惠子が、倒れたァ!! くやしい! くそっ!

果たして、この先どうなるのか。そのドキュメント。

咳き込む惠子。加湿器を買う。

2014-02-02 16:57:10 | ケイ子、倒れる。

2月2日・土曜日

午後、陵太郎来る。

血糖値検査のアダプター(これが高い)を買うために薬局へ、
ティッシュ(大量に必要)や惠子が食べたいというもの
(イチゴ・リンゴ・ヨーグルトなど)を
買いに彼の車でスーパーを2軒回る。


退院時に看護婦さんから肺炎や気管支炎には特に注意するよういわれた。
のどをゴロゴロさせていた。始終、痰を絡めたいた。
水を飲むとすぐにむせた。とろみをつけて飲まされていた。
それでもむせる。苦しそう。痰を切るためにティッシュが手放せない。

水が肺に入ると、簡単に肺炎を起こしますよ。とのこと。心配だ。

乾燥しているのも禁物と加湿器を買った。2,500円也。


惠子の、奇跡。

2014-02-02 15:50:23 | ケイ子、倒れる。

2月1日・金曜日

ベッドから車いすに乗せて、惠子をトイレに連れて行く。
脳内出血を7,8年前に起こしている私。右半身にしびれがある。右足を引きずっている。
旅行時の重い荷物は、いつも彼女が引き受けてくれていた。
そんな私に惠子を持ち上げるのは無理。

当初は、いざとなったら負ぶってでもトイレに連れて行く。そう決心していたが、とんでもない。
ほんの手助けしか出来ない。彼女自身が体を動かして、車イスの乗り降りをしなければだめだ。
ほんの数センチ足を動かそうとするがだめ。気を集中して何度もトライする。
腰を浮かせる。体位を入れ替える。足を持ち上げる。
手すりに手を伸ばしつかまる。力を込めて体を持ち上げる。
一度で出来ず、何度も何度もトライしてやっと一つの動作をする。
もどかしい。信じられない。まるで、芋虫のような動き。
見ているのがつらい。本人が一番くやしいだろう。

つい2週間ほど前は、惠子さん67歳には見えない。若いわよ。誰からも言われていた。
明るく、溌剌としていた惠子。魅力的な惠子。どこに行った。

午後から打ち合わせに行った。帰宅したのは、5時頃。
玄関の扉を開けると薄明かりの中で、惠子が一人車いすに乗っていた。
手前にコート掛けが倒れている。何が起こったのか、すぐわかった。

電気のブローカーが落ちたのだ。

3.11の震災時に何が出来るかと、40アンペアから20アンペアにした。
TV、エアコン、コーヒーメーカー、電子レンジ、これらを同時に使うと、すぐブローカーが落ちた。

介護ベットや暖房器具の使いすぎでブローカーが落ちたのだ。それを惠子が直した直後だった。
ベッドに横になっていた惠子が。どうやって車いすに乗ったのか。
手動式でないので、足で漕いできたとのこと。トイレにも一人で行ったとのこと。
びっくりした。一人でトイレに行けたなら、もう安心。そう思った。

一体どうやったの? 再現して見せてと行ったが出来なかった。

惠子が一回限りの奇跡を行ったのだ。

電気が切れては暖房器具は使えない。一人凍えていなければならない。
すぐに40アンペアに戻したいと東電に電話した。


7種目類ののクスリを朝用・昼用・夜用と小分けした。思いの外複雑。何度かやりなおした。

土日はどこにも行かず、一緒にいることにした。


退院一日目から、惠子を転倒させてしまった。

2014-02-02 11:08:22 | ケイ子、倒れる。

1月30日・木曜日

ついに退院の日だ。
朝9時に介護用品を扱う業者に、介護用ベッド、車イス、歩行器を
持ってきてもらう。

11時少し前に病院に着く。まず文書課にゆく。
「デイサービスに関する意見書」「運動器機能向上トレーニングに着いての意見書」
「訪問看護指示書」を提出。主治医に書いてもらうとのこと。
これがなければ、何事も始まらないとケア・マネージャーからくどく念を押されていた。

次いで看護婦からの注意事項。
薬剤師から、忘れずに朝昼晩と必ず飲ませて下さいと念を押される。
一通りそれらの講義受けてから、会計課へ。
10万円ほどだったので半額支払う。残りは次回治療に来たときに払うとした。
この先いくら費用がかかるのか不安。

私らには年金受給資格ない。掛け金を払ってこなかったのだ。
これを言うと誰もがびっくりする。
30代半ばに個人で事務所を構え、年金の意味も知らなかった。
馬鹿だとみんなに言われる。自業自得。
年金をもらえない人は、全国で一体何人いるのだろうか。

陵太郎から、急遽、社長とお得意さんに行くことになった。病院に行かれないと連絡あり。
病院の車イスでタクシー乗り場へ。4千円は掛かると思っていたら、2,600円だった。意外と安い。
最近タクシーなどに乗ったことがないので、感覚が分からないのだろう。

運転手さんが手慣れた人で、惠子を車イスに乗せてくれた。
結構力があり、これなら大丈夫ですよ。それは嬉しいコメント。

部屋に車イスを入れた。歩行器に掴まり、惠子が立ち上がる。
わりかししっかりしている。ホッとした。
その瞬間、惠子の体が沈んだ。倒れた。
スローモーションのようにゆっくりと腰から砕けた。アッと声を上げた。

派手な音を立てて、下駄箱の下にうずくまっている。
打ち付けたのかアタマを押さえている。
焦った。果たして私の力で立ち上がらせる事ができるのか。
一緒になって倒れてしまうのでは。
家では二人きり。二人が一緒に転んでしまっては大変ですよ。
誰も助けてくれる人いませんよ。という看護婦の忠告がよぎる。

なんとか、引っ張り上げて、歩行器にしがみつかせる。
何度目かのトライで、やっとの思いで立ち上がる。二本足で立った。第一関門通過。
惠子の体に手を当て、支えながら、歩行器を操り、ふらつきながらベッドに連れて行く。

どのようにベッドに横にしたのか、覚えていない。
彼女の体は重い。トイレにどうやって連れて行く?  一人で用を足せるのか?  

退院一日目から、惠子を転倒させてしまった。

暗澹たる気分。 
ため息をつく。