昨日の投稿をダイジェストにしました。文字色など、私です。
<意見書案> 割愛
<佐藤博幸議員反対討論要旨>
☆平成12年に始まった介護保険制度は、介護の受け皿を整備することによっ
て、医療費を抑制することが目的の一つだったが、当時はまだ介護基盤の整
備が十分でなかった。
○そのため、療養病床の一部で、
「入院して治療を続ける必要が無くなったのに退院しない」
「介護する人手がいない」などいわゆる社会的入院や、
「冬の間だけ入院する」ー越冬入院の受け皿となってきた。
☆一人当たり一ヶ月にかかる費用は、
有料老人ホーム25万円前後、
特別養護老人ホーム32万円、
老健施設33万円
介護型療養病床は44万円、最も高い医療型療養病床は49万円
☆中央社会保障医療協議会の調査では、
「医療がほとんど必要ない人と、週1回程度でよい人」で8割近く
○こうした人たちは、必要に応じて医師の診察を受けた上で、看護師が対応す
れば十分であり、入院する必要性が無い。
○本当に必要なのは、生活を助ける介護や機能回復訓練なのに、病院では薬
漬け・検査漬け、身体拘束・床ずれも多い例がある。
☆医療費高騰の要因として、欧米に較べて病床数が3倍、入院期間が3倍、医
療従事者が3分の1と言われる。
☆療養病床廃止というが、実際は病院から介護施設への衣替え。
☆この改革が避けて通れない理由は
一、社会的入院を無くさなければならないこと、
二、高齢者は介護施設などで生活し、専門の職員にお世話をしてもらう方が、
質が高く快適に過ごせる可能性が広がるし、使える部屋も介護施設の方が
病院より広く、生活の場に相応しいこと、
三、給料の高い医師や看護師の配置が、介護施設の方が少なく、コストが低く
て済むこと。
☆本市には、療養病床192床あり、内介護型病床は5施設81人定員。
○現在療養病床にいる高齢者にとっては、病院が介護施設になったり、病院か
ら介護施設に移されたりすれば、医療やサービスの負担がどうなるのかという
不安もある。受け入れてくれる代わりの介護施設があるのかという不安も残
る。
○政府は、丁寧な説明をし、十分な受け入れ施設を準備した上で進めていくこ
と、合併症などにより全身の医療管理が必要な人には、医療の必要度に応じ
た評価区分を、実態を十分反映したものになるようにすることを要望する。
<関徹賛成討論>
☆療養病床削減計画は、現実の医療の状況、療養型病床の状況を考えれば、決
して実施されるべきではないし、実施することのできるはずのない、極めて危険な
計画。
1)第一の問題は、「社会的入院が半分もいる」などという主張自体が誤りであること。
☆7月1日から実施される診療報酬の改訂で、入院患者をADL区分で三段階、医
療区分で三段階に分け、一番低い区分の診療報酬を、とても病院が経営してい
けないほどの低い水準に引き下げた(「追い出せ」ということ!)。
○日本療養病床協会がおこなった調査では、最も低い医療区分Ⅰに該当する患
者が49.9%。山形県保険医協会の調査では45.8%。この区分の患者の状
態を見ることで、政府の言う「社会的入院」なるものの実態を知ることができる。
○療養病床協会は、5930人の患者から250にのぼる症例を報告。
「末期癌で転移があるが癌性疼痛はない」
「四肢麻痺であるが頭部外傷による」
「胃ろうがほどこされているが、発熱は無い」などなど、
区分Ⅱ、Ⅲの19疾病及び状態から外れる人はすべてⅠに分類される。
☆軽度とされる方も、看護師を始めとする専門職が配置をされている療養病床だ
からこそ、「軽度」の状態が保たれている。
○「口腔ケアによる肺炎予防」
「尿量測定等の観察などをもとにした尿路感染予防」などなど、
介護施設や、ましてや在宅では、困難なケア。
○そうしたケアが失われれば、容易に重症化するというのが、療養病床の大半を
占める高齢者の特徴。
2)二つ目に、療養型病床が削減された後に、退院患者が安心して療養できる場所が
確保される見通しが無い。
☆今でさえ、特養待機者が全国に34万人、鶴岡でも500人超。介護基盤の整備
はまだまだこれからの課題。療養型を減らした分、どういう施設整備をするのか
が無い。
☆「老人保健施設や老人ホームへの転換を支援する」などと言っているが、療養病
床と一人当たり病床スペースが異なる老健施設などへの転換は、大きな改造を
必要とし、おこなえる病院は限られる。
☆しかも、医療的処置を要するような人は、老健や特養などでは対応が困難だとし
て、受け入れが厳しく制約されており、現行の療養病床が仮に介護施設に転換し
たとしても、受け入れが困難な方々が多く発生する。
3)第三に、医療費抑制策の誤り。
☆政府は、「医療費が増大して医療保険制度が破綻する」などと主張するが、そも
そも日本の医療費は、GDP費に占める医療費の割合が、OECD加盟国中18位
であることに示されるように、世界的には低い水準にある。
医療には一層の財源を投入して、安全・安心、ゆとりの医療を築いていくことこそ
が国民の願い。
☆「療養型病床削減による医療費削減」には重大な問題が隠されている。
○「療養病床で一ヶ月約49万円かかる」?
→一年以上入院している患者は、その約7割(33万円)程度。
○「特養は32万円、老健が33万円」?→実際には、35~40万円
→介護給付に加えて、療養病床の費用計算と同じように、減価償却等資本費
や医療費・自治体の超過負担を計算すれば、35~40万円程度、
○在宅でも本当に必要な介護をおこなえば療養病床以上にかかる。
(以上、日本福祉大学の二木氏の研究など。)
☆つまり、療養病床削減による医療費べらしは、削減される23万床の患者の少な
くない部分が、施設にもいかず、在宅でも十分なサービスを受けないことによって
初めて可能となる。
☆なお、「病院では薬漬け・検査漬け」などと言ったが、療養型は「包括払い」であ
り、いくら投薬をしたり検査をしても収入は増えない。
どこにそういう事例があるのか?
4)山形県・庄内の特殊性を見なければならない。
☆山形県の65才以上人口10万人比療養病床数は 648床で47位。最も多いの
は、高知県の 3980床。
☆一方で、特養・老健・軽費老人ホームの三つ合計は、全国平均超=山形県で
は、社会的入院なるものの割合が全国で最も少ないと考えられる。
☆高齢化率、高齢者のみ世帯数、所得水準の低さなどの条件も考えれば、療養病
床が削減された時に、最も深刻な問題が発生すると考えられる地域。
☆市長が「お医者さんの治療が必要無い方が半分ぐらい、病床が消えてなくなる訳
でない」と言ったが、その主張が誤りであるだけでなく、この地域の実情は、どこ
にも増して深刻。
☆鶴岡には、医療型、介護型合わせて388の療養病床。この間、医師、看護師、
事務管理者のお話を聞き、鶴岡の療養病床の多くの患者さんが「社会的入院」な
どとして追い出しのターゲットにされている、大変な事態だと痛感。
☆主に以上の4つの点から、鶴岡市議会としては今次意見書を是非とも採択し、
法が改悪されたもとでも、その具体化を許さないために全力を尽くしていくべきで
あると強く訴える。