単にカロリーとか栄養の補給ということを超えるものがあるんだ。人間を変えるパワーがあるといってもよい。例えば、お酒を飲めば、いい気分になるだろう。また、やけ酒というは、くしゃくしゃした気分を変えるために、つまり精神状態を変えるために、飲むんじゃないのかね。だから、食物は恐ろしい。
なるほど。たしかにそうだ。飲み物は精神状態を変えるよなぁ。わかる話だ。しかし、それはアルコ-ルだから、そうなるんだよ。他の食物では、そうはならないだろう?
-いや、なるんだよ。すべて、食べ物、飲み物は、肉体と精神に大きな影響を与えるのだ。
わかったようで、よくわからないな。もう少し具体的な例を挙げてくれなくちゃ。
玄米菜食で凶悪犯が変身した
-わかったよ。では、具体的な例を挙げてみよう。
ポルトガルはリスボン刑務所でのエピソ-ドなんだが。そこの刑務所の服役囚が、玄米菜食でもって 言動が変わってしまったのだ。つまりだ、食物による囚人の変身物語とでもいってもよいだろう。
なに、玄米菜食で犯罪人が変わってしまったって?まさか。本当かね、信じがたいけど。
-本当なんだ。まあ、お聞きなさいよ。リスボン刑務所には、アルカポネクラスの凶悪犯が、じつに28名も収容されていたんだ。その彼らが、玄米・野菜食をしているうちに、その精神状態がすっかり変わってしまって、模範囚になったということさ。
それはすごい。本当だとすればの話だが。
-この囚人変身物語だが、そのもとはといえば、食養(欧米名・マクロビオティック)を広めるために、アメリカで活動されてきた久司道夫さんに関係があるんだ。
久司さんといえば、アメリカで玄米菜食の普及運動をされている日本人だろう?
-そうだよ。久司さんは、食養を世界に広める種をまいた桜沢如一先生(故人)のお弟子さんだ。久司さんは、日本でよりも、アメリカで有名な方だ。その久司さんが著した『地球と人類を救うマクロビオティック』という本が、文芸社からでているが、その本に、玄米菜食による囚人変身エピソードが紹介されてるんだ。
なるほど。その囚人変身物語とやらか、おもしろそうだな。
-くわしくは、その本を読んでもらうとして、かいつまんで言えば、こういうことさ。ことの始まりは、チ-コというポルトガルの青年にあるのだよ。チ-コ青年は、アメリカのボストンにあるkushi institute(久司インスティチュート)で、食養(マクロビオティック)を学んで、ポルトガルの首都・リスボンに帰った。そこで、食養の普及活動をしていたんだ。その活動の模様が地元の新聞で紹介されたことがあった。その記事に興味をもったのが、リスボン刑務所に服役中の凶悪犯の連中だったのさ。
刑務所の服役囚か。それで、どうなったの?
-リスボン刑務所というのは、ポルトガル全国から、凶悪犯だけを集めて、収容している刑務所なんだ。その中でも、28名のグループなどは、とくにその凶悪の程度がひどい連中なんだ。たとえば、そのリーダーなどは、アルカポネというニックネームをもつ男で、一年に400回もの強盗記録をもっている。ナンバーツ-は、銀行強盗のベテランで機関銃を使うので、警察では手に負えなくて、軍隊でもって逮捕したという、いわくつきの連中なのだ。
それは、すごいな。むこうの連中は、日本人とは桁違いだよ。それで、どうなったんだ?
-その連中が、たまたま、玄米菜食のことを新聞で読んだのさ。おもしろそうだということになって、玄米を食べたいといい始めたんだ。
そこで、刑務所は凶悪犯に玄米菜食を食べさせたというわけかね。
-まあ、そういうことなんだ。実は、チ-コ青年が、刑務所に出向いて玄米菜食の料理法を教えたのさ。包丁は持ち込めないので、野菜などは、手でちぎって教えたそうだ。こうして、アルカポネたちは、玄米菜食を自炊するようになったのだ。玄米菜食を続けているうちに、驚くべき変化が、彼らにみられるようになったのだ。
どんな、変化かね。
ー明日のお楽しみとしよう。
おわび;昨日、予告した「身土不二」と切腹の続編を書くこ とは、諸般の事情で、本日の掲載はできないこととなった。おわび申し上げる。いずれ、近いうちに書く予定である。
(注記)本日のテーマは、7年前、ある新聞に掲載したものに、いささか修正をほどこしたものである。