古書肆雨柳堂

小説の感想。芥川龍之介、泉鏡花、中島敦、江戸川乱歩、京極夏彦、石田衣良、ブラッドベリ、アシモフ、ディック

東野圭吾『どちらかが彼女を殺した』『私が彼を殺した』

2005-08-24 23:30:51 | SF

『名探偵の掟』の宿題
 推理小説の「お約束」を指摘したこの作品の中ではこのように述べられていました。「読者はろくに推理なんかしていない。探偵が謎解きのを読んで、自分で納得した気になり、満足しているだけだ」
 これにはギクッとしましたね~。確かにそういうところがあるので。そんな怠け者のために書かれたのが、タイトルの2作品です。

 なぜならこの作品では謎解きが行われていないからです。なくなってわかる「謎解き」の便利さ・・・、自分で必死に考えなければなりません。

 心理描写も見事です。『どちらかが・・・」では容疑者が2人、『私が・・・』では3人。謎解きが行われないので、容疑者みんなが犯人かな?とおもってしまうように、犯人への憎しみを語っています。

 内容には触れないことにしておきましょう。それが醍醐味ですからね。


東野圭吾『名探偵の掟』

2005-08-24 23:14:40 | SF

 名探偵の登場するシリーズものです。こう書くとよくありそうな話だな~と思うかもしれませんが、大きく違います。・・・おおきく違うところ、それは登場人物が作品中の登場人物であることを自覚しており、その役割を十分に果たそうとしているのです。
 そうして推理小説の「お約束」を皮肉たっぷりに滑稽に描いているのです。