「抜萃のつづりその八十二」(発行所 株式会社クマヒラ・ホールディングス 令和5年1月29日 128ページ)
ようやく令和5年版を読むことができた。残るは今年1月に発行した「その八十二」のみ。
珠玉のエッセー。「父の手拭い(てぬぐい)」(藤原正彦)にまた読んで泣いてしまった。初発は文藝春秋4年5月号である。本人は戦後朝鮮から引き揚げてくるときに死にかかった。朝鮮人老婦の手当が無かったら助かっていなかった。シベリアに連行される父は「腰の手拭いで自分に頬かぶりしてくれた」が、いまのウクライナのキエフからの避難民との状況を重ねた話には涙が止まらない。
59ページの「幸せは自分の中にある」(高田明和)は、自分の幸せは自分にしか分からないもので、心の病は最終的には自力で治す他に道はないということ。本人は薬を服用せずうつ病を克服できたのは、座禅や禅の言葉が励みになったからだという。
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