時事通信の報道です。
オンライン提訴、原則義務に 民事IT化で提言 法務省研究会(時事通信) - Yahoo!ニュース
記事中には「書面のオンライン提出について、(1)任意とする(2)代理人弁護士に義務付ける(3)原則義務付ける―の3段階で進めることを提言」とあります。
(1)は、民事裁判手続のIT化の実現に向けて(報告書(案)) (研究会資料14)における、【丙案】に位置付けられます。
【丙案】「裁判所に対する申立て等(書証の写しの提出を含む。)のうち書面等をもってするものとされているものについては,電子情報処理組織を用いてすることができることとする(士業者も含めて義務化はしない。)」
(2)は報告書(案)のうち【乙案】といわれています。
【乙案】「訴えの提起等裁判所に対する申立て等(書証の写しの提出を含む。)のうち書面等をもってするものとされているものについては,電子情報処理組織を用いてすることができる。ただし,訴訟代理人(法第54条第1項ただし書に規定する訴訟代理人は除く。)がいるときは,電子情報処理組織を用いてその申立て等をしなければならない。」
士業者に限り義務化するという考えであり、簡易裁判所もIT化された際には、認定司法書士も義務化の対象になることとなります。
(3)は【甲案】の考え方で、最も影響があると思われます。
【甲案】「訴えの提起等裁判所に対する申立て等(書証の写しの提出を含む。)のうち書面等をもってするものとされているものについては,電子情報処理組織を用いてしなければならない。ただし,電子情報処理組織を用いてすることができないやむを得ない事情があると認めるときは,この限りでない」
本人訴訟の場合であっても、原則としてオンライン申立てによることとなります。
諸外国の例を見ると、シンガポールが完全電子化となっています。
韓国は片面的電子訴訟があるため、義務化はされていません。
米国は、連邦裁判所と州裁判所で、規律が異なるため、一概に述べることは難しいところです。キング郡(シアトル)では、オンライン申立てが可能ですが、本人訴訟の当事者(とりわけ家事事件)が利用することは稀有であるとのことです。ワシントン州にはLLLTという資格があり、フォームが存する場合には、LLLTによるオンライン申立ても可能としているようです。
ドイツについては、弁護士に関し、2022年から、裁判所電子的法情報交換促進法に基づき、電子的法情報交換に対応しなければならないとされています。また、ドイツ連邦司法消費者保護省次官によると、2026年より、裁判所すべての部門でe-filingを義務化するとのことです。
2020年2月から、法改正に先行して、ウェブ会議等による争点整理が開始されるとのことですが、どの程度利用されるか、注視したいと思います。
裁判所|ウェブ会議等のITツールを活用した争点整理の新しい運用の開始について
なお、報告書(案)は、公益社団法人 商事法務研究会 民事裁判手続等IT化研究会第14回資料として公表されています。
オンライン提訴、原則義務に 民事IT化で提言 法務省研究会(時事通信) - Yahoo!ニュース
記事中には「書面のオンライン提出について、(1)任意とする(2)代理人弁護士に義務付ける(3)原則義務付ける―の3段階で進めることを提言」とあります。
(1)は、民事裁判手続のIT化の実現に向けて(報告書(案)) (研究会資料14)における、【丙案】に位置付けられます。
【丙案】「裁判所に対する申立て等(書証の写しの提出を含む。)のうち書面等をもってするものとされているものについては,電子情報処理組織を用いてすることができることとする(士業者も含めて義務化はしない。)」
(2)は報告書(案)のうち【乙案】といわれています。
【乙案】「訴えの提起等裁判所に対する申立て等(書証の写しの提出を含む。)のうち書面等をもってするものとされているものについては,電子情報処理組織を用いてすることができる。ただし,訴訟代理人(法第54条第1項ただし書に規定する訴訟代理人は除く。)がいるときは,電子情報処理組織を用いてその申立て等をしなければならない。」
士業者に限り義務化するという考えであり、簡易裁判所もIT化された際には、認定司法書士も義務化の対象になることとなります。
(3)は【甲案】の考え方で、最も影響があると思われます。
【甲案】「訴えの提起等裁判所に対する申立て等(書証の写しの提出を含む。)のうち書面等をもってするものとされているものについては,電子情報処理組織を用いてしなければならない。ただし,電子情報処理組織を用いてすることができないやむを得ない事情があると認めるときは,この限りでない」
本人訴訟の場合であっても、原則としてオンライン申立てによることとなります。
諸外国の例を見ると、シンガポールが完全電子化となっています。
韓国は片面的電子訴訟があるため、義務化はされていません。
米国は、連邦裁判所と州裁判所で、規律が異なるため、一概に述べることは難しいところです。キング郡(シアトル)では、オンライン申立てが可能ですが、本人訴訟の当事者(とりわけ家事事件)が利用することは稀有であるとのことです。ワシントン州にはLLLTという資格があり、フォームが存する場合には、LLLTによるオンライン申立ても可能としているようです。
ドイツについては、弁護士に関し、2022年から、裁判所電子的法情報交換促進法に基づき、電子的法情報交換に対応しなければならないとされています。また、ドイツ連邦司法消費者保護省次官によると、2026年より、裁判所すべての部門でe-filingを義務化するとのことです。
2020年2月から、法改正に先行して、ウェブ会議等による争点整理が開始されるとのことですが、どの程度利用されるか、注視したいと思います。
裁判所|ウェブ会議等のITツールを活用した争点整理の新しい運用の開始について
なお、報告書(案)は、公益社団法人 商事法務研究会 民事裁判手続等IT化研究会第14回資料として公表されています。