諸国任到来 順混雑 京
一 月花や日本にまはる舌の先 畔石
◇季語は「月」(秋)、「花」(春)の二つあるが、ここの月は花の季節の月であり、主たる季語は「花」。○舌の先は「舌先三寸」(口先だけの巧みな弁舌)の意か。◎句意は、「月を愛で、花を愛で、その月や花の句が、日本中に舌先三寸で、詠まれていることだろう」の意か。(参考)「月花の初は琵琶の木どり哉」(釣雪『曠野』)の季語は . . . 本文を読む
二
以上で大体抄出を了ったわけであるが、本書を通覧して先ず注意されることは、前年のに比して編纂上にかなりの変貌が認められる事実である。即ち元文三年のは何と言っても東帰後日も浅い撰集のこととて、量的にも僅か数葉の貧弱なものにすぎないが、巴人自身としては江戸俳壇返り咲きの記念すべき第一集として、粗末ながらも相応に対外的な効果を . . . 本文を読む
〔参考文献一:「国語と国文学(昭和二三・第一二号)」・丸山一彦稿〕
元文四年夜半亭歳旦帖について
---巴人並びに蕪村に関する新資料---
一
巴人が第二の故郷京都を去って、再び東武に帰ったのは、周知の如く元文二年四月のことである。その後日を経て水無月の頃には本石町鐘楼のほとりに夜半亭を開き . . . 本文を読む
夜半亭宋阿(早野巴人)の年譜
延宝 四 一六七六
○巴人・一歳。下野国(栃木県)那須郡烏山に生まれる。
△芭蕉・三三歳、嵐雪・二三歳、其角・一六歳。桃青(芭蕉)・信章(素 堂)著『江戸両吟集』成る。 ◇淡々誕 . . . 本文を読む
芝光興行
一 今もその彼岸桜はしだれたり 芝光
春(彼岸桜)。○ 彼岸桜=桜の一種で春の彼岸の頃花の開くもの。○ しだれ=枝垂れで、下に垂れていること。◎ 春分の彼岸の頃咲くその彼岸桜は、今も、かっての在りしままに、枝垂れ咲いているの意。「今も」には其角師匠が在世の頃のままに、その俳風が影響力を及ぼしているの意も込 . . . 本文を読む
『卯花千句(巴人撰)』の構成など
『卯花千句』の構成は、「序」・「卯花千句書抜」(第一~第十及び竟宴)・「千句発句」(発句順に十句)・「竟宴二百員」(撰者・巴人の発句二句)・「跋」という内容となっている。すなわち、「卯の花」に関連する発句十句に対して、それぞれ百韻を巻くという、いわば、「百韻・十巻」の千句興行に、さらに、興のおもむくままに、巴人の発句で、百韻・二巻を巻いたということなる。
そして . . . 本文を読む
松井田三吟関連
☆ 千之のこと。(「儘田千之」のこと)。
『民家童蒙解』の序文
「堯民先生、門人の懇願に応じて、日比演説せられたる事を、自ら書して儘田千之にあたふ、千之が曰、此書他見せざらしむといへ共、足下に於て縁あるを以、見せしむる事を私すと、予この書を袖裏にし、よりより灯火に紐とき見るに、さらに秘すべきに非ず、其要たる事、人倫を正し、天理を明らかにす、皆古の聖賢の語によって発明して、門 . . . 本文を読む