硯水亭歳時記

千年前の日本 千年後の日本 つなぐのはあなた

我が家の七五三

2010年11月15日 | 季節の移ろいの中で

 

我が家の庭にて もはや錦秋の候か

 

 

 

我が家の七五三

 

 

我が家の長女が数えで三歳になりましたから、当家流の七五三を昨日致しました。

母が昔着ていた加賀友禅の振袖を再利用し、叔母が杏用に丁寧に仕立て直してくれました。

杏もいたく気に入り、神妙なお姉ちゃんぶりです。和服のパワーって凄いものですネ。

杏が七歳になった時のために、その和服も同時に、違う絵柄を変えて創って戴きました

当家の七五三は伝統的に当家の菩提寺で行われます。

更に青山墓所にある私たちのご先祖の御霊にも参拝致します。

夜は集まってくれた親戚一同と賑やかな宴会をし、長女のお祝いを致しました。

本来なら産土神に、お参りするのが当然ですが、

実は当家の菩提寺に氏神が祀ってあるためでもあります。

従って五歳の時の長男と、七歳の際には男女とも菩提寺にある産土神にお祈り致します。

七歳を「氏子入り」するとでも申しましょうか、我が家では七歳のお祝いを最も盛大にします。

 

妻の実家・京都から誘われ、京都の寺社仏閣で七五三をやってはと言われましたが、

妻は当家の伝統に従うときっぱり伝えた模様で、祝賀の際にはじぃじとばぁばが、

我が家にやって来て滞在しております。暑い京都を過ごし、秋になったかならないうちに、

冬の香りが漂っていると言っておられました。だからもう直ぐ錦秋の京都になることでしょう。

東福寺は櫻が修行の邪魔になるからと植樹を拒否、唐楓を植えたのが始まりです。

通天橋の直ぐ傍に三枚仕立ての、最も早く紅色に染まる唐楓がありますが、頷けます。

神護寺などの三尾・嵯峨野・黒谷・東山・北山・鞍馬など多分25日以降が盛んでしょうか。

 

関東も随分と紅く染まって参りました。神宮の公孫樹並木も見事な黄葉で散り始めています。

我が家の盆栽たちも紅葉が真っ盛りです。つい最近小さな我が池に水鳥が飛来しました。

七五三という通過儀礼も、季節の移ろいの中に鮮明な足跡を刻んでいるのでしょう。

 

近頃の江戸っ子は新しくなるスピードが早いがために、新規のものにそれ程興味がなく、

べったら市とか、羽子板市だとか、古いものだけに拘っています。東京スカイツリーには、

見に行くことすら殆どありません。オフィスのある東京駅の丸の内側では、赤煉瓦の、

本来あった当初の三階建ての駅舎にするらしく、深々とネットが掛かっています。

一ヶ月東京を留守にすると周辺が驚異的な変化をするのがザラですから、

まじに興味がないのです。中延や北品川や谷中の夕焼けダンダンなどの、

昔からさして変わらない風情を求めて彷徨する習性が根っからついているからです。

秋の小石川植物園や、当家の近所・有栖川宮公園や、変化がない処が大好きで、

大体我が旧友たちは皆勝手で、それぞれの実家を継いでいるか、ジャーナリストか、

そもそも出世する意欲は皆無の連中ばかり、それぞれが楽しんでいるようです。

但しウチ向きで、海外に行くことがない奴って一人もいないことだけは自慢です。

そう言えば先日7日の立冬の日に、「一の酉」がありましたが、高村光太郎の父親(光雲)は、

お酉さま造りの職人からスタートした人で、幼い光太郎は父のリヤカーを引いた記憶があると。

光太郎の自宅があった千駄木の駒込林町周辺には様々な人が住んでいました。

森鴎外・サトウハチロー・青踏社、数えあげたらキリがないくらいです。

それと新宿・中村屋の創業者であった相馬夫妻も住んでいました。

あの美しい安曇野の碌山美術館主人、荻原守衛(碌山)との関係も深く感慨深いです。

 

千駄木周辺は広大な敷地を所有していた東叡山・寛永寺の寺領で薪取り場だったんです。

徳川天下が終了した明治のご維新にて、一般に開放された所ですから、

様々な職種の方々が住みつくようになり、特に高級官僚の御妾さんが多かったのです。

樋口一葉の素敵な小説や、森鴎外の小説でも明らかでありましょう。

東京は新しい町です。京都の比ではありませぬ。

でもここにいると世界に通じる何かがあります。集まってくる資料も半端ではありませぬ。

東京のパワーは凄いものです。憎い相手を、Tファンのように他を蔑むことがありません。

Gファンは最もGに対して厳しいことです。ブルーカラー・ライン上のTファンは、

私たち関東人にとって、モノの数に入っていないのです。お分かりですか、ご老醜!

でも愛らしいものですネ。生え抜きの選手が殆どいないのに熱烈な応援なのですから。

要するにお互いをリスペクト出来ない関係は全く無意味です。

 

関西にも大変な品性があることが、田辺聖子さんによって縷々教えて戴き勉強しております。

 

 

父の愛する盆栽 小さな紅葉の葉っぱと緑の苔