今、自衛隊の在り方を問う!

急ピッチで進行する南西シフト態勢、巡航ミサイルなどの導入、際限なく拡大する軍事費、そして、隊内で吹き荒れるパワハラ……

*雑誌『世界』(2019年3月号)の誤謬について!

2019年02月12日 | 自衛隊南西シフト
*雑誌『世界』(2019年3月号)の誤謬について!


今月号の『世界』は、自衛隊の南西シフト態勢に関する特集。石垣島など地元で闘う住民たちの座談会もあり、大変遅まきながらも、重要な企画である。
問題は、この掲載内容に幾つかの重要な誤りや不十分さがあるが、メディアの報道がほとんどない中での、雑誌を読んだ人々が誤った認識を持たないためにも、いくつか注意を喚起したい!。
#自衛隊 #南西シフト #沖縄 #宮古島 #石垣島 #奄美大島 #種子島

①巻頭の石井暁論文――趣旨は南西シフト態勢下の対中戦略を批判しており、「尖閣」の位置付けに問題があるとしても、全体的には南西シフト態勢のしっかりした分析。しかし、以下の記載は、認識不足であり、誤解を招きかねない表現だ。

「(与那国配備完了後)今後、鹿児島県の奄美大島、沖縄県の宮古島と石垣島には警備部隊や地対艦ミサイル部隊、地対空ミサイル部隊を配備する計画が進んでいる」

――「計画が進んでいる」という表現は、普通にはこれから基地建設が始まる、と受けとる。2014・5年にこの文章が書かれているのならいいが、この3月に部隊が開隊・配備される宮古島・奄美大島について、こんな悠長な表現をするとすれば間違いであり、事実認識の誤りだ。

②池尾靖志論文の南西諸島ルポの奄美大島住民運動について!
「(与那国島などでは激しい反対運動が起きた)これに対し、奄美大島では、一部住民らによる反対の声は聞かれるものの、積極的な反対運動は展開されていない」

――これを読まれる奄美大島の反対派の人々は、どう受けとるだろうか。メディアが完全に黙殺している中で、全国の人々も、そのまま、奄美では基地反対の運動はない、と受けとるだろう。
 だが、厳しく、孤立しながらも、「積極的な反対運動」は一貫して続いている。奄美の、こういう運動の困難さに全く配慮することなく、「積極的な反対運動はない」という書き方は、無責任の極みであり、厳しく批判すべきだ。


奄美市「憲法広場」での自衛隊配備反対集会


③池尾論文は、また、馬毛島の軍事化についても、「米軍のFCLP基地」とだけしか書かれてなく、馬毛島の南西シフト態勢下の位置、軍事化について全く理解が出来ていない。ここに至ってこういう認識では、池尾氏だけでなく、『世界』編集部の責任さえ問われかねない。
(同紙115頁では[池尾論文内]、私の提供した「自衛隊の南西諸島等配備計画図」が掲載され、そこには、自衛隊の事前集積拠点等の馬毛島の戦略的位置が明記されているのに!)

④池尾論文は、奄美大島には、「陸自警備部隊と対艦・対空ミサイル部隊」の配備のみが記述されているが、奄美にはこのほか、空自の移動警戒隊・通信基地という二つの部隊が配備されることが決定している。また、奄美にすでに配備されている部隊は空自「分とん基地だけ」と明記されているが、奄美の既存基地は空自通信所(30人)、海自分遣隊(10人)の二つの部隊である。

*いずれにしても、今号の『世界』は、大手メディアが、初めて自衛隊の南西シフト態勢の実状を伝える、そして、先島―南西諸島の人々の、生の声を伝える良い機会であり、一読してほしい。(自衛隊の災害派遣問題の連載記事もあり[島本慈子論文])

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