横浜港北おもちゃ病院の活動記録

ドクターの一人であるYoshi61が代表して記録しています

トランスフォーマーは難しい(篠原地区センター)

2021-06-27 23:52:34 | 活動の記録
6月26日は篠原地区センターで活動しました。今日も予約を沢山いただき、商売繁盛でした。

その中でも苦労したのが、変身するおもちゃ、いわゆるトランスフォーマーです。トランスフォーマーは、日本のおもちゃメーカが生み出し、ハリウッドで映画にもなり、世界中の子供達に大人気のおもちゃです。最近の映画のトランスフォーマーは、車がどんどん変形して、ロボットになるようです。ドクターが子供のころは、合体ロボのアニメだったんだけどなあ。

さて、この日持ち込まれた、トランスフォーマー的なおもちゃは3つ。一つ目は、丸いボールが変化して、二本足で立つ恐竜に変化するおもちゃ。2つ目は、トミカの人気シリーズ、ハイパーレスキューという消防車のおもちゃ。ハイパーレスキューは、ロボットにまではなりませんが、武器が出てきたり、合体したり、色々変化します。3つ目は、イルカがロボットに変化するおもちゃ。どれも、難しいのは、変身する過程を理解しないと、故障箇所にたどり着けないことです。当然、変身後の故障箇所であれば、最初の形態では何が壊れているか、さっぱりわかりません。この手のおもちゃを持ってくる親子は、たいていお父さんやお母さんは、変身方法はギブアップで、子供に直接聞くしかありません。おもちゃドクターの仕事は、故障箇所を推定し、見つけたら最適な方法で直すという2つの仕事なのですが、トランスフォーマーは、その前に、変身過程とそれを実現している構造を理解しなければならないわけです。

イルカがロボットに変身するおもちゃは、ネットを探ってみると、蒼海の勇者シーバトロンというおもちゃでした。


ということで、しばらく変身過程を研究しました(決して、遊んでいたわけではありません)。やっと、イルカからロボットに変身させることができるようになりました。

イルカの尾びれが割れて、足になるところなんて、よく出来ていて感動ものです。

構造がわかったところで、故障箇所を確認してみます。このイルカロボット、ロボットになると両腕が動きます。腕と胴体の間に、軸が入っていて可動するようになっていたのですが、片方の腕に入っていた軸が抜けてなくなってしまっていました。修理としては、同様な軸を見つけて、圧入することになります。ミニカーなどの小さな自動車の車軸に使われていたシャフトがぴったりの径でしたので、これを使って、修理は完了です。


最初の形態から、ロボットに変化していく様子は、お見事というしかありません。しかし、おもちゃドクターとしては、あんまり難しくして欲しくないのも本音ではあります。。。


はらぺこあおむしのロッキングチェアー(大手術の結果、退院しました!)

2021-06-14 23:24:02 | 活動の記録
子供絵本として、有名な「はらぺこあおむし」は、世界中で、5000万部以上が出版され、子供達に愛されてきました。穴の開いた仕掛け絵本は、子供たちだけでなく、読み聞かせる親たちも、夢中になりました。先日、作家のエリック・カールさんがお亡くなりになったとの訃報を拝見しました。ご冥福をお祈りします

大人気の「はらぺこあおむし」は、いろいろなグッズが販売されていますが。今回持ち込まれたのは、子供用のロッキングチェアー。絵本で大好きなったあおむし君に跨るなんて、考えただけでも楽しそう。


お客様が大切に使ってきたのですが、あおむし君がロッキングチェアーから外れそうに、グラグラしているので直して欲しいとのこと。このブログを見つけて、やってきてくれたお客様でした。原因は、あおむし君の骨格とロッキンチェアーを接続している部分が外れかかっていると推測できます。あおむし君の胴体を縫い付けている縫い目を開け、たくさん入っている”わた”を取り出してみると、木製の骨格全体が出てきました。


まず、ロッキングチェアーと接続されている土台の横板は、元々あまり質がよくないせいか、割れてしまっています。これは、他の板に交換するしかありません。また、骨格を形作っている土台の横板と縦板の接合部分は、針金のような金属を打ち込んで固定していたようですが、どれも折れてしまっていて、抜けかかっていました。抜けかかっていた針金は、子供の足にでも刺さったら大変です。

ここまで、初診で見極めたので、地区センターでの修理は不可能と判断し、お客様と相談の上、入院となりました。持ち帰って、家にある板を切って加工することで、ロッキングチェアーと接続されている土台の横板を作り直します。土台の横板は、家のあった厚さのある板(元の横板の2倍の厚さ!)を加工することにしました。まず、同じ大きさに切り、その次に縦板がしっかり固定できるように、両端に切り込みを入れ、縦板がぴったり嵌るように加工しました。大工さんが立てる家と同じで、縦板と横板の接合のように、接触面積が少ない場合は、木材同志に釘を打っただけではしっかり固定できません。その意味では、最初から作り方がいまいちだったような・・・。修理としては、木と木を刻み加工して、互いに嵌る木組みの構造を作る必要があります。その上で、木製ボンドをつけ、木ネジしっかり貫通させて固定しました。


これは、木製おもちゃの修理と言うより、子供用の木製椅子の作り直しといった感じでした。骨格が直ったところで、大量の”わた”をあおむし君の胴体に入れ、着ぐるみの開いたところをに縫い合わせて完成です。アマゾンでも新品は売っているし、メルカリでも結構出店されているようです。カールさんの”はらぺこあおむし”、絵本だけでなく、子供たちに人気なんですね、本当に。

マイ・ファースト・ソニー(綱島地区センター)

2021-06-13 19:26:29 | 活動の記録
6月12日は綱島地区センターで活動しました。相変わらず、コロナ渦での活動なので、ドクターも人数を制限し、お客様も予約の方だけです(このブログを読まれて、おもちゃ病院に行こうと思った方、開催場所の地区センターまでご予約ください)。

この日の予約は、12件。こんな感じです。


この5件目のカセットレコーダーは、マイ・ファースト・ソニーと言うソニーがウォークマンを子供用に仕立てたカセットプレーヤーです。


今では、コンパクトカセットどころか、MDも見なくなりました。1980年代、一世を風靡したのがソニーのウォークマンでした。それまで、家の大きなカセットデッキで音楽を聴くのが当たり前だったのが、外出時に、それも歩きながら音楽を聴くことができたウォークマンは、画期的な製品でした。このウォークマンを子供用に製品化したのが、マイ・ファースト・ソニーでした。子供用に、可愛らしくデザインされていますが、性能は落としていないので、大人でも愛用していた方もいたそうです。

このマイ・ファースト・ソニー、コンパクトカセットを入れても音が鳴りません。スケルトン構造なので、中を覗いてみると、モーターのプーリーは回っていますが、Oリングは経年劣化で無くなっています。中を開けてみると、モータのプーリー(A)、それ以外にプーリー(B)とプーリー(C)があります。Oリングは、跡形もないので、代わりのOリングをつけるだけです。ここで、問題です。この3つのプーリー、どうやって、Oリングをかけるのでしょうか?


3つを同時に回すように大きなOリングをかけてみましたが、どうも変です。このやり方だと、モーターのプーリー(A)はOリングと接触する部分が少ないので、滑ってしまいます。うーん、どうなっていたのか。いろいろな角度からこのカセットプレーヤを眺めていると、答えのヒントを見つけました。プーリー(C)を上からみた状態です。プーリーが二重になっていたのでした。


と言うことで、Oリングの正解はこれ。2本を使っていたのでした。


今では、見なくなったウォークマン。ソニーの偉大な発明でした。今は、スマホに取って変わりましたが、これからも革新的な製品を生み出してほしいです、ソニーさん、期待してますよ。