横浜港北おもちゃ病院の活動記録

ドクターの一人であるYoshi61が代表して記録しています

懐かしい野球盤

2016-09-24 16:36:30 | 活動の記録
暇だと思っていると、次々と壊れたおもちゃがやってきました。
懐かしい野球盤です。

野球盤は、ピッチャーを操作する子供と、バッターを操作する子供が対戦するゲームです。ピッチャーは、カーブやシュートはもちろん、あの巨人の星の主人公である星飛雄馬が投げた消える魔球も投げることができます。消える魔球とか星飛雄馬とか言っていると、年齢がわかってしまいますね。ホームベース前に磁石が埋まっていて、ピッチャーが左右に動かすと、鉄製のボールが磁石に引かれて、カーブやシュートになるわけです。消える魔球は、ホームベースの前に、秘密の穴があり、ピッチャーが穴の開閉を操作できます。


故障内容は、ピッチャーからうまく玉がでてこないとのこと。さっそく、野球盤を裏返して中をあけてみると、びっくり!ほこりだらけでした。


故障は、ピッチャーの引き金と、部品の組み合わせが外れていたのでした。また、バッターがばらばら事件になっていましたので、胴体の回転部分に注意して接着して完了です。


男の子、三人で使うそうです。仲良く遊んでね。

自作シート式電子オルゴール

2016-09-24 11:55:18 | おまけ!
雨が続きますね。
今日、9月末のおもちゃ病院は、天気がわるいせいか、開店休業状態です。

そこで、おもちゃドクターMさんが自作したシート式の電子オルゴールを紹介します。


古いオルゴールを展示しているのをご覧になったことのある方は、シート式オルゴールをご存知でしょう。 一般的なオルゴールは、小さな突起のあるドラムをゼンマイの力で回し、その突起で小さな金属鍵盤を弾きます。ドラムの突起位置が音階であるドレミの音を決めています。シート式オルゴールは、紙のテープに穴を開け、その穴が突起を引き起こして、金属鍵盤を弾きます。紙のシートそれぞれが個々の楽曲ですから、通常のオルゴールと違い、シートを変えることで、オルゴールの演奏する曲を変更することができます。

Mさんが自作したオルゴールは、シート式オルゴールによく似ていますが仕組みは電子式です。なんでも、秋葉原の某電子部品屋さんで電子ピアノのキットを買ってきたので、家の中にある電子部品と、箱やギヤ等を駆使してつくってしまったとのこと。

原理は、電子ピアノの音を出すスイッチを反射型フォトインタラプタという部品に変更しています。反射型フォトインタラプタは、発光するLEDと光受信するフォトデテクタが一体化されている部品で、物体にLED光をあて、その反射光を検出することができます。長いシートに、ドレミの音を表す黒い四角が見えますよね。この黒い四角に、反射型フォトインタラプタのLEDが光をあてると、反射しないので、何の音を鳴らすか制御できるわけです。


電子回路の設計から、専用シートの作成はたまた、木箱の作成とおもちゃドクターのノウハウを総動員して作成したとのこと。大変楽しかった様子が伝わってきますね。

前輪の操舵が効かないラジコンカー

2016-09-11 10:17:46 | 活動の記録
ラジコンカーがやってきました。持ってきたお父さんによると、前輪の操舵が効かなくなってしまっているとのこと。


一般的なラジコンカーの故障は、コントローラから電波がでていない、コントローラ内部の回路と操作トグルの接触不良、車体のモータやギヤの駆動系故障(砂をかみ込んだなど)、バッテリ不良などが多いのですが、この手の故障は珍しいです。

コントローラで前輪を操作すると、なんとか動きますので電波を送受しているようです。つまり、前輪の組み立て構造に問題があるようです。
中をあけてみると、スプリング(バネ)が外れています。



このスプリングが、どのように働いているのかを考えて、元に戻せばよいことになります。このラジコンカーの前輪操舵の仕組みは、コントローラから操作トグルを動かすと、モータの回転方向を正転と逆転に切り替えます。モータについたピニオンギヤが扇形の平ギヤをピニオンギヤで動かし、前輪の向きを動かすわけです。そして、モータで右(または左に)タイヤの向きを変えたら、まっすぐに戻すのは、中心にあるスプリングの復元力を使っていました。今回再セットするスプリングは、コントローラからの信号がなくなったら前輪をまっすぐにする目的のスプリングだったわけです。

この仕組みが理解できれば、タイヤが常に直進を向くように、バネの置き方を考えればよいわけです。扇形の平ギヤの裏にある、出っ張りをスプリングの間に組み合わせ、修理完了です。

スプリングの力で前輪の向き(=ハンドル)を戻すなんて、よく考えてあります。いつもながら、おもちゃメーカの開発者には、頭が下がりますね。

赤ちゃんメリーの回転軸にあるクラッチ修理

2016-09-10 23:44:45 | 活動の記録
赤ちゃんメリーは、赤ちゃんのベビーベッドに設置すると、やさしい曲を奏でながらモビールが回転するおもちゃです。仰向けで寝ている赤ちゃんは、モビールがゆっくりと回転していくのを目で追います。持ち込まれた症状は、モビールが回転しないとのこと。


この赤ちゃんメリーは、本体に電池を入れ、モビールを回転させるモータは、赤い玉の中に入っています。赤い玉をあけてみると、ギヤで減速するのではなく、大小のプーリーをゴムベルトで駆動する減速を採用していました。赤ちゃんに配慮して、音の静かな減速方法を採用したのでしょう。

モータも力強く回っていますし、プーリーも滑っていません。どうやら、モビールをぶら下げるフックの部分が空回りしているようです。フックの部分は、モータからの回転軸とフックが直結していないのです。接着がとれて空回りしているとは考えにくく、何がおきたのか、しばらく考えさせられました。

先ほどのプーリーとゴムベルトの減速する仕組みと同様に、赤ちゃんを考慮したクラッチがフックの中に仕込まれていて、それがすり減ってしまい、空回りしていることがわかりました。赤ちゃんが、ベビーベッドで立ち上がり、回転するモビールをつかんでしまうことは考えられます。そのとき、モビールが空回りしないと、衣服がまきついたりして事故になりかねません。赤ちゃんに配慮した、やさしいおもちゃだなぁと感心したものの、どうやって直すか、途方に暮れました。

お客様に事情を話し、この構造を接着してしまう事も考えましたが、クラッチを再生することにしました。フックの分解すると、溝(凹)のある部品と、その溝にはまる凸のある部品が接触していました。溝の方は大丈夫ですが、凸部分は全く無くなってしまっていました。そこで、秘密兵器(アクリル樹脂パウダー)で凸の母体を盛り上げて作り、ルータで削っていく作戦としました。



どうです、苦労の作業が伝わりましたでしょうか。

溝と嵌まる凸が完成すれば、モビールは空回りすることなく、ゆっくり回転します。

これで、修理完了!



動かないけど、迫力満点!

2016-09-10 23:25:22 | 活動の記録
前回、最近暇ですねぇと言っていたら、今日の菊名地区センターは大忙し。
たくさんの修理ができました(2点ほど、修理できないものもありました、残念!)。

ということで、立て続けに三件の修理記録をアップします。まず最初は、動かない自動車だけど、本物のレーシングカーのような大迫力の音がでる(はずだった)おもちゃの修理です。


天井の赤い三角のボタンを押すと、エンジン音と走行音が鳴り、LEDが点灯する自動車のおもちゃです。駆動用の動力源はありません。持ち込まれたときは、赤い三角のボタンを押すと、LEDが点灯するだけで、いっさい音が出ません。一応、電池の状態を確かめ、スピーカーの故障と想定し、中をあけてみます。



小さな基板と、スピーカだけのシンプルな構成です。テスターでスピーカの導通を確認すると断線しているので、即スピーカ交換で修理完了と思ったのですが、スピーカを付け替えて動作を確認すると、音が小さいのです。確かに、エンジン音も走行音も本物のような音を出していますが、おもちゃとしては音が小さすぎる状態でした。おかしいなと思って、元々ついていたスピーカを見ていると、なんとインピーダンスが32Ω!。



なるほど、付け替えたスピーカは、一般的な8Ωでした。低インピーダンスである8Ωのスピーカをアンプが駆動できず、音が小さくなってしまったのでしょう。おもちゃのスピーカは、4Ω、8Ω、16Ω、32Ωと色々あります。さすがに、32Ωの手持ちはなく、16Ωのスピーカで代用しました。若干、音が小さくなっている事は、お客様に説明し、了解頂けました。