少し偏った読書日記

エッセーや軽い読み物、SFやファンタジーなどの海外もの、科学系教養書など、少し趣味の偏った読書日記です。

ときどき旅に出るカフェ

2021-01-03 08:33:32 | 読書ブログ
ときどき旅に出るカフェ(近藤史恵/双葉文庫)

少し前に紹介した『マカロンはマカロン』をはじめとする「ビストロ・パ・マル」シリーズを通じてこの作者に興味を持ち、その後、あれこれと読んでみた。推理を軸に多彩な作風の著作があり、特に、自転車競技の世界を舞台にした『サクリファイス』は、その壮絶さに息をのんだが、私の好みは、猿若町捕物帳や、女清掃員探偵のシリーズだ。

その中で、今回紹介するのは、カフェを舞台とする作品。世界各地のお菓子や料理が出てくるので、旅に出たような気分になれるカフェ。飲食店が舞台という点で、『ビストロ・パ・マル』シリーズと重なる部分もある。

主人公はカフェの女主人だが、そこに通う常連の視点で描かれている。30代後半独身女性、という設定が、少しだけくどい感じはあるが、それも含めての作品世界であり、物語としての面白さに貢献している。

全作品を追いかける気力はないが、好きな作品が多い作者。