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早野巴人の世界(その九)

2004-10-11 11:22:07 | 巴人関係
(その九)

早野巴人の世界(その九)

○ 晋化去りぬにほひ残りて花の雲  嵐雪
○ 玄峰居士匂ひのこりて花の雲   宋阿(巴人)
○ 花の雲三重にかさねて雲の峰   蕪村

 この三句は、蕪村の「宋阿の文に添ふる辞」からの抜粋である。宋阿は早野巴人の晩年の号。掲出の句の「晋化」は「晋子」の号を持つ「其角」のこと。「玄峰居士」は晩年の禅に傾倒した「嵐雪」のこと。この嵐雪の句は、其角の「白雲や花に成りゆく顔は嵯峨」の句に想いを馳せての嵐雪の其角への挨拶の一句。そして、この夜半亭一世・巴人の句は、それらの其角・嵐雪の句を偲んでの巴人の嵐雪への挨拶の一句。そして、夜半亭二世・与謝蕪村は、芭蕉・其角・嵐雪の流れの夜半亭一世・巴人に想いを馳せての挨拶の一句。この三句を並列して鑑賞するとそれぞれがそれぞれに呼応しあって、俳諧の本質の一つである「挨拶」(存問性)ということに思い至る。この「存問(ぞんもん)」は晩年の高浜虚子がよく用いたもので、「日常の存
問が即ち俳句である」と喝破した。嵐雪・巴人・蕪村、そして、現代俳句に大きく影響を及ぼしている虚子もまた一つの巨峰であろう。




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