横浜港北おもちゃ病院の活動記録

ドクターの一人であるYoshi61が代表して記録しています

犬がたくさんやってきた!(篠原地区センター)

2021-08-30 15:57:44 | 活動の記録

残暑も厳しく、暑い8月28日の土曜日、篠原地区センターで活動しました。

この日、たくさんやってきたのは、犬のぬいぐるみ。子供に大人気の歩く、吠える、犬の電動ぬいぐるみです。


犬の電動ぬいぐるみは、足や股関節が折れたり、吠えるための笛を鳴らすふいごが破けたり、モータユニットのピニオンギヤが割れたりと故障は様々です。厄介なのは、骨格がポリプロピレンのため、接着剤が使えないことです。たくさんきた犬たちを、ドクターがそれぞれ受け持って修理開始!

最初のワンちゃんは、尻尾が折れて、左足の股関節が折れていました。まずは、ドライヤーで電池ボックス付近を温め、ホットボンドを柔らかくして、ぬいぐるみを剥がします。左足付近を見てみると、足の付け根の部品が折れていました。接着剤は使えないので、銅のシャフト、塩ビのパイプを使って、再現することにしました。


次に、尻尾。尻尾は柔らかな素材が良いと考え、結束バンドを折り返して、塩ビパイプで圧入しました。


組み上げてみると、長い尻尾の感じもいい具合です。元気よく歩いて、吠えてくれました。


こんなラジコンも来ました。それぞれの車輪に、斜めのローラーがたくさんついてます。LEDを直したのですが、動かしてみると右に左に回転するし、裏返しでも動くし、斜めにも進むことができます。こんなおもちゃ考えたおもちゃメーカの方、尊敬します。いや。よくできてます。


フライホイール内蔵のトラックは、遊び過ぎて、ホイールと車軸がゆるゆるの状態に。車軸は滑り止めのローレット加工はあります。ここは、隙間をプラリペアで埋めました。


最後に、これ何の写真か、分かりますか?


コンビニでお弁当を買うと、無料(今後は有料?)でもらえるお箸です。断面が真円で、竹製で強度もあることから、木製おもちゃの修理に使えます。あるおもちゃドクターは、自分のお弁当を食べる前に、お箸を使って修理してしまったのです。当然、点線の部分がなくなり、短くはなりましたが、それでお昼にはお弁当を食べてました。自分のお弁当のお箸まで使っておもちゃを修理するおもちゃドクター、すごいでしょ(笑)。






バックトゥザフューチャーのデロリアン(師岡コミュニティハウス)

2021-08-16 00:48:37 | 活動の記録
8月14日は、師岡コミュニティハウスで活動しました。


多くの地区センターは駅から少し離れ、わかりにくいところにあるのが普通(笑)なのですが、ここは大型ショッピングモールであるトレッサ横浜の中にあります。わかりやすいけど、トレッサ横浜は広くて大きいので、ご注意を。師岡コミュニティハウスは、南棟の3Fにあります。

この日、件数は多くなかったのですが、ラジコンがいくつかきました。その一つ目が、これ。


バックトゥザフューチャーという有名な映画に出てくる、タイムマシンに改造されたスーパーカー、デロリアンです。個人的には、この映画が大好きなので、持ち込まれたラジコンを見て、「来たー!」という感じでした。映画を見てデロリアンが欲しいというファンが世界中にたくさんいます。そんなことはさておき、持ち込まれたラジコンは、1)後進するけど前進しない、2)左右の操舵が効かないという症状でした。送信側のコントローラを電波チェッカーで調べてみると、確かに前進時は電波が出ていません。また、本体の裏側から前輪を触ってみると、左前輪の部品が損傷していることがすぐにわかりました。まずは、コントローラを開けて、前進・後進のレバーを調べてみると、レバーによって押される電極の板が変形し、電気的な接触ができていないことがわかりました。これは、電極の板を直して完了。


次は、左前輪の部品損傷です。前輪は、左右に曲がるために、右と左の車輪軸に回転軸(キングピン)がついています。これは、本物の自動車も同じ。左前輪は、この回転軸の部分が折れてしまっていました。折れた部品もありませんし、代わりのプラ部品を単に接着しても強度がでないでしょう。さて、どうしたものか。プラモデルのランナー(部品のついている枠)を代わりのプラ部品に使い、真ん中に穴を開け、ゼムクリップを芯に入れて接着しました。


実は、もう一つ故障ではありませんが、問題が残っていました。持ち主の方は、充電式乾電池を入れていたのです。このおもちゃは、アルカリ乾電池を前提にしているので、電池ボックスには1.5Vと記述されています。前に記事を書きましたが、充電式乾電池は大変便利なのですが、満充電の電圧が1.2Vと低く、うまく動かないおもちゃもあります。修理が終わったラジコンを引き取りに来られたお客様に、修理内容と電池の説明をしました。

もう一つのラジコンは、クレイジーサイクロンという名のおもちゃでした。このラジコン、スピンしたり、壁にぶつかって本体がひっくり返っても走り続けます。故障は、全く動かないとのこと。送信側のコントローラは異常がないし、本体の受信側の基板が問題なのは明白なのですが、どこが壊れているかわかりません。基板上のICを確認しながら、ハンダ付けをし直していたら、見事復活しました。


三代目のラジコンは、ジープでした。故障は、デロリアンの前輪同様、右車輪についている回転軸の部分が折れていました。なんでもお子さんが、ジープ本体を投げてしまったとのこと。そりゃ、壊れるよなぁ。


右車輪についている回転軸のプラ材料、ポリプロに近く、接着剤ではつきません。デロリアンの車軸同様、折れた部品同志は、ゼムクリップの芯で繋ぎ、似たような材質のプラ材料を使い、半田コテで溶着することにしました。こんな感じになりました。


最後に紹介するのは、ラジコンではなく、リモコンのお馬さん。持ち込まれたお客様によると、30年前に娘にせがまれ馬事公苑で買ったものだそうです。今度は、お孫さんに動くところを見せてあげたいとのこと。このリモコンには、ノッド(うなずく)とウォーク(歩く)のボタンがあるのですが、どちらも動きません。リモコンの内部は、電極も基板も腐食が進んでいました。また、スイッチもだいぶ劣化しているのですが、特殊なものなので交換できません。修理のために触ると、どんどん壊れる古いおもちゃ特有の状況でした。なんとか、動くようにして歩かせてみると、本物の馬の歩く様子をうまく再現しているるおもちゃでした。動画でご紹介できないのが残念なくらい、優雅な歩き方でした。


どのおもちゃも、買った時の話や、故障した状況などをお聞きすると、おもちゃは思い出と一緒になって、お子さんや家族の記憶に残っていることがわかります。楽しい思い出がさらに続くように、壊れたおもちゃをなんとか直したいと思い直した日でした。