荒野に叫ぶアイツの部屋

生き物絡みの仕事しながら空手やったり、漫画描いたり模型作ったり海の生物求めて津々浦々旅したりする男ばるぱんさーのブログ。

つぶやき

7月2日 でかい宿題

2013-07-25 21:44:25 | 太地町大冒険

朝起きて白鯨の風呂に入る。
二年四ヶ月前にこの脱衣場の体重計で計ってみたら82㎏。
今日、計ってみたら74㎏だった。


朝飯を食べ、宿を出て〆谷さんに送って頂く。
何から何まで本当にありがとうございます!

刃刺し像。昨年、「奴等」に折られてしまったが、今は修理が終わり、元通りの勇姿を見せてくれている。


ドルフィンリゾートのヤギとリクガメ。


紀伊勝浦に着き、電車の時間まで少し余裕があるので町をぶらつく。
「奴等」が拠点としていたホテル・シャルモント。
地元の方の話によると、「奴等」は毎度、部屋を容赦無く荒らして帰るため出入り禁止となり、仕方なく昨年度は別の宿を使っていたらしい。
なんかな…。
その程度の奴等なのか?
せめて最低限のヒトとしての常識というか礼儀みたいなものを持ち合わせている奴等であって欲しかった。
また今年も追い込み猟が始まったら奴等が来るのか?

なんか陰気で腹立たしい気持ちになったが、ふと近くの八百屋の店先に三毛猫が居るのに気付いた。
チビちゃんというらしく、チビちゃんの子供の頃の写真が店のあちこちに貼られていて、店の方に大切にされているのが解る。
そうだ。
生き物はヒトに元気をくれるものなんだ。
チビちゃんと遊んでいるうちに気持ちも晴れてきた。
電車ももうすぐ来る。
帰るか。

思えば、でかい宿題を提出しに来たかのような旅だった。
二年四ヶ月前に初めて太地に来た時、くじら慰霊碑を見て、くじら博物館で元気に生きてるイルカやゴンドウとふれあい、そして「奴等」と対峙し、アホな俺だが色々考えた。
震災や恩師の、友の死を経験し、養鶏場に就職し、日々、鶏達の生と死を見守り、自分で言うのもなんだが、外見も中身も大きく変われたと思う。

そうして出した答えを、町の人々に、イルカやゴンドウ達に採点してもらえたような気がする。

また、近いうちに来よう。
お世話になった皆さん、ありがとうございました!!


7月1日 B 捕って屠って感謝して頂く

2013-07-08 21:29:50 | 太地町大冒険

 

博物館を後にし、宿の前を素通りし、漁港方面に向かう。
太地に来たら御会いせねばならない方がいる。
以前、来た時に少しだけお話しした〆谷商店の店主、〆谷和弘さんだ。
あの時、大量に鯨肉を買ってからほぼ毎月、通販で鯨肉を買わせてもらい、美味しく頂いている。

再会を喜び合い、快く家に上がらせて下さる〆谷さん。
震災の事、互いの近況、太地の事、うちの地元の事、クジラやイルカの事、「奴等」の事。

〆谷さんの愛鳥、インコのチビ太を見せて頂いた。
チビ太という名前だがメスで、度々卵を産む。
「知らないヒトだ」とばかりにこちらをじっと見るチビ太。
チビ太の事を我が子のように可愛がる〆谷さん。
そうだ。
命を捕る側にいる人程、命の尊さを知っている。
だからこそ、護り生かせる命は人一倍大切にするのだ。

あっと言う間に日も暮れ始め、その後、呑みに連れていただいた。
本当にありがとうございます!

奥さんの運転で、料理屋「しっぽ」へ。
母方の実家の近くの料理屋にそっくりだ。

美味しい物を幾つもご馳走になる。
中でも美味いのがイルカの味噌和えだ。
その後もじっくりと語り合う。
今の自分が抱えている問題、生命の捉え方。

やはり太地の方々は「奴等」のせいで外国人を見るとどうしても警戒してしまうらしい。

太地には海外から普通の観光客や研究者も多く訪れる。

お店の方の話によると以前、この店に外国人の集団が来たことがあり、「奴等」か!?と警戒したが、皆、快い人々で、クジラ、イルカ料理を美味いと絶賛してくれたらしい。
他にも太地を愛し、遠い異国から頻繁に来てくれる人々もいるという。
良かった。
世の中まだまだ捨てたもんじゃない。

「しっぽ」の看板犬、ロンと遊ぶ。
最初は警戒されたが、すぐに打ち解けてお手をしてきた。
「俺、遠くから来たあだぞ。明日、帰っけどそのうちまた来っかんな。」

〆谷さんの奥さんの運転で宿まで送って頂く。

何から何まで本当にありがとうございます。
酔っ払ってる俺は、ああ、近所にこんな店があったのか。また来よう…。
いや待て、ここは和歌山だろ。
いや、距離なんて関係ない。
心を許せる人々がいれば、もうそこは近所なんだ。


7月1日Aくじらだけ。だからすごい!

2013-07-05 20:42:01 | 太地町大冒険

 

目を覚まし、携帯を見ると朝4時39分。
外は…陰気でしみったれた雨が降っている。
あぁ…

二度寝して起きると7時前だ。
雨は止んでいるが空はまだ曇っている。
顔を洗い、トレーニングウェアに着替え外に出る。
白鯨から少し歩いた所から海沿いの遊歩道を歩く。
よし、前からやりたかった荒行に挑戦だ!
走ってくじら慰霊碑まで行くぜ!
でも漁協スーパーの辺りで大雨が降って来たんで無理せず引き返す。
だ…だってほら?
危ないじゃん?雨で滑って崖から落ちたりしたら死ぬだろ?

風呂に入り、朝食。
しばらくゴロゴロしてたら急に晴れた!

夏だ!わ~い!わ~い!
くじら博物館に行くぞ!
2年と4ヶ月ぶりだ!

受付で職員の方にくじら図書館に寄贈して欲しいと拙著「勇魚大戦」をお渡しし、なんと事務所に上がらせて頂いたばかりか記念品を頂き、更に入場料もタダにして頂けた。
そればかりか、学芸員のお姉さんにサインを求められたぞ!
サイン本を寄贈なんて最初で最後かも知れん。

博物館の展示物を見て回る。
何度見ても圧巻だ!
シャチ、イチョウハクジラ、コククジラ、ホッキョククジラ、そしてセミクジラの骨格標本が待ち構えていた。
職員の方の話によると、この建物はセミクジラに合わせて建てたらしい。
二階には前回は無かった子供向けの楽しくて分かりやすい展示が増えていた。

以前、マダライルカがいた建物は現在は調査捕鯨の写真展になっている。
丁度今、オーストラリアにいちゃもんつけられて揉めているが、無事に決着が着いて欲しい。

ふれあいの海のイルカやゴンドウ達を見た後、マリナリウムへ。
以前はここに腹鰭の生えたバンドウイルカ、ハルカがいたが、残念ながら四月に死亡。
現在はスジイルカ、マダライルカが魚達と元気に泳ぎ回っている。
やはり二種ともバンドウと同じくマイルカ科だが、バンドウと比べると小さい。
以前、ここにいた人懐っこいにも程があるメスのバンドウイルカ、「あおい」と比べると全く愛想がないが、ストレスに弱く飼育が難しいとされるスジイルカ、マダライルカの元気な姿を見れただけでも十分だ。


イルカショー、クジラショーを見る。
イルカショーは前回とさほど変わらなかったが、クジラショーはかなりパワーアップ!
前回見た時はハナゴンドウもいたが、今回はオキゴンドウとコビレゴンドウのみ。
黒い巨体が跳ね回る姿は圧巻で、写真を撮るのも忘れる程だった!

その後、餌やり体験でバンドウイルカとハナゴンドウに餌をやり、トレーナーのなべこさんに生け簀に入らせて頂くと、早速バンドウイルカ三頭とオキゴンドウがニコニコしながら寄ってきた。

メスのバンドウの「あおい」、「さくら」。オスのバンドウの「レグルス」。
一昨年、マリナリウムで見たやたらと人懐っこいメスのバンドウがこの「あおい」だ。
チラチラとこちらを見て「ちょっと待ってて」とばかりに海に潜り、暫く経って「見て見て~」とばかりに片方の胸鰭に海草をひっかけて現れる「あおい」。
んもう!可愛いんだから!
俺の憧れのオキゴンドウ。

なべこさんの話によると10年前後の若い個体らしい。
あぁ~!俺の憧れのオキゴンドウが目の前にいる~!
頭を思いっきり撫でた。

イルカ達の事を自分の子のように話すなべこさん。
可愛くて堪らないんだろうな。
そうだとも。可愛いに決まってるだろう。
大切に面倒見てもらってるんだな。お前ら。

なべこさんと職員の方々にお礼を言い、もう一度博物館を隅々まで見て回り、家族、職場、道場の皆にお土産を買い、博物館を出…ようと思ったが、帰りたくねえ!!
もうここに住みてえ!
イルカやゴンドウ達と寝食を共にしてえ!!
そ…そうだ。サークルKまでひとっ走りして履歴書買って来て、ここに就職…だが、俺には地元でやらねばならないことも沢山ある。
俺の人生は多分、まだまだ長い。
それなりの金と都合さえあれば、これからもまた来れる。
さらば!くじら博物館!

ふと、空を見上げると、鯨のような雲が。

右下が頭。左上が尾鰭と考えるとナガスクジラに見えなくもない。

死してなお何かを教えてくれたクジラ達が「また来いよ。」と言ってるのかもな…

 

                                                            つ づ く


6月30日 遠い近所

2013-07-04 19:25:04 | 太地町大冒険

朝5時過ぎに家を出てバスに乗り東京へ。
8時少し前に東京に到着し、新幹線に乗り9時半頃に名古屋へ到着。
10時ちょい過ぎのワイドビュー南紀に乗り込む。

前回はワイドビュー南紀が一日に何本も出てるものと油断して何時間も待たされたが、今回は事前に下調べしといたぜ。だが、ここからが長い。
途中、少し寝たり、PSPいじったりしてるうちに紀伊勝浦に到着。
しかし、雨だ。
以前からTwitterで懇意にして頂き、拙著「勇魚大戦」を買って下さった地元の方に昼飯をご馳走して頂いたばかりか車で案内して頂く。

さっきまでの雨は止み、まずは鯨慰霊碑。
来た。
2年と4ヶ月。
遂に俺はもう一度この太地の土を踏んだのだ!
他にも幾つもの絶景を案内して頂く。

その後、宿に送ってもらい、トレーニングウェアに着替え、宿の国民宿舎白鯨から走ってサークルKに向かう。
来たぞ!来たんだ俺は!
この2年と4ヶ月間、何度も夢に見た太地に!

あの入江、くじら博物館、刃刺像、ドルフィンリゾート、ザトウクジラ像を走り抜け、サークルKに着き買い物。
店から出ると、また雨が降りだした。
更にサイレンが。
いかん、雨だ!鶏舎のカーテン閉めないと、それにこのサイレン、火災か?消防庫に行かなきゃ!
あ、そうだよ。ここ太地だ。

サイレンは防災無線か。何やらこの辺に大雨雷注意報が出たらしい。
なんてことだ。大丈夫だよな?

風呂に入り、先ほどの方に晩飯までご馳走になる。
何から何まで本当にありがとうございます!
太地の話、鯨の生態、自分の地元や家族、仕事の話、そしてシーシェパードの話。
貴重なお話を沢山頂き、あっと言う間に夜も更け、店の方に宿まで送って頂く。
なんだろう?この感じ?
とてつもなく遠くに来た筈なのに、近所の先輩と飲みに行ったような感覚?
そうか。この太地はもう、距離的には遠くても俺にとってはもう近所なんだ!

部屋に入り、嬉しくなって、泣いた。

 

   つ づ く


2月16日 遠いけど近所と弱肉強食の大海原

2011-02-17 14:43:56 | 太地町大冒険

名残惜しいが今日で太地町ともお別れだ。

朝起きてすぐ風呂に入る。他に客もいなかったので泳ぎまくった。
朝日が山の上から顔を出す。

なんと勇壮な光景か。
しかし、ここに住む人々からすれば当たり前の光景なんだろうな。
俺から見ると天使や妖精やスライムが飛び回る異世界のような場所でも地元の人々はこの土地で怒りや苦しみと闘いながら、それでも幸せに生きているのだ。

また、太地とウチの近所は同じ苗字がやたらと多く、うっかりワープしてウチの近所に帰って来ちゃったのかと思った。
おそらくウチの近所の人々は先祖がこの辺の生まれなのだろう。
もしかしたら俺も?
そうか。
ここはある意味、近所だったからか。

朝食を頂き、8時過ぎに宿を発つ。
太地駅で電車を待つ。


ここからが長い。
紀伊勝浦から名古屋まで三時間半、名古屋から東京まで約一時間半、東京から地元まで一時間半。
夕方五時過ぎに帰宅。

俺より一足先に〆谷商店で買って送ってもらった鯨肉が家に届いていた。
昨日、散々イルカやゴンドウと熱い友情?を深めあったばかりなので、あいつらと同じモノの肉を見るのはなんか複雑な気分だ。
この肉になったイルカ達とも生きて出会っていれば心を通わせ合えただろうか?
いや、多分無理だったろう。
こいつらは野生。
ヒトに飼い慣らされたモノとは違い、こいつらにとってヒトは弱肉強食の世界で競い合う敵だったことだろう。

死んでいったクジラ達がこの世に遺した標本から様々な事を学んだ。

ヒトと共に生きるイルカ達と遊び、心を和ませた。

そして、ヒトとの弱肉強食の闘いに破れ去ったイルカ達の肉を食い、命を繋ぐ。

これから先、俺の人生もどうなるか解らん。
漫画とか模型とか面白いモノも沢山作りたいが、世間のためにやらなきゃいけないことも沢山ある。
仕事も探さなければならない。
新しい仕事が魑魅魍魎の跳梁跋扈する無間地獄かも知れない。
場合によっては結婚して親にならなければならないかも知れない。

ヒトの生も弱肉強食の大海原と同じなのだ。
イルカやクジラだけでなく様々な生き物達から安らぎと笑いをもらい、また命をもらい、これからも生き続けるぜ!!

ありがとう、太地町。
ありがとう、町の皆さん。
ありがとう、イルカ達。


2月15日B 入り江

2011-02-16 23:33:32 | 太地町大冒険

宿でゴロゴロしているウチにHPも回復。
もう一度太地の街をぶらぶらしてみた。
今朝、白人達がいた山道に行って見た。

細い山道に和歌山ナンバーの車が停まっており、その回りに5~6人の男女が並んでいる。
沖では漁船が網で円を書き、何らかの漁を行なっており、白人達がそこにカメラや双眼鏡を向け何事か話している。

ここからでは網の中に居るであろう獲物の姿は窺い知れないがあれがイルカ漁だろうか?
白人達から2メートルほど離れた位置から漁の様子を窺う。
気が付くと、白人の男の一人が怪訝な顔で俺の全身を見てくる。
暫く経ってもう一人の男と話し出し、何やらboyがどうのこうのと聞こえた。
この小僧、何者だ?とか言ってるのだろうか?さらに車の中でふんぞり反っている上役らしき女に何か告げているが女は、ほっとけそんなもんと言った感じの動作をした。
山道を降り、〆ちゃんこと〆谷氏が営む鯨肉専門店、〆谷商店に入って見た。

〆谷氏の奥さんが懇切丁寧に調理法を教えてくれる。
千葉の銚子(の辺り)から来たと告げると喜んでくれた。
奥さんの話によると太地と銚子は昔から繋がりがあり、遭難した太地の漁師たちが銚子や房総に流れ着き、捕鯨技術や様々な漁法を伝えたり、昭和の頃は銚子と太地が共同で遠洋捕鯨に向かったりしたそうなのだ。
銚子のことを仲の良かった旧友のように言ってくれる奥さん。
故郷から遠く離れたこの土地が、自分の故郷と意外な繋がりがあったことを知り、なんだか嬉しくなった。
冷凍庫の中にはミンククジラ、ゴンドウ、そしてイルカの様々な部位の肉が並んでいる。
ミンククジラやイルカの肉は銚子でも出回るが、ゴンドウの肉は俺の知る限りまず無い。
たんまりと肉を買い込み、暫く奥さんと話し込んでいると、〆谷氏が忙しそうに入って来た。
今朝も追い込み漁があったよと告げ、忙しそうに奥に入って行かれた。
という事はあの網の中に居たのはやはり・・
ふと店の隅に鯨肉専門店と書かれたノボリが隠すように置かれているのに気付いた。
シーシェパードに文句を言われるから最近は立てないようにしているらしい。
これまでに何度か店の中に乗り込んで来たこともあったそうな。
出来る事なら〆谷氏にもお話を伺いたかったが、奥さんに別れを告げ、店を出た。

次に向かったのは太地町立くじらの博物館
宿である国民宿舎白鯨を出てトンネルを抜けると「あの」入り江があった。

ここでも白人達がビデオカメラで何やら撮影している。
暫く歩き、くじらの博物館に到着。


受付のおねいさんが可愛かったので「仕事何時に終わんの?」と聞こうと思ったがゴンドウの餌にされそうなんで止めといた。




博物館一階にはセミクジラ、シャチ、コククジラ、ホッキョククジラ等の骨格標本があり、二階は鯨類の骨格、臓器、胎児の標本が所狭しと並ぶ。





三階は捕鯨に関する資料や実際に使われた道具が並ぶ。



外に出ると、天然の入り江を囲って巨大な生け簀になっており、バンドウイルカ、オキゴンドウ、コビレゴンドウ、ハナゴンドウが悠々と泳いでいる。



普通の水族館にも有るようなイルカプールにはバンドウイルカとカマイルカ。
別の水槽にはマダライルカが三匹でボケっとしている。
マリナリウムという水族館のような場所にはなんと!2006年に太地で捕獲された腹鰭のあるバンドウイルカが通常のバンドウイルカ達と呑気に泳いでいるのだ。

イルカショー、クジラショーを見た後、イルカにえさやり体験に参加。
職員からシシャモの入ったバケツを渡され桟橋に通されると、待ってましたとばかりに二匹のバンドウイルカが寄って来た。
クリリックリリッギャギャッ!と魚をねだる。
口にシシャモを投げてやると、もう一匹のイルカもくれくれとねだってくる。
二匹に交互に食わせているうちに魚が終わった。
もう無いぞ。と言っても「え~?まだあるんじゃないの~?」といった目で見てくる。
次にビーチでふれあい体験に参加。
腹まであるウェットスーツのような物を着させられ、職員に付き添われ水に入ると、さっきの二匹のイルカが寄って来た。
こいつらはオスとメス。
職員がメスのイルカを撫でていると、もう一匹が吻で俺の足をつついたり、胸鰭でぺしぺしと叩いてくる。
可愛い。
姿形は全く違えども犬や猫と同じだな。
暫く経ってオスが何処かに行き、残ったメスを触らせてもらった。
全身筋肉の塊と言った感じだ。
尾鰭、背鰭は恐ろしく硬く、中に五本の指の骨が入っている胸鰭はもっと硬い。
尾鰭の中心には黒い線が走っており、ここに動脈があり、採血はここからするという。
腹側を見せてもらう。
あちこちにある小さな手術痕のようなモノはダルマザメに咬まれた後。
噴気孔から出る息は生暖かく、噴気孔が開いた瞬間、二つの鼻の穴が見られる。図鑑や標本を見るのも大事だが、実際に生体に触れて見ることで色々と勉強になる。生き物も、女もな。

次にマリナリウムに入る。水槽にトンネル状の通路が通っていて、イルカ達がこっちに寄って来る。
メスのイルカが目の前に現れ、クリリックリリッ?と言うので俺も真似ると、なんかハッとした顔をし、ギュギュ~イ?と言うのでニャ~オンニャ~オンと猫の鳴き真似をしたらウケたらしく、ギャギャッギャギャブギェ~!と爆笑した。
その後もそのメスのイルカはぴったりと付いてくる。通路を進むと腹鰭バンドウイルカが!
出来る事なら写真を撮りたかったが撮影禁止とあるので断念。
なんかボケーっとしている。
暫く見ているとさっきのメスイルカが割り込んできて、窓枠に溜まったゴミを吻ですっ飛ばしてニヤリとする。
壁に取り付けられた画面では腹鰭イルカについての解説映像が流れている。
ふと横から視線を感じ、振り返るとメスイルカがまん丸い顔してこっちを見ている。
んがああああ~!連れて帰りてえ!
またメスイルカと話し込んでいるとオスイルカがぬ~っとしたから現れた。
何のつもりか俺に無言で男根を見せつけて来る!
「やらないか?」とでも言うのか!?
するとメスイルカと何やら口論になり、ボカスカと喧嘩しはじめた。
でも本気で殺りあってたわけではないらしく、暫く経ったら皆で仲良く泳ぎ出した。

見るものは全て見た。
そろそろ宿にもどるか。
もう一度全てのイルカを見て回る。
すると一匹のオキゴンドウがキュキュ~イ?と近づいてきた。腰を下ろし、俺もキュキュ~イと返す。
俺、ずっと遠くからお前たちに会いに来たんだ。
そんな事を念じながらキュキュ~だのブギェ~だの言ってたら通じたのかどうか知らんがギャッギャッと言いながら仰向けになり、胸鰭を振って来た。
ありがとう。みんな元気でな!

土産物屋で色々買う。

「蒼海の勇者シーバトロン」も絶賛発売中だったぞ!
くじらの博物館だからかシャークタイプが無かったが。


2月15日Aシーシェパード

2011-02-16 22:00:00 | 太地町大冒険

数日前、オシャレな靴を買った。
昨日、出発する際、おNEWの靴で行こうかとも考えたが、旅先で何が起こるか解らん。シーシェパードの襲撃を受ける恐れもある。どうせなら履き馴れた靴で行こうと一年ちょっと前に買ったそこそこオシャレな靴で行くことにした。

15日の朝。
昨夜の天気予報では雪が降ったり荒れに荒れるとか言ってたが、そんなことは無かった。
朝7時過ぎからぶらり太地の町を歩く。
そうだ。鯨供養塔へ行ってみよう。
漁港の前を歩く。
銚子の海は何処か黒いというか灰色っぽい。
江ノ島とかあの辺は青い。
そしてこの辺の海は透き通った緑色をしている。
潮風も銚子と比べると生臭さが無く、爽やかだ。



歩いていると突然、足元から奇妙な塊が飛び出した。
?ガンプラの足裏パーツのようなモノ。
なんだコレ?
あ!俺の靴の左足のカカトの部分が取れちゃったんだ!
ま、ぶらぶらしてればコンビニとかあるだろうし、そこでアロンアルファゼリー状でも買って治そう。
ぶらぶらしているウチになんか山道に入ってしまった。
右手に外れたカカトパーツを持ち、よたよたと歩く。靴のカカトが外れただけでこうも歩き難いとは。
薄暗い山道を歩いていると何やら建物が見えてきた。落合博満記念館だった。
落合記念館を素通りし進むと断崖絶壁。

遊歩道を進む。
あちこちに鯨とその解説が書かれた看板がある。
ギクシャクと壊れたゾイドのような足取りで林を抜けると公園があり、目的の鯨供養塔が。


朝日を浴びて輝くセミクジラの像。
古来より太地の人々がクジラを殺し、その肉を食べ生き延び、自分達のために死んでくれたクジラ達の魂に感謝する意志。そして愛情が溢れ出ている。

腹が減ったので宿に戻る。
ギクシャクと変な歩き方をしたせいで右足にばかり負担がかかったか。
足の裏がいてえ・・
通りすがりのおじさんに近所にコンビニは無いか訊ねるが、ずっと先だよと反された。
ぐ・・あぁ・・いてえ・・
漁港を一望できる坂道に出た。
数隻の漁船が勇ましく出漁していく。
ふと図上の細い山道から話し声が聞こえ、振り返ると白人の男女数名が漁船を指差し何事か話している。
シーシェパード、若しくはそのような類いの人々だろうか?
ようやく漁港の前まで戻って来た。
漁港スーパーという店があり、幸いアロンアルファゼリー状も売っていた。
不審者と思われる覚悟で店の前で靴を脱ぎ、カカトパーツを接着。
暫く待つ。
流石アロンアルファ。数分でがっちりと固定された。
ヒーコラヒーコラバヒンバヒンと宿に戻り、朝飯を頂き部屋でゴロゴロする。


2月14日雪の紀州

2011-02-16 21:55:27 | 太地町大冒険

2月14日。
朝五時過ぎのバスで東京へ。
東京から新幹線で名古屋へ。乗り換える電車までかなり時間があるのでしばらく名古屋の街をうろつき、ジュンク堂書店で生き物絡みの専門書を立ち読み。
名古屋駅に戻り、紀伊本線特急南紀に乗る。
終点の紀伊勝浦まで三時間半・・?長い。
途中、三重県では雪が降っていた。
おのれ、なんで俺が旅行行くと天気が荒れるのだ!?
紀伊勝浦からタクシーで目的地である和歌山県太地町へ到着。





以前から来たかったのだ。あちこちにクジラやイルカをモチーフにしたオブジェがあり、この町の人々が如何に鯨類により生かされ、感謝し、愛してきたかが伝わって来る。
太地町と言えば誰もが思い浮かべるであろうシーシェパード(以下SS)問題。
俺もまた漫画家の、モノ書きの端くれだ。
スケベなコトばかりでなく現実に社会問題になっている出来事の最前線に首を突っ込み、そこに何かを見出さねばならない。

タクシーの運ちゃんの話によると、SSは田舎のヤンキーのように駅前に陣取り、度々嫌がらせに来るそうなのだ。
他にも奴等の話を聞かされ、これまで何処か半分、漫画や特撮に出てくる悪の軍団のように直接俺と関わることはないモノと考えていたが、最前線であるここ太地町に来て奴等の存在を初めて肌で感じた。