8月6日(水)、参議院議員会館会議室でおこなわれた、DIOジャパン社(本社・東京都中央区)の賃金不払い等の問題での厚生労働省交渉の概要をご報告します。その後、鶴岡市での情報開示と突き合わせたりしていて、まとめるのが遅くなってしまいました。
また発言しながらだったので、半分位しか記録していませんが重要なやりとりがおこなわれました。
大門実紀史参議院議員と小池晃参議院議員秘書、東北各県の党県議・市町議、全労連と宮城県労連などが参加しました。
同社は、東日本大震災の復興にむけて実施されてきた、国の緊急雇用創出基金事業を受託、東北地方を中心に全国でコールセンター事業などをおこなってきましたが、今年4月以降、事業所閉鎖、雇い止め、賃金不払い、偽装請負などの問題が噴出しています。
昨年春に鶴岡市が誘致企業として招致した、鶴岡コールセンターも今年7月末で閉鎖・全員解雇が通告され、党市議団が労働者支援の取り組みをおこなっています。
大門 事態が動いているので、現在の状況がどうなっているのかまず厚労省から説明を受け、状況認識を共有する。そしてそれぞれの地域が抱える問題をそれぞれ出す、というように進めたい。
職安局課長補佐 DIO社が事業停止したので建て替え払いの検討をおこなっている。適用するケースは二つ考えられる、一つは、破産申し立て等の法律上の倒産、もう一つは、法的手続きをとらない事業停止。倒産の場合、破産管財人の証明が得られた範囲でおこなわれる。二つ目の場合、労働者からの認定申請による。
適用の要件は、1労災適用事業、2一年以上の事業活動、3中小企業=資本金5千万円以下か百人以下、4再開する見込みが無い、5賃金支払い能力がない。その上で、監督署長が認定する。
認定が行われた場合、個々の労働者から未払いの確認をおこなう。現在、複数の子会社から申請されている。いわき、鶴岡、石垣、花巻、洋野、釜石、愛媛松山市。
美里町議 緊急雇用創出事業は「一年未満」だとすると要件に該当しなくなる。ただし、DIO本社そのものが経営をほとんどおこなっているし、事業も本社と契約した。まだ未払いは出ていないが、発生した場合、なんらかのご配慮をお願いしたい。
補佐 要件の緩和は難しい。
宮城県労働相談センター 6月始めにコールセンター(以下。「CC」)の会議開催、東北6県の組合の会議もおこなった。HPでよびかけたらその日の内に従業員から連絡があった。「入ってみたら3ヶ月の有期雇用、名ばかりの研修で、仕事も無く、1ヶ月経ったら『東京本社に出張』で楽天トラベルに配属、イケアなどに配属の人もあった。埼玉にアパート借りて品川まで出勤、収入は本社へ入ったようだが、『役場には言うな』と口止め。」「夫婦で登米に入った。子どもの1才3ヶ月。夫は辞めた。DIOは酷い。それを認めた行政はなんだ」。
いわき市議 「立替払いの申請受けるように」の通知が出たことはありがたいが、それまでは労基署で「申請を受けるな」という対応。今後はどうなるのか。
関 鶴岡の労基署でもつい最近まで「上の方でやっているのでここでは何も言えない」と受付拒否。その上、「この会社はだめかも知れないよ」などという話しもしている。「立替払いの適用は難しい」という心証を持っているのか?
補佐 現時点では、期待を持たせられないのでそういう説明になったのだと思う。調査・検討している。
大門 手続き論ではすまない。厚労省が一体となってやった事業。どこかで厚労省がOKを出している訳だから責任取れ。
職業安定局地域雇用対策室室長(今回の緊急雇用事業の管理全体を担当)
問題が生じていると認識している。赤旗、マスコミの6月中旬からの報道に端を発して。
7月15日付けで中間報告を出した。その後、「収入が上がる仕事があった」など、密告もあり継続調査中。本社もヒアリングをおこない、都道府県を通じて、市町村から委託先の調査をおこなってもらった。まだ個別具体的に明らかにできない。直すべきところは直してもらう。どんな手段で責任をとってもらうかいろいろあるが、まだ確定的でない。
大門 7月31日で本社全員解雇、営業停止状態。個々の子会社がどうなっているか、8月以降も形が残っているCCもある。
関 鶴岡センターの未払い26名、その内、母子2人暮らしの方を含めて20~40代の女性4名で鶴岡市、ハローワーク鶴岡、庄内労基署に要請に行った。その都度、TVカメラに囲まれ、マイクを突きつけられながら、彼女らが主張してきたことを代弁する。
「40才であり、これが最後の仕事と考え、仕事を辞めて応募。酒田市から会社の側に転居した」。
「働いた分払ってもらいたいだけなのに8割しか出ないということ自体納得いかない。」
「『国の事業だから安心』震災復興の意義ある仕事』と思って就職した。」
鶴岡市にとっても、厚労省に照会し「震災復興事業の対象になる」と確認を得て始めた事業。10年振りの企業誘致だった。研修生が研修の講師をするような事業であったこと、賃金未払い事件がおこったことなどについて、鶴岡では、「国の事業が問われている」と繰り返し報道されている。
彼女らの願いは、1新たな雇用の確保、2生活支援、3真相の解明ー「なぜこんなことになったのかわからないと次に進めない」ということだ。国の責任で速やかに応えてもらいたい。
秋田県議 単に建て替え払いがどうかではない。TDKで首切られ、今回二度目。100%払ってもらいたい。
小池晃参院議員秘書 厚労省で関係自治体会議をなぜ開かない。みんな困っている。
宮城県議 本社の解雇は?
室長 状況がわからないが「全員解雇」と聞いている。継続して確認できるようになればいいが。
登米市議 プリンスホテルの仕事で、「宿泊予約受付」がおこなわれ、成約一件で5万円入ったとい う。米の販売委託者が2人いたが、売り上げても支払いが無いという。救済の対象にして。
室長 研修の実態がどうなっていたか確認中。「委託販売」も聞いているが、従業員の賃金未払いとは違って、取引にあたるので今回の話しの対象外。
大門 どこか一カ所でも実態を調べて、差し押さえなど速やかに対処すべきだ。じっくりやっている と何もなくなってしまう。賃金の立て替え8割は当たり前、残りの2割は国県市町村が責任を持つ などして、労働者に迷惑かけないように。皆さんに言っても仕方無いが、国会で大臣にそういう答 弁を求めるような案件。
宮城県議 3月に経済誌で本門社長を天まで持ち上げる記事。週間ダイヤモンドでも「目標は10年後に1千億円企業」と大々的に報道。そこに出てきた緊急雇用事業に飛びついた、計画的詐欺行為。
室長 大門議員の言うように色々な手段を取り得るが、例えば刑事告発をするにも資料がいる。返還も金額の確定が必要。遅いとか手ぬるいとかのご意見はあるが。関係自治体にもよく話をしながら進めなければならない。
研修期間(国事業の該当期間)の未払いは明らかに問題。その後、事業の中で発生した未払いは別の問題。研修期間の状況把握としい一番ゆるいチェックは一年間経過した時点での報告を求めることだが、今回は自治体で定期的にチェックをおこなってきた。
大門 前代未聞の事件。意図的詐欺なのかどうか真相解明しなければならない。
にかほ市議 TDKの解雇で難儀しているところに起こった事件。雇用確保を何とかしなければならない。
宮城県議 一体の会社として扱って(賃金立替払いの適用を)。自治体との連絡を取らせて。
室長 なるべく情報提供はする。
小池晃参院議員秘書 30人解雇なら「大量解雇」(職安への報告が必要な)案件となる、特別な対策をやる上でも、厚労省が速やかに、集中した実務をおこなうべき。
室長 そういうことも含めて、再就職もできるよう、努力しているところ。
宮城県労働相談センター 取り組みのスピード早めて、「お願い」ではだめ。この会社は「出張も全部口頭」「出退勤もパソコン」などわからないように隠してきた。一人分のデータもらった。厚労省の大きな力でやらないと。
大門 違法性の認識は厚労省も共有している。
室長 皆さんのお話でそうだろうなと思うことはあるが、一方で、警察が動くにはそれなりの証拠をそろえなければならない。
大門 私たちの情報も提供しましょう。
室長 労働者からも「どういう研修だったか」聞き取るし、必要に応じて取引企業も調査する。申告 があれば調査する。秋田は、「申告」でなく「情報提供」だった。
羽後町議 「誰が責任追うのか」と町民から聞かれている。町の特産米を非常に高額で販売していた。
全労連 全容解明にそれなりの時間かかる。しかし、それと切り離して、労働者の未払いはできるだけ早く解決すべき。
いわき市議 補助金を利用して不正な金を得ただけでなく、労働者の人権を蹂躙した。期待した雇用は無く、労働者同士でも差別があった。全国から告発の電話、メールが殺到しているが、一番多いのは、「くやしい」「解明して」の声。是非、「直接厚労省にも連絡するように」と話している。ある労働者がある書類を持ち帰った。「各地のコールセンターでどれだけの収入を得たか」。私どもも協力していきたいので厚労省の奮闘を期待する。
5時頃には会館を出ましたが、外はまだサウナ状態でした。
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