横浜港北おもちゃ病院の活動記録

ドクターの一人であるYoshi61が代表して記録しています

1994年製のゴジラ(菊名地区センター)

2024-09-16 16:19:20 | 活動の記録

9月なのに、まだまだ暑い!

今日、9/14は菊名地区センターで活動しました。ここは隔月開催のせいか、持ち込まれるおもちゃが多いです。この日もたくさんのおもちゃがやって来ました。

そのうちの一つは、なんと1994年製、つまり30年前のゴジラでした。

昨年、「ゴジラ −1.0」という映画がヒットしましたが、生誕70年でした。このおもちゃは、昭和から始まったゴジラシリーズの第二弾、平成シリーズが始まった時のおもちゃのようです。足の裏に、1994年東宝と書いてあります。

故障は、電池を入れても動かないし、鳴き(吠える?)もしないとのこと。中を開けてみるしかありませんが、体は柔らかいゴム製で、いくつかのゴムパーツが接着されています。無理に剥がすと、30年前のゴムでもあり、破れてしまいそうです。ゴムに影響しないディクリーザーを接着部分につけ、ゆっくり剥がすことにしました。

中を開けてみると、モータユニット内のピニオンギヤが2つ、割れていました。一般的にモータの軸につけるピニオンギヤは、8歯や10歯が多いのですが、このゴジラは、珍しい9歯のピニオンギヤでした。しかし、ピニオンギヤを取り換えても、うまく動きません。何度もモータユニットを開けては組み立てているうちに、ある平ギヤの位置がずれていることがわかりました。これを直して、スイッチを入れると、ゆっくりと歩き、肩のランプが点滅します。前を睨みながら、ゆっくり歩くさまは迫力満点!30年ぶりのゴジラの勇姿です(動画はこちら)。

 

もう一つ、小さなラジコンカーもやってきました。

遊んでいたら、こんな部品が外れたのだけど、どこの部品かわからないとのこと。

うーん、どこの部品かと思って眺めていると、前輪の中間に嵌りそうな穴があります。これは、前輪の左右バランスを調整する部品なのでした。

中を開け、前輪のモーターユニットを外し、この部品をはめてみるとピッタリ。

走らせてみると、左右も前後もうまく動きました。

他には、シャボン玉鉄砲、何箇所も骨折した犬のぬいぐるみ、子供用デジカメ(直らなかった、残念)などたくさんのおもちゃと楽しく格闘した活動日でした。

 

 

 

 


トランスフォーマー戦車ほか(篠原地区センター)

2024-08-25 21:56:34 | 活動の記録

暑い日が続きますね。そして、夕方はゲリラ豪雨と稲光。今年の日本は亜熱帯になってしまいました。おもちゃ病院に集合するおもちゃドクターも汗、汗の出勤(?)です。さて、8月24日(土)は篠原地区センターで活動しました。この日、たくさん来たのがプラレール。そして、ロボットのおもちゃも2セットやってきました。

まずは、珍しいトランスフォーマー戦車をご紹介。

どうです、このロボット。とても何から変身したのかわかりませんよね。実は、戦車が変身してロボットになります。

この変身がスムーズに動かないという故障でした。確かに、戦車からロボットに変身しようする時、キーキーと摩擦音がします。この摩擦音を解決すれば良さそうです。中を開けてみると、モータユニットがクランクを回し、ラックギヤを前後に動かしています。これが変身の動力でした。

でも、どこが摩擦音を出しているか、わかりません。何度も分解・組立を繰り返し、ラックギヤとボディ下部の部分が音を出しているのを見つけました。ここをグリスアップして修理完了!結構迫力ある音(戦車というより、怪獣かな)を出しながら、動き回ります(動画はこちら)。左回りばかりするので、車輪を見たら、2つのうち1つの車輪は一部が欠けていました。これはUV樹脂を盛って補修しました。また、失くしてしまったという電池ボックスの蓋はABSの板で代替品を作成しました。

 

次は2台セットで、子供達が対戦して遊ぶ、ラジコンロボットです。赤のロボットと、青のロボットがあるのですが、赤のロボットがうまく動かないとのこと。

このラジコンロボット、足を動かして前後できますし、前後している時、手も動きます(というより、左右の連打パンチかな)。

中をどんどん開けてみます。

なんとモータユニットは一つで、足も手も一緒に動かしていたのでした。モータユニットも開けてみると、モータについているピニオンギヤが割れていました。また、割れたことによって、位置もズレてしまい、やっとやっと平ギヤにかかっているだけでした。

このピニオンギヤ、モジュール0.5の規格品ですが、厚さがすごく薄いです。手持ちの8枚歯ギヤとピッチが合うことを確認し、ピニオンギヤをスライスして、交換しました。手も足もうまく動くようになりました(動画はこちら)。左右の連打パンチ、いい感じですよね。さあ、青のロボットとボクシングしてもらいましょうか。

 

最後にたくさん直したプラレール。そのうちに一つは、持ってきたお父さんが使っていた年代物でしょうか。

中の電極はサビサビです。特にモータユニットに組み込まれている電極はリューターでサビを落とすどころでなく、外すとバラバラ。りん青銅板から代替品を作ってみました。

組み込んでみると、こんな感じ。

しっかり走るようになりました。プラレール君へ、親子二台への奉公、お疲れ様です。もう少し、頑張ってね。

 

 

 


クレーンゲームの修理(師岡コミュニティハウス)

2024-08-14 18:41:26 | 活動の記録

暑い日が続きますね。8月10日はトレッサ横浜の中にある、師岡コミュニティハウスで活動しました。

この日、10件近いおもちゃを修理しました。ちょっと難しかったのが、このクレーンゲーム。

ゲームセンターにあるUFOキャッチャーとか呼ばれているものと同じです。レバーが3つあり、X軸(左右)、Y軸(手前から奥)、Z軸(バケットの上下)にクレーンを操作できます。故障状況はクレーンのバケットがうまく上げ下げできないとのこと。やってみると、確かにX軸、Y軸は問題なく動きますが、Z軸はチェーンが途中で止まってしまいます。クレーンゲームは、3軸それぞれにモーターユニットがあり、精密に組み合わさってます。Z軸のモータユニットだけ分解することはできず、全部バラしてみないとなりません。覚悟を決めて、分解開始です。

まず、天井を外してモータユニットを取り出します。

次にZ軸のモーターユニットが出てくるまで分解していきます。

ここでZ軸のレバーを操作して、どこかが空回りしているのか確認してみました。モータの軸についているウォームギヤが空回りしていると思いましたが、問題ありません。チェーンを引き上げて途中まで行くと、モーターは回っていますが、チェーンは引き上がりません。プーリーも問題なし。なぜだろう???

モーターユニットを分解してみると、いくつかのギヤで減速していますが、変わった二段平ギヤがあることに気がつきました。小さな平ギヤと大きな平ギヤの間に、茶色の薄い布があります。これは、負荷がかかるとスリップするクラッチ付きの二段平ギヤなのでした。モータユニットの中は白いシリコングリスでベタベタですが、このクラッチ部分にもシリコングリスが入り込み、早めにクラッチ動作が始まっていることがわかりました。

修理としては、バネを押し下げ、アルコールでクラッチ部分を清掃しました。原因は対処できましたが、クレーンゲームの難しいところは、組み上げが厄介なことです。案の定、バケットがうまく開いて景品を掴み、上下するまでには何回も組み立て・分解を繰り返しました。それでも、修理したクレーンゲームを取りに来た母子が喜んでくれたので、ホッとしました。

他のおもちゃとしては、タッチして音や音楽が鳴るおもちゃは、中のスピーカー配線が断瀬していました。

また、子供の乗る自動車は、ハンドル部分に3つのボタンがあり、それぞれ音が鳴るのですが、二つがならないとのこと。一つは鳴るので、スピーカーはOKなはず。調べてみると、ボタン下にあるマイクロスイッチが壊れていました。

どのおもちゃも治って、子供たちのところへ帰ってよかったです。

 


迫力あるラジコン(都田地区センター)

2024-07-28 15:49:58 | 活動の記録

7月27日は都田地区センターで活動しました。横浜港北おもちゃ病院は毎週、どこかの地区センターで活動しています。毎月開催の地区センターもあれば、隔月開催の地区センターもあります。ここ都田地区センターは令和4年6月に出来たばかりで、年一回だけ開催してます。それでも、この日は10件を超えるおもちゃがやってきました。七夕のように毎年開催するのも定着したようです。

ラジコン3台とお人形用(?)のブランコ修理をご紹介します。

1)走行音の出るラジコン(ジープ)

このラジコン、走行できない状況でした。

中を開けて、後輪を駆動するモータやギヤを確認します。モータに外部電圧を与えてみても、モータは全く動きません。モータの故障のようですが、タミヤの汎用モータではないので、交換するわけにはいきません。モータの中を開け、ブラシ等を確認することにしました。

案の定、モータのブラシは汚れているだけでなく、変形しています。きれいに清掃し、ブラシの形を補正し、グリスをつけて組み直すとモータは元気よく回りました。修理後、ラジコンカーを動かしてみると、スピーカーから走行音は出るし(動画はこちら)、マフラーから煙はでるしと迫力満点のラジコンでした(動画はこちら)。

 

2)大砲の音が出るラジコン戦車

この戦車、ラジコンとして前後左右に動くだけでなく、大砲を打つこともできます。大砲と言っても発射音だけなのですが、発車した瞬間、反動で少し後ろに下がります。すごい、リアル(すみません、動画を撮り忘れました)。壊れた箇所は、折れてしまった大砲です。各種動作は問題ないので、折れたところを治すのですが、細いパイプ状の砲身なので接着では強度が出ません。そこで、半田コテでプラスチックを溶かしながら溶着しました。そのままでは見栄えが悪いので、熱収縮チューブを被せました。砲身に熱収縮チューブなんてグッドアイデアでしょ。

3)買った時から動かないラジコン(レーシングカー)

3台目のラジコンはレーシングカー。買った時から、動かないとのこと。えー。

電池は単体で測ると、4本とも問題ありません。しかし、電池ボックスから合計電圧となる6Vが出てきません。電池ボックスの電極はどれも綺麗です。しばらく、電池ボックスを眺めていると、電池のプラス側と電池ボックスの電極が接触していないことに気がつきました。

電池の肩の部分に当たる電池ボックスのプラスチック板が厚すぎるためです。これは、製造誤差を考慮できていない設計上のミスですね。厚すぎるプラスチック板をリューターで削り、電極にハンダを盛って、電池のプラス側と電極が必ず接触するようにしました。

4)ブランコ

踏んづけてしまったのでしょうか、お人形を乗せるブランコがバラバラになってやってきました。こりゃ重症です。ブランコの柱はプラスチック製で細いので、接着では強度が出ません。そこで、折れた全ての箇所に、金属のピンを埋め込み、柱を接合することにしました。

それぞれの折れた柱の中心に金属ピンを入れ、なんとか元に戻りました。

おもちゃドクターとしては少し不満が残る修理でしたが、お客様が喜んでくれたので、よかったです。

また、来年の7月、都田地区センターでお会いしましょう!


スマホのおもちゃと時計のおもちゃ(菊名地区センター)

2024-07-14 09:26:01 | 活動の記録

蒸し暑い日が続きますね。本日、7月13日(土)は菊名地区センターで活動しました。3連休の初日ですが、持ち込まれたおもちゃは11件。ラジコンやトーマスのおもちゃなど色々ありましたが、苦労したのがスマホのおもちゃでした。もう一つ、大変古い時計のおもちゃもありました。この二つをご紹介します。

 

1)スマホのおもちゃ(フィッシャープライス製)

ボタンを押すと音や音楽がなるのですが、鳴らなくなってしまったとのこと。これはスピーカー故障だから簡単と思ったら、大変な修理になりました。

一般的なおもちゃは、表のパネルと裏のパネルをねじ止めしてあります。しかし、このスマホのおもちゃ、裏側を見てもネジがありません。よくあるはめ込み式なのかと思って、薄い刃先の剥がし工具で白い表のパネルを外そうとしましたが、びくともしません。

そこで、インターネットを画像検索してみると、同業のおもちゃドクターが情報提供しているサイトがいくつかありました。外周を綺麗に切って開けた方や、圧入されている6箇所の支柱を切った方などでした。後者の方法を参考に、裏側から6箇所の支柱を削り落とすことにし、お客様には、穴を開けないと修理できないことをご説明し、Goサインをもらいました。まずはドリルで穴をあけ、刃先をエンドミルに交換して、表のパネルの支柱(白色)を削っていきます。

あまり削り過ぎると、表パネルに穴が空いてしまうし、削るのが足りないと、支柱が外れません。なんとか、削り終え、やっと中を見ることができました。案の定、スピーカーが不良でしたので交換しました。

小さな子供が遊ぶので、6箇所の穴を埋めねばなりません。耐熱テープで穴を覆い、裏側からホットボンドを充填しました。いやー、大変だったけど、治ってよかった。

 

2)時計のおもちゃ

もち込まれた時計のおもちゃは大変古いらしく、見たことがありませんでした。ボタンを押すと、時計の針が進みます。その針に合わせてデジタルの時刻が表示されます。電池は使っておらず、ボタンを押す力をギヤの回転に伝え、時計の針やデジタル表示の時刻を変化させます。最近の電子式のおもちゃに比べ、よく考えて作られています。

故障内容は針の時刻とデジタル表示の時刻が二時間ずれているとのことでした。これは、中のギヤの噛み合わせがずれてしまているのでしょう。中を開け、仕組みを理解しながら、ギヤを合わせなおします。

開けてみると、案の上、いくつかギヤがありました。試行錯誤しながら、元の戻すことができました。うまく動くとこんな感じ(動画はこちら)。

修理後、調べて見ると、「とけいのべんきょういまなんじ? (野村トーイ製)」と言うおもちゃで、40年前のおもちゃだとわかりました。きっと、時計の針をみて、「何時かな?」と子供に聞き、子供の答えが合っているかどうか、ボタンを押して、デジタル表示を見せるのかもしれませんね。