今、自衛隊の在り方を問う!

急ピッチで進行する南西シフト態勢、巡航ミサイルなどの導入、際限なく拡大する軍事費、そして、隊内で吹き荒れるパワハラ……

種子島での日米海兵隊共同演習に続き、種子島・奄美大島などで行われる生地訓練=市街地演習に抗議を!

2018年10月16日 | 主張
 種子島での日米海兵隊共同演習に続き、種子島・奄美大島などで行われる生地訓練=市街地演習

 南種子島・前之浜海浜公園に展開する海自揚陸艇LCAC(ホバークラフト)、[自衛隊統合演習2017年11月]
#自衛隊 #南西シフト #沖縄 #宮古島 #石垣島 #奄美大島 #種子島

 現在進行中の中種子町での日米海兵隊の共同演習は、地元でのたたかいの広がりもあって、マスメディアにも大きく取り上げられた。問題は、今回の日米軍の目的である、恒常的な中種子町ー種子島の日米海兵隊の共同演習ー軍事基地化を絶対許さないことだ。

 しかし、このためには、今この地で進行している事態を正確に捉えることだ。すなわち、今回の中種子町での日米共同演習は、すでに進行している種子島での自衛隊・米軍の共同演習の延長線上にあるからだ(詳細は、下記に引用する拙著を読んでいただきたい)。
 つまり、この種子島における演習ー市街地訓練は、種子島ー奄美大島の「薩南諸島」を訓練基地・機動展開基地(事前集積拠点)とする、自衛隊の南西シフト態勢の推進の戦略的観点から、猛然と推し進められてきている、ということだ。

 この演習の中心が、下記資料にもある西部方面隊の「鎮西演習」なのだ。この演習は、すでに5年ほど前から始まり、毎年演習を拡大し、種子島・奄美大島などの市街地を蹂躙して広がっている。種子島南部の前之浜海浜公園や奄美大島の江仁屋離島(えにやばなれじま)などは、明確に自衛隊の恒常的訓練場と化している(江仁屋離島は、防衛省の奄美大島配備図に「統合訓練場」として明記)。

(防衛省の情報公開請求提出文書)


 そして、今年も10月22日から始まる「鎮西30」は、「本土」以外では、「奄美市(奄美大島)、鹿児島郡(臥蛇島)、熊毛郡中種子町・南種子町(種子島)、大島郡徳之島町・天城町(徳之島)、沖縄県 : 国頭郡国頭村・本部町、うるま市」(陸幕発表)で行われようとしている。この演習場所は、なんと、ほとんどが沖縄を除いて民間地・市街地なのだ。

 このような、市街地での演習を大々的に行う場所が、「本土」では存在するだろうか。「本土」では、言うまでもなく自衛隊・米軍の演習場所は、専用の演習場で行われており、しかも、その演習場さえも、北・東富士演習場にみるように、地権者、周辺自治体との「使用協定」を締結するなど、使用が制約されているのだ。
 そうであるにも拘わらず、この奄美大島・種子島ー薩南諸島では、堂々と市街地、民間地での演習がまかり通っているのである。この演習の市街地での恒常化は、間違いなく住民への犠牲を伴う。これは沖縄をはじめ、全国の演習場内外の事故が示している(ヘリの墜落、実弾の誤射、兵士らの犯罪などなど)。
 この戦前を思わせるような、「軍隊の市街地への進出」(旧日本軍の市街地演習には、民間の炊き出し、民泊が要求された)を、決して許してはならない。
 奄美大島ー種子島の市街地での演習の常態化を阻もう! 
 奄美大島ー種子島(ー馬毛島)の軍事要塞化を、全国の力で阻もう!

 奄美大島の運動公園に機動展開する陸自部隊(偽装)


 奄美大島・名瀬港で「生地訓練」で武装警備に付く陸自


 奄美大島・瀬戸内町古仁屋港で展開する陸自「94式水際地雷施設装置」


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拙著『自衛隊の南西シフト―戦慄の対中国・日米共同作戦の実態』、第4章「軍事要塞に変貌する奄美大島」から引用


奄美大島を蹂躙する「生地訓練」という市街地訓練

 江仁屋離島について、住民の同意も得ず、勝手に演習場に組み込み、すでに演習が行われている状況を記述したが、さらに驚くべきことは、奄美大島では遙か以前から市街地での演習が常態化していることだ。

 筆者は、2017年11月、奄美大島を視察し、地元の関係者らと交流する機会を得た。その最初の日に案内されたのが、左頁の「奄美市太陽が丘総合運動公園」であった。モノクロ写真では判明しにくいが、この公園の一角には、陸自の特科部隊が偽装して展開していた。周辺には、車両の大部隊も公園を占拠するかのように展開。
 いや、島の至るところに自衛隊部隊が展開し演習を行っていたのだ。下の写真は、瀬戸内町古仁屋港に展開し、訓練を行っている94式水際地雷施設装置だ。要するに、敵の上陸に備えて、水際に機雷をばらまく水陸両用車である。

 この奄美大島での演習は、陸自西部方面隊が、数年前から行っている「鎮西演習」の一環である。この演習では、先島―南西諸島への機動展開のために、北海道や本州・九州から、戦車・対艦・対空ミサイル部隊などの大部隊が動員されるのだ。「鎮西29」では、約1万4千人、戦車を含む車両3千800両、航空機約60機が動員されている(陸上幕僚監部発表)。

 もちろん、機動展開演習ばかりだけでなく、奄美周辺では実際の島嶼上陸訓練、艦砲射撃を含む着上陸演習も行われているのだ(2013年「自衛隊統合演習」、2014年「平成28年度自衛隊統合演習・島嶼防衛演習」など)。

 ゲリラ対処による市街地の検問

 「生地訓練」とは、陸自教範の『対ゲリラ・コマンドウ作戦』で初めて規定された市街地訓練のことである。自衛隊独特の用語だ。
 自衛隊の市街地への展開は、市の運動公園、港に展開した部隊だけではなかった。次頁写真に見るように、名瀬港には、陸自の検問所が設置され、そこの部隊車両には、「近接戦闘隊形」をとった隊員らの警戒態勢がとられていた。 「本土」では考えられない軍事態勢が、当然のように敷かれているのだ。これが、自衛隊配備を受け入れた島の現実だ(先の政府交渉で防衛省は生地訓練も知らなかった)。 

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平成30年度方面隊実動演習(西部方面隊)の概要について
http://www.mod.go.jp/gsdf/news/press/2018/pdf/20181012tinzei.pdf

陸上自衛隊は、以下のとおり平成30年度方面隊実動演習(西部方面隊)を実施いた
します。
1 目 的
方面隊による島嶼侵攻事態の対処に係る演練を実施し、陸上自衛隊として、各種事態
の対処能力の向上に資する。
2 期 間
平成30年10月22日(月)~11月24日(土)
3 使用予定地域
西部方面区域内 各駐屯地・基地・演習場等
【公有地等】
長崎県 : 南島原市、佐世保市、五島市
福岡県 : 糸島市、北九州市
熊本県 : 熊本市、葦北郡
宮崎県 : 串間市大納
鹿児島県 : 鹿児島市、南さつま市、志布志市、阿久根市、肝属郡南大隅町
奄美市(奄美大島)、鹿児島郡(臥蛇島)、熊毛郡中種子町・南種子
町(種子島)、大島郡徳之島町・天城町(徳之島)
沖縄県 : 国頭郡国頭村・本部町、うるま市
4 担任官
西部方面総監 陸将 湯浅 悟郎
5 訓練部隊
(1)訓練参加部隊等
西部方面隊等
(2)参加規模
ア 人 員 約17,000名
イ 車 両 約 4,500両
(10式戦車4両、74式戦車4両、16式機動戦闘車8両を含む。)
ウ 航空機 約 65機(UH-60JA、CH-47J(JA)等)
6 特 色
島嶼侵攻事態対処能力の向上を図る実動演習であり、西部方面隊に加え、陸上総隊、
北部方面隊、東北方面隊、中部方面隊等の部隊が自衛隊施設以外の施設・区域を含む
西部方面区全域に展開し、一部においては米軍施設を使用する。
(問い合わせ先)
陸上幕僚監部広報室 安達、三井(担当)
(03-3268-3111 内線40083)


平成30年 度 日 米 共 同 統 合 演 習 ( 実 動 演 習 )
「 K e e n S w o r d 1 9 / 3 0 F T X 」
自衛隊と米軍は、下記のとおり平成30年度日米共同統合演習(実動演習)を実施します。

1 演習の目的
武力攻撃事態等における自衛隊の運用要領及び日米共同対処要領を演練し、自衛
隊の即応性及び日米の相互運用性の向上を図る。
2 実施期間
平成30年10月29日(月)~11月8日(木)

3 実施場所
自衛隊施設、在日米軍基地、対馬及び我が国周辺海空域並びにアメリカ合衆国グアム、
北マリアナ諸島自治連邦地区及びそれらの周辺海空域
4 統裁官
(1) 自衛隊:統合幕僚副長 陸 将 本松 敬史
(2) 米 軍:米軍計画
5 主要演練項目
(1) 水陸両用作戦
(2) BMD/防空作戦
(3) 海上作戦
6 演習参加部隊等
(1) 自衛隊
ア 機関等
統合幕僚監部、陸上幕僚監部、海上幕僚監部、航空幕僚監部及び情報本部
イ 陸上自衛隊
陸上総隊、各方面隊等
ウ 海上自衛隊
自衛艦隊、各地方隊等
http://www.mod.go.jp/js/
統合幕僚監 部 報 道 発 表 資 料
エ 航空自衛隊
航空総隊、航空支援集団等
(2) 米 軍
インド太平洋軍、在日米軍等
(3) その他
一部の訓練に加海軍艦艇が参加予定
7 演習参加規模
(1) 自衛隊:人員約47,000名、艦艇約20隻、航空機約170機
(2) 米 軍:人員約9,500名
(3) 加 軍:艦艇2隻
8 その他
(1) 日米共同統合演習は昭和60年度に開始され、概ね毎年、実動演習と指揮所演習
を交互に実施。実動演習は今年度で14回目である。
(2) 豪軍、加軍、仏軍、韓国軍及び英軍からオブザーバーを招へいする
http://www.mod.go.jp/js/Press/press2018/press_pdf/p20181012_05.pdf


統合水陸両用作戦訓練(実動訓練)の実施について
http://www.mod.go.jp/js/Press/press2018/press_pdf/p20181012_06.pdf

1 目 的
統合水陸両用作戦訓練(実動訓練)を実施し、水陸両用作戦における自衛隊の戦術技
量の向上を図るとともに統合運用の資を得る。
2 期間
平成30年10月15日(月)から10月24日(水)
3 実施場所
海上自衛隊佐世保地区から種子島に至る海空域、同島周辺海空域及び同島から海上自
衛隊横須賀地区に至る海空域
4 主要訓練項目
(1)ボート・AAV・ヘリコプターによる着上陸
(2)LCACによる揚陸から沿岸支援地域(BSA)開設までの一連の行動
5 訓練参加部隊等
人員約510名、艦艇1隻、航空機2機
(1)統合幕僚監部
人員約10名
(2)陸上自衛隊:陸上総隊
人員約300名、CH-47JA 2機
(3)海上自衛隊:自衛艦隊
人員約200名、輸送艦「しもきた

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