
「僕は鹿児島県出身です。鹿児島弁で気合を入れていくぞ、という意味の『チェスト』という言葉を
みんなに贈ります。
みんな立って、桜島まで届くように腹から声を出しましょう。」
ヤフードームのお立ち台で絶叫したのは川宗則選手。
苗床作りのために、わたしが見逃したヒーローインタビューはやはり宗ちゃんでした。
スポーツ紙のサイトを見てみると、最後は冒頭に書いたような言葉で締めくくったようです。
「1、2、3、チェスト!!」
ドーム全体が、まるでライブ会場みたいな一体感だったとか。
そして、NHKのスポーツニュースでもお立ち台の様子を見ることができました。
それによりますと、「チェスト!!」の後に、「おやっとさぁ~!」と手をあげて締めていました。
「おやっとさぁー」は鹿児島弁で、「お疲れさま」の意味です。
職場などで、朝一番の挨拶として「おはよう。お疲れさま」と言うと、
「まだ何も働いてないから疲れていないのに、朝イチのお疲れさまは変だ」ということになります。
でも、それが「おはよう。おやっとさぁ」だと少しニュアンスが違ってくるような気がするのです。
もっとふんわり優しい、生活していること自体への労わりというか・・そんな感じ。
方言でしか伝えられないような、微妙な感じってありますよね。
今にして思えばとても残念なことなのですが、わたしの小学生時代は学校では方言が禁止されていました。
都会に出たときに方言しかしゃべれないのでは馬鹿にされるから・・というような理由だったようです。
うっかり方言を使ってしまおうものなら「方言カード」なるものを首からぶらさげなければなりません。
でも、子供同士の相互判定なので、
「便所は方言だから、お便所と言わなければいけない」といったレベルです。
しかも、言葉自体は共通語でもイントネーションは鹿児島弁のままです。
当時はよかれと思ってしたことでしょうけど、まったく馬鹿げた制度でした。
おかげで、わたしは今も「からいも普通語」と呼ばれる中途半端な言葉を使っています。
(からいもはサツマイモのことです)
職場の「鹿児島弁おねえさん」たちとしゃべるときは若干 方言も織り交ぜますけどね。
その点、宗ちゃんは偉い。 若いのに。
先日も、インタビュアーの「大場投手と何を話していたんですか?」という問いに、
「びんたんけがなげが。はよきらんや」と言っていたと答えていました。
通訳します。
「髪の毛が長いよ。早く切りなさい」 です。
宗ちゃんのSNSを覗いてみたら、「チェスト!」と「おやっとさぁ」がファンの間で流行りそうな気配。
冒頭の画像は、宗ちゃんの故郷である姶良町から鹿児島市へ向かう途中に見える桜島です。
「おやっとさぁ~」と優しく言われているような姿です。
そして、鹿児島市内から見る桜島は「チェスト!」な感じもしますね。

