トーキョー・キル(バリー・ランセット/集英社)
先週と同じ作者による「ジム・ブローディ」シリーズの第二作。
旧日本陸軍の兵士だった老人が主人公の探偵事務所を訪れたとき、すでに死者は8人を数えていた。満州での戦友2人が家族ともども殺されたことに怯え、身辺警護の依頼にきたのだ。
という出だしで始まり、前作と同様、派手なアクションシーンを交えながら、テンポよく物語が進んでいく。
今作では、主人公の美術商としての側面が大きな役割を果たす。実在する禅僧の水墨画や日本刀がキーアイテムになっている。
前作での、大掛かりな陰謀の印象が、今作でも強烈なスパイスのように効いている。中国方面の関係者の描写に、妙なリアリティがある。
さらに全く個人的な感想をひとつ。
おそらく、作者がこの作品で本当に描きたかった部分と思われる、満州での残虐行為。それを読んで、何となく、村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』にある、拷問の場面を思い出した。
この作品は、タフな主人公が痛い目にあいながら事件の真相に近づいていくエンタテインメントだが、もう少し深いところに達しているのかもしれない。
先週と同じ作者による「ジム・ブローディ」シリーズの第二作。
旧日本陸軍の兵士だった老人が主人公の探偵事務所を訪れたとき、すでに死者は8人を数えていた。満州での戦友2人が家族ともども殺されたことに怯え、身辺警護の依頼にきたのだ。
という出だしで始まり、前作と同様、派手なアクションシーンを交えながら、テンポよく物語が進んでいく。
今作では、主人公の美術商としての側面が大きな役割を果たす。実在する禅僧の水墨画や日本刀がキーアイテムになっている。
前作での、大掛かりな陰謀の印象が、今作でも強烈なスパイスのように効いている。中国方面の関係者の描写に、妙なリアリティがある。
さらに全く個人的な感想をひとつ。
おそらく、作者がこの作品で本当に描きたかった部分と思われる、満州での残虐行為。それを読んで、何となく、村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』にある、拷問の場面を思い出した。
この作品は、タフな主人公が痛い目にあいながら事件の真相に近づいていくエンタテインメントだが、もう少し深いところに達しているのかもしれない。