古書肆雨柳堂

小説の感想。芥川龍之介、泉鏡花、中島敦、江戸川乱歩、京極夏彦、石田衣良、ブラッドベリ、アシモフ、ディック

『功名が辻』

2006-07-02 19:55:20 | 司馬遼太郎
 ドラマでお馴染みの作品です。信長、秀吉、家康に仕えた山内一豊の出世とそれを支え、内助の功と讃えられた妻ちよの内情を描く物語です。

 ちよの機転によって一豊は出世を重ねていきます。しかしあまり口を出しすぎると、「さかしらな女」と敬遠されかねません。ちよはでしゃばらず、一豊をうまく立てます。
 もちろん夫婦が本当に作中のような会話をしたかどうかは分かりません。しかし戦国時代は必ずしも男(武士=戦)だけの世界ではなかった、という感じがよく伝わってきます。

 ドラマでは一豊があまりに「いい人」に描かれていて、「弱肉強食」の戦国時代でそんなんで生き残れたわけないだろう、疑問に思っていました。一豊が土佐一国を与えられ、先住の長曾我部一族を服従させるところでは、この実情が描かれています。
 まあ、こんな手を使ったのか・・・

 これが幕末の上士・郷士の対立の起源となったと思うと、歴史の因果を感じます。


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