丈草の「鷹」の句
○ 鷹の目の枯野にすわるあらしかな
季語は「鷹」と「枯野」で冬の句。この鷹は鷹狩と密接不可分で、万葉の時代からよく題材とされるものの一つである。枯野は芭蕉の「旅に病んで夢は枯野をかけめぐる」の絶吟以来、蕉門の最も神聖な季語ともいえるものであろう。
内藤丈草は、その蕉門にあって、芭蕉に最も心酔した俳人の一人で、芭蕉もまた己に心酔している丈草に好感以上のものを抱き、晩年の芭 . . . 本文を読む
古俳諧・発句鑑賞(その一)
○ 手をついて歌申上ぐる蛙(かわず)かな
俳諧の始祖といわれている山崎宗鑑の句である。宗鑑の生没年は未詳。没年は天文八年(一五三九)
・九年の頃と推察されている。連歌の時代の人で、その編著の『犬筑波集』が、連歌から俳諧への撰集の緒とされている。古今集の「花に鳴く鶯、水に住む蛙の声」の「もじり」の句であるが、「両手をついて、和歌を詠んでいる蛙」と、雅の世界の「和歌・ . . . 本文を読む