世界を支えるすごい数学(イアン・スチュアート/河出書房新社)
数学が、この世界の森羅万象をいかによく説明するか、をテーマとする著作。2020年12月に紹介した『神は数学者か?』と同趣旨だが、本書は、宇宙の構成原理としての数学というよりは、より実用的な数学の応用例を紹介している。
筆者はイギリスの数学者で、数学に関する一般向けの本を多数書いている。私は『世界を変えた17の方程式』を読んだことがある(というか、ざっと眺めただけ。)が、ある程度の規模の図書館で数学書のコーナーを探せば、多分、この人の本が見つかると思う。
何の役にも立ちそうにない、脳の戯れのような数学が、思いがけない分野で応用されている。帯で紹介されている例は、フェルマー×暗号、四元数×CG、カオス理論×品質管理、トポロジー×防犯 など。
本書で私が特に感銘を受けたのが、複素数に関する説明。iを理解するのに複素平面を持ち出して、iを90度の回転と考える、というふうな理解で、2乗するとマイナスになることの違和感をなだめてきたと思う。が、複素数は2元数(2つの実数を組み合わせた数)であり、実数の延長で自然な四則演算を定義すれば、必然的に
(0,1)×(0,1)=(ー1,0)
が導かれる、という説明を読んで、目からうろこが落ちる思いがした。
いずれにしても、「数学なんて社会に出て何の役に立つの」という問いに対する回答にはなっている。(そういう人は読まない気がするが。)
数学が、この世界の森羅万象をいかによく説明するか、をテーマとする著作。2020年12月に紹介した『神は数学者か?』と同趣旨だが、本書は、宇宙の構成原理としての数学というよりは、より実用的な数学の応用例を紹介している。
筆者はイギリスの数学者で、数学に関する一般向けの本を多数書いている。私は『世界を変えた17の方程式』を読んだことがある(というか、ざっと眺めただけ。)が、ある程度の規模の図書館で数学書のコーナーを探せば、多分、この人の本が見つかると思う。
何の役にも立ちそうにない、脳の戯れのような数学が、思いがけない分野で応用されている。帯で紹介されている例は、フェルマー×暗号、四元数×CG、カオス理論×品質管理、トポロジー×防犯 など。
本書で私が特に感銘を受けたのが、複素数に関する説明。iを理解するのに複素平面を持ち出して、iを90度の回転と考える、というふうな理解で、2乗するとマイナスになることの違和感をなだめてきたと思う。が、複素数は2元数(2つの実数を組み合わせた数)であり、実数の延長で自然な四則演算を定義すれば、必然的に
(0,1)×(0,1)=(ー1,0)
が導かれる、という説明を読んで、目からうろこが落ちる思いがした。
いずれにしても、「数学なんて社会に出て何の役に立つの」という問いに対する回答にはなっている。(そういう人は読まない気がするが。)