年尾の俳句(その三)
十一 のびきりし鴨の首かな水をたつ (昭和十一年・三十六歳)
十二 そぞろ来て夜の梅林を抜けんとす (同上)
十三 一つ長き夜の藤房をまのあたり (同上)
十四 大原は時雨れつつ月出づるかな (昭和十二年・三十七歳)
十五 わが船の水尾に傾き日覆舟 (同上)
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六 春立つやそぞろ心の火桶抱く (大正十五年・二十六歳)
七 踊る人月に手を挙げ足を上げ (昭和十年・三十五歳)
八 秋晴やかみめの尻に水の映え (同上)
九 なつかしき父の古郷月もよし (同上)
十 土器に浸みゆく神酒や初詣 (昭和十一年・三十六歳) . . . 本文を読む
年尾の俳句(その一)
一 秋の蚊の灯より下り来し軽さかな (大正七年・十八歳)
二 遠き家の氷柱落ちたる光かな (大正九年・二十歳)
三 肩より足へ単衣の縞や走るよし (大正十年・二十一歳)
四 暑き町を流れゐて夜の人通り (同上)
五 解け初めて雪の表や沈みゆく (大正十二年・二十三歳) . . . 本文を読む