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お祓い(抱一の「禊図」周辺)

2019-01-30 10:28:50 | 第一こがねのこま

 としどしや御祓に捨る多葉粉入  (第一 こがねのこま)
 すずしさは家隆の歌のしるしなり (第一 こがねのこま)
 

「としどしの御祓に捨る多葉粉入」の句は、神社などで、年始から節分までに行う「厄除け(厄落とし)のお祓い」の句と解したい。この「多葉粉入」(煙草入れ)は、旧年に頂いた厄除けの贈り物の「煙草入れ」などを、火の中に捨てるというようなことなのかも知れない。
 この句は、光琳や抱一の主要な画題の、『伊勢物語』の、「禊図」とは関係はない。この句の次に収載されている、次の「すずしさは家隆の歌のしるしなり」は、「夏越しの祓」(ナゴシノハラエ)の句で、こちらは、光琳の「家隆禊図」などと関係する句なのであろう。



抱一画集『鶯邨画譜』所収「禊図」(「早稲田大学図書館」蔵)
http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/chi04/chi04_00954/chi04_00954.html

 尾形光琳の「禊図」は下記のとおり。



尾形光琳筆「禊図」一幅 絹本着色 九七・〇×四二・六cm 畠山記念館蔵
【 この図は藤原家隆(一一五八~一二三七)の「風そよぐならの小川の夕暮にみそぎぞ夏のしるしなりける」の歌意を描いたもので「家隆禊図」ともいわれる。左下に暢達(ちょうたつ)した線にまかせて、簡潔に水流の一部を表わし、流れに対して三人の人物が飄逸な姿で描かれ、色調は初夏のすがすがしさを思わせる。「法橋光琳」の落款、「道崇」の方印がある。 】(『創立百年記念特別展 琳派(東京国立博物館編)』所収「作品解説131」)

尾形光琳は、下記の宗達の『伊勢物語』(第六十五段)の「禊」の場面の「恋せじと御手洗川にせし禊神は受けずもなりにけるかも」に対して、藤原家隆の「風そよぐならの小川の夕暮にみそぎぞ夏のしるしなりける」の歌意を上部に「楢の木」を配して表現している。。





宗達派「伊勢物語図屏風」の部分図「禊図」(「国華」九七七)
画賛「恋せじと御手洗川にせし禊神は受けずもなりにけるかも」

 ここで、『鶯邨画譜』の「禊図」は、「風そよぐならの小川の夕暮にみそぎぞ夏のしるしなりける」(家隆)の「禊」の場面よりも、「恋せじと御手洗川にせし禊神は受けずもなりにけるかも」(『伊勢物語』)の「禊」の場面のように思われる。





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