横浜港北おもちゃ病院の活動記録

ドクターの一人であるYoshi61が代表して記録しています

スマホのおもちゃと時計のおもちゃ(菊名地区センター)

2024-07-14 09:26:01 | 活動の記録

蒸し暑い日が続きますね。本日、7月13日(土)は菊名地区センターで活動しました。3連休の初日ですが、持ち込まれたおもちゃは11件。ラジコンやトーマスのおもちゃなど色々ありましたが、苦労したのがスマホのおもちゃでした。もう一つ、大変古い時計のおもちゃもありました。この二つをご紹介します。

 

1)スマホのおもちゃ(フィッシャープライス製)

ボタンを押すと音や音楽がなるのですが、鳴らなくなってしまったとのこと。これはスピーカー故障だから簡単と思ったら、大変な修理になりました。

一般的なおもちゃは、表のパネルと裏のパネルをねじ止めしてあります。しかし、このスマホのおもちゃ、裏側を見てもネジがありません。よくあるはめ込み式なのかと思って、薄い刃先の剥がし工具で白い表のパネルを外そうとしましたが、びくともしません。

そこで、インターネットを画像検索してみると、同業のおもちゃドクターが情報提供しているサイトがいくつかありました。外周を綺麗に切って開けた方や、圧入されている6箇所の支柱を切った方などでした。後者の方法を参考に、裏側から6箇所の支柱を削り落とすことにし、お客様には、穴を開けないと修理できないことをご説明し、Goサインをもらいました。まずはドリルで穴をあけ、刃先をエンドミルに交換して、表のパネルの支柱(白色)を削っていきます。

あまり削り過ぎると、表パネルに穴が空いてしまうし、削るのが足りないと、支柱が外れません。なんとか、削り終え、やっと中を見ることができました。案の定、スピーカーが不良でしたので交換しました。

小さな子供が遊ぶので、6箇所の穴を埋めねばなりません。耐熱テープで穴を覆い、裏側からホットボンドを充填しました。いやー、大変だったけど、治ってよかった。

 

2)時計のおもちゃ

もち込まれた時計のおもちゃは大変古いらしく、見たことがありませんでした。ボタンを押すと、時計の針が進みます。その針に合わせてデジタルの時刻が表示されます。電池は使っておらず、ボタンを押す力をギヤの回転に伝え、時計の針やデジタル表示の時刻を変化させます。最近の電子式のおもちゃに比べ、よく考えて作られています。

故障内容は針の時刻とデジタル表示の時刻が二時間ずれているとのことでした。これは、中のギヤの噛み合わせがずれてしまているのでしょう。中を開け、仕組みを理解しながら、ギヤを合わせなおします。

開けてみると、案の上、いくつかギヤがありました。試行錯誤しながら、元の戻すことができました。うまく動くとこんな感じ(動画はこちら)。

修理後、調べて見ると、「とけいのべんきょういまなんじ? (野村トーイ製)」と言うおもちゃで、40年前のおもちゃだとわかりました。きっと、時計の針をみて、「何時かな?」と子供に聞き、子供の答えが合っているかどうか、ボタンを押して、デジタル表示を見せるのかもしれませんね。

 

 


パパの大好きなプラレール(篠原地区センター)

2024-05-25 13:57:00 | 活動の記録

本日5/25は篠原地区センターで活動しました。お客様の少ない日でしたが、プラレールばかり7台もやって来ました。

また、地区センターのおもちゃも直しました。

 
 
この日のプラレールの故障は、車軸のピニオンギア(12歯)破損、モーターのピニオンギヤ(8歯)破損、車輪のゴム劣化、連結器にあるリード線の断線、車軸ギヤのクラッチ機構の破損などでした。
 
 
プラレールは長い歴史があるので、両親のお下がりを使って遊んでいるお子さんも多いです。本日のお客様は、お子さんもプラレールが大好きなのはもちろん、パパも大好きなようで、二人で大変喜んでもらえました。
 
地区センタのおもちゃは、車輪が外れていました。この車、フライホイールを内蔵していて、子供達が床に押し付けて遊ぶため、車軸を入れる穴が割れ、車輪が外れているでした。
 


車軸はめてもゆるゆるですし、接着剤でつけても負荷がかかるので直ぐに車輪が外れてしまうでしょう。そこで、割れた車軸の穴の外周に金属の輪をはめることにしました。木の桶や樽などのように、箍(たが)締めにしたわけです。うまい具合に、電気の圧着スリーブのパイプを切り出した輪がぴったりで、うまく嵌め込むことができました。
 


これに、リード線を入れて車軸に押し込み、修理終了!これなら、遊んでも当分壊れないでしょう。
 


 

ボールとじゃれ遊ぶぬいぐるみ(菊名地区センター)

2024-05-12 11:27:11 | 活動の記録

本日5月11日は、菊名地区センターで活動しました。この日、プラレール、木製のブルドーザ、お風呂で泳ぐ魚など15件ものおもちゃがやってきました。なぜか、お正月前でもないのに、前回同様の獅子舞が2台もきました。また、子供に大人気の歩く・吠える犬のぬいぐるみも二匹きました(一匹は、入院となりました。少しお待ちください)。

ご紹介するのは、転がるボールにじゃれ遊ぶぬいぐるみ(モーラー)のおもちゃです。じゃれつくのは、モーラーという架空の動物です。スイッチを入れると、ボールが不規則に回転し、ボールに結びつけられたモーラーが一緒に動くので、ボールと遊んでいるようです。

ボールの中に、電池で回転するモータユニットが入っています。モータユニットには錘(おもり)がついているので、偏心して回転するため不規則に転がる仕組みです。

このモータが回らないので、中を見てみると、ウォームギヤが割れていました。故障原因は簡単にわかりましたが、長さのあるウォームギヤを使っており、手持ちのウォームギヤでは合いませんでした。参加していたドクターにぴったりのギヤを分けてもらい、交換しました。

直してみると、確かにモーラーがボールと遊んでいるようです(動画はこちら)。モーラーって、不思議な生き物です!

 


踊る獅子舞(篠原地区センター)

2024-04-27 22:55:36 | 活動の記録

本日4月27日は篠原地区センターで活動しました。GWに突入したせいか、予約の件数は多くありませんでした。しかし、なかなか面白いおもちゃ(?)を修理しました。

お正月の獅子舞です。

持ち込まれたお客様によると、亡くなったご主人が買った思い出の品とのこと。直さないわけにはいかなくなりました(汗)。本来なら、スイッチを入れると祭囃子の音楽と共に獅子舞が踊るそうですが、全くうごきません。

中を開けて調べてみると、電池ボックスのマイナス側が断線していました。

原因がわかれば、半田付けするだけで修理は完了です。動かしてみると、楽しい祭囃子の音楽と共に獅子舞が踊ります(動画はこちら)。獅子舞が回転すると、足袋の足も動いていますが、特に仕組みがあるわけでなく、獅子舞の体が動くことによって、獅子舞の衣が引っ張られ、足が動きます。修理後、獅子舞が動くとお客様は大変喜んでいただけました。思い出にお手伝いできて光栄でした。

この日、プラレールも持ち込まれていました。意外に苦労したのが(楽しめた?)、このプラレール。

動かないとのことで、まずは電池ボックスを見てみると、電極は緑青でサビサビ。リューターで電極を磨きました。

次にモータユニットを見てみると、内部のギヤが割れています。これは、分解してギヤを交換しました。

さらに、モーターユニットを本体に組み込む突起部分が折れています。これは、プラリペアで補修しました。

最後に、スイッチが折れていました。これは修理が難しい。。。材質がポリプロなので、接着はできないからです。なんとか、補強するしか有りません。クリップを利用して、スイッチのあて木に使い、細いステンレスの針金で縛りました。

だいぶ、見た目が悪くなりましたが、本体カバーをセットすると、スイッチは頭の方しか外に出ていないので、いい感じになりました。

この日、少ないおもちゃ修理となりましたが、思い出にもお役に立てたし、プラレールは重傷で意外に楽しめました。

 


紙しばいの木枠(綱島地区センター)

2024-04-17 11:23:18 | 活動の記録

しばらく、ブログ更新できていませんでしたが、2024年度も活動中です。活動スケジュールは、こちらをご覧ください。

さて、新年度の二回目に当たる4月13日の活動は綱島地区センターで行いました。ここは、毎回、たくさんのおもちゃが持ち込まれるのですが、大変珍しいものを修理しましたので紹介します。なんと、紙しばいの木枠です。

持ち運びができるようになっていて、しまうとこんな感じ。

この木枠、おもちゃではないけれど、幼稚園の先生が子供達に紙しばいを見せるときに使っているとのことなので、修理を引き受けました。今でも図書館に行けば、紙しばいはあるそうですが、この垂れ幕(緞帳)ある木枠を使ってやるのが良いとのこと。最初から紙しばいの絵が見えているのでなく、垂れ幕で隠しておいて、子供達に想像力を働かせワクワク感を持ってもらい、お話を始める時、垂れ幕をゆっくり引き上げるのだそうです。なんでも、知人経由で譲ってもらった木枠は30年前のものだそうです。

故障内容は、この重要な役割を果たす垂れ幕がスムーズに巻き上がらないとのことでした。構造は簡単なのですが、紐を引っ張ると、垂れ幕を巻き上げる芯の軸に巻き付いてしまいます。そこで、紐を横に引いても大丈夫なように、紐の向きを変えるヒートンの位置を変更しました。

あとは、色々微調整を行なってスムーズに垂れ幕を上げ下ろしできるようになりました(動画はこちら)。この木枠を使った紙しばい、子供達が楽しんでくれるといいな。

 

もう一つ、面白いおもちゃをご紹介。トミカなどのミニカーをくるくる走らせて楽しむ「やまみちドライブ」などの周回道路のセットでは、ミニカーを高い位置に引き上げるベルトコンベアがついています。このベルトコンベアは一般的にはモータ駆動ですが、今回持ち込まれた周回道路セットのベルトコンベア(白い坂)は、モーターの駆動ユニットがありません。えー、どうやって動かすのでしょう。

なんと、この周回路セットは、電池で動く赤いバスの動力を使ってベルトコンベアを動かすのでした。

赤いバスがある場所に来ると、後輪が道路下にあるローラを動かし、そのローラが回ることによって、ベルトコンベアを動かす仕組みでした。仕組みがわかったところで、やっと故障状況を調べてみると、バスが頑張ってローラーを回してもベルトコンベアがスムーズに動きませんでした。そこで、ベルトコンベアを取り外して分解してみます。

手動でベルトコンベアを回すダイアルを外し、中を見てみると、長いピニオンギヤが割れかかっていました。こんな長いピニオンギヤはないけれど、同じギヤを2つ使って修理しました。

修理が終わってバスを走らせてみると、一生懸命ローラを回し、ベルトコンベアを動かしています。面白い仕組みを考えたものだなぁと感心しました。