ナチュラルな暮らし

穏やかな日常の一コマ

初秋の八島湿原

2023-09-18 | 自然観察

「マツムシソウ」を見た「八島湿原」の続きです。ここには他にたくさんの花が咲いていました。とても目立っていたのは秋に咲く「サラシナショウマ(晒菜升麻)」です。この名前は若葉を晒して茹で食用にしたことから名づけられ、根は升麻として生薬で使われたそうです。長いブラシのような白い花穂があちこちで群生していました。

     

  

     

 

続いて野菊の仲間…「ユウガギク(柚香菊)」…微かに葉をもむとユズの香りがする(?)そうです。

  

 

こちらは「シラヤマギク(白山菊)」…その名の通り、白い色で山に生える菊の意味で名づけられています。

  

 

「ノコンギク(野紺菊)」…花の色は白やピンクがかったものから紺色に近いものまであるようです。

  

 

「ゴマナ(胡麻菜)」はシオンの仲間で、胡麻の葉に似ていて食用になるので胡麻菜となったようです。

  

 

秋の花では「アキノキリンソウ(秋の黄輪草)」…花がベンケイソウ科の「キリンソウ」に似ている所から名前を借用したそうです。秋に咲きます。

  

 

黄色の秋の花はこの「オミナエシ(女郎花)」と「キンミズヒキ(金水引)」も咲いていました。

   

 

黄色の花続きで夏の花ですが「ハンゴンソウ(反魂草)」…特定外来種の「オオハンゴンソウ」より花は小さいです。それに「キツリフネ(黄釣舟)」です。

  

 

ピンク系の花では「タチフウロ(立風露)」→「ハクサンフウロ(白山風露)」→「アサマフウロ(浅間風露)」の順に花色が濃くなっているようです。

  

 

「フタバハギ(双葉萩)」と「ヤマラッキョウ(山辣韭)」の花も咲いていました。

  

 

夏の花「ヤナギラン(柳蘭)」…葉が柳のようで、花が蘭に似て美しいのでこの名前が付けられたようです。咲いている花、終盤の花、種が綿毛になっているものもがありました。

     

  

 

「ワレモコウ(割木瓜、吾亦紅、我木香)」は秋の花…名前には諸説あるようです。「ススキ」も生い茂っていて、「ススキ」と「ワレモコウ」の風景にしみじみと秋を感じました。

     

  

     

 

アザミもたくさん咲いていました。「ノハラアザミ(野原薊)」と大きな「ヤツタカネアザミ(八高嶺薊)」それに「タムラソウ(多紫草、田村草)」です。

     

  

     

 

こちらは「ハバヤマボクチ(葉場山火口)」…屋根葺き用の茅を育てる葉場山に自生する火熾し(火口)用の草の意味だそうです。もう花が終わっていました。

     

  

 

青系の秋の花では「リンドウ」…ここに咲いているのは「エゾリンドウ(蝦夷竜胆)」だそうです。

     

  

 

同じく青い「トリカブト」…ここに咲くのは「ツクバトリカブト(筑波鳥兜)」です。鳥兜は雅楽の奏者がつける冠のことで、花の形が似ているからつけられた名前です。

  

 

こちらの薄青色の花は「ヤマハッカ(山薄荷)」…薄荷は日本在来の香草です。

  

 

他にもたくさんの花があったのですが、載せきれません…「アキノウナギツカミ(秋の鰻掴み)」…これは茎に下向きの棘があって、ウナギも滑らずに掴めると想像されたようです。「ヨツバヒヨドリ(四葉鵯)」がまだ咲いていました。

  

 

秋になって「ノリウツギ(糊空木)」の花色が赤く染まってきていました。この樹皮から糊をとったそうです。

  

 

白い花ですが「イタドリ(虎杖)」の花が咲き、「ノダケ(野竹)」はもう花の後でした。

  

 

白い花がまだありました。「ノコギリソウ(鋸草)」は葉が鋸の歯のようです。「クサキョウチクトウ(草夾竹桃、花魁草、フロックス)」がここにあるのは意外でした。明治期に日本に入ってきた花で牧野植物図鑑にも庭に植えられていると記載されているのですが…

  

 

「ヤマハハコ(山母子)」の花もあちこちにたくさん咲いていました。

  

 

この湿原に馴染んだ風景となって咲いていたのは「イワショウブ(岩菖蒲)」…これはユリ科ですがサトイモ科のショウブに葉が似ていることから付けられた名前だそうです。湿地に生えることが多く岩場に自生しているわけでは無いのにイワの名がついています…

     

  

 

ここにいたチョウはほとんど「ウラギンヒョウモン」でした。たくさん出会いました。

     

  

  

 

最後にこの湿原を一周している木道と草紅葉の始まっている「八島湿原」の風景です。

  

     

 

体調も心配で少しだけ歩くつもりでしたが、たくさんの花に誘われて結局この湿原を一周してしまいました。でもゆっくり歩いて自信も付きました。この日の歩数は6542歩でした…

 

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八島湿原のマツムシソウ

2023-09-17 | 自然観察

今年は「マツムシソウ」をじっくり見ていなかったと思い、まだ咲いているかしらと「八島湿原」へ行ってみました。いつもは上諏訪から「霧ヶ峰」の「強清水」経由で行くのですが、今回は「和田峠」経由で行ってみました。「和田峠」の旧道を行って古い和田トンネルを越えました。このトンネルは昭和8年完成(当時は日本一標高が高いトンネルだったそうです)で、狭いので信号で交互通行になっています。

      

  

     

 

「八島湿原」はもう秋が始まっていました。湿原の「草紅葉(くさもみじ)」にその秋の訪れを感じる湿原の風景でした。向こうに見えるのは「車山」です。

     

  

     

 

こちらは「草紅葉」の始まりの風景のその先にある「鷲ヶ峰」…春に登った山ですが、その向こうに北アルプスは望めるなかなか良い山です。一足早く、秋を感じる湿原風景を堪能しました。

     

     

 

さて目的の「マツムシソウ」です。この花は一応秋の花になっていますが、今では夏の終わり(旧盆の頃)には咲いています。ここではそれでもたくさんの「マツムシソウ」に出会えて嬉しかったです。

     

  

     

 

「八島湿原」の入り口にある案内所でお聞きした群生地に行ってみましたが、そこはもう花が末でした。花後のまあるい実も可愛らしいです。

  

     

 

この「マツムシソウ」の名前の由来は秋の「マツムシ(松虫)」がなく頃に咲く花という説、花後の実が巡礼の方が鳴らす「松虫鉦(かね)」に似ているという説、花の咲く形が「松虫鉦」に似ているという説があるそうです。この花にここでは「ウラギンヒョウモン」が集まっていました。

     

  

     

       

 

もうすっかり「ススキ」の季節になっている湿原周囲でした。遊歩道の周囲も秋の雰囲気でした。遠くに望む「御射山社」周辺もススキが原の様相でした。

  

 

帰り道は「強清水」のスキー場からか「上諏訪」へ向かって降りてきました。以前は「マツムシソウ」も高原の花々も咲いていた「強清水」のスキー場周辺も、今ではすっかりススキに覆われてしまっています。空にもすっかり秋の雲…高原はもうしっかり秋の雰囲気でした。

  

     

 

目的の「マツムシソウ」に出会えた秋の一日(9/ 7)でした。他にもたくさんの花に出会いましたので次に続きます…

 

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牛伏川初秋の自然観察会②

2023-09-12 | 自然観察

「牛伏川初秋の自然観察会」の続きです。まずは初秋の「フランス式階段工」から…まだまだ暑い日で緑の木々の中を流れ落ちる階段工の水が爽やかに見えました。

     

 

さて、初秋の牛伏川周辺は実りも見られる時期になってきています。木々の実では「ヤマボウシ」…これは赤く熟すと甘みがあって食べられます。地面にもたくさん落ちていました。「マタタビ」も緑の実をつけ、「ツリバナ」が赤い実をつけていました。

  

  

 

「ミズキ」がたくさん実をつけ、黒く熟しているものもありました。「コブシ」は拳のような実をつけ、「バライチゴ」の実もついていました。バライチゴは食べられますが余り美味しくありません。

  

  

 

「コナラ」のドングリもたくさん実をつけていました。そして落ちているドングリ…これはまだ青いドングリに穴をあけて卵を産み付け、枝ごと切って落とす「ハイイロチョッキリ」という虫の仕業のようです。(小さな穴が確認できました) 幼虫はこのドングリを食べて大きくなって出てくるようです。

     

 

実がついていたのは他に「イタチササゲ」…これはササゲ(豆)のような実がついていました。「ウバユリ」も実りの時です。この中にたくさんの種が入っています。「ヌスビトハギ」の実にも注目でした。これは近くを歩くと衣類にくっついてきます。(ひっつき虫と呼ばれます)

  

     

 

次に昆虫たちです。まず「オニヤンマ」の産卵風景…小川が流れ湿地のところに産卵していました。見にくい写真ですが…止まっているのでなくお腹の先を垂直に突き立てて浅い水中の泥の中に卵を産んでいるようです。オニヤンマは日本最大のトンボ…羽を震わせながら体を垂直に保って、なかなか迫力ある姿でした…

     

 

トンボは他にも「アキアカネ」や「イトトンボ」が見られました。トンボが飛び交う初秋の牛伏川流域でした。

  

     

チョウは「ジャコウアゲハ」と「クロアゲハ」でしょうか…近くで撮れずこんな写真ばかりです…

  

  

     

 

キタキチョウ」→「スジボソヤマキチョウ」(と教えていただきました。)と「コミスジ」にも出会いました。こんなクモの巣にも…

  

  

 

こちらは牛伏川へ行く道、東山山麓線で出会った田園風景です。稲も実りの時を迎えて稲穂が重くなってきていますし、秋ソバの花が咲き出していました。葡萄も実りの時です。これはワイン用のブドウのようです。

  

  

     

 

今年、塩尻市の小坂田公園にある道の駅に産直のお店がオープンしたので立ち寄ってみました。「小坂田マルシェ790」の790はこの場所の標高です。地元産の美味しいものが並ぶおしゃれなお店でした…

     

 

今回の「牛伏川自然観察会」では花も実も昆虫もたくさん見られ、充実した初秋の一時が過ごせました…

 

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牛伏川初秋の自然観察会①

2023-09-12 | 自然観察

牛伏川の観察会にいつも参加しています。一年に春と夏(初夏)と秋(初秋)、それに紅葉の木々の観察会があって、今回は秋の観察会です。この時期に目を引くのは「アケボノソウ」です。「アケボノソウ」は「曙草」の名前のようにその白い花の色を夜が穏やかに明けはじめた空の白みになぞらえ、花びらの斑点はその空に残る星に見立てています。

     

  

 

次に注目はこの「ワスレナグサ」です。水辺にひっそりと咲いていました。

     

 

「ジイソブ(ツルニンジン)」はこの根が朝鮮人参に似ているからだそうです。「ソブ」はそばかすのことで、似た花で花冠の内側の斑点を老婆のそばかすに見立てた「バアソブ」があります。それに対してこちらは「ジイソブ」と名付けられたようです。

     

  

 

ここでは「フシグロセンノウ」も見られます。緑の木陰で朱色の花がとても目立ちます。名前の由来は茎の節が黒いことから来ているようです。

     

  

 

きれいな色の「シデシャジン」も目立っていました。名前の由来はしめ縄や玉串に漬ける白い紙(四手)のように花が裂けているからだそうです。

    

 

小さな花では「ナンバンハコベ」…花が終わると丸い種が飛び出してきて可愛らしいです。

     

  

 

ここには「オミナエシ(女郎花)」は見かけないのですが、「オトコエシ(男郎花)」は咲いています。  

  

 

「オトギリソウ」が咲いていました。この花を巡って対立した兄弟…兄が弟を切りつけたという悲話が残っています、この葉の斑点はその血の跡とも言われています。

  

 

「ミゾソバ」と「タニソバ」は似た花ですが、葉が茎に巻き込んでいるのが「タニソバ」(手元の右)です。

  

 

「ミズヒキ」が風に揺れている様がステキでした。「キンミズヒキ」も咲いていました。

     

  

  

 

「ツリフネソウ」がたくさん咲いていました。「キツリフネ」も見られました。

  

     

 

「アカソ」と秋の七草のひとつ「ハギ」、それに「イタドリ」も花盛りでした。「ムカシヨモギ」はもう花が終わっていました。

   

   

 

「ゲンノショウコ」と「キリンソウ」が咲いて名残の花を見せてくれていました

  

 

最後の「タマアジサイ」の花…もうほとんど終わってしまっていました。「シシウド」の花も名残です。

  

 

夏の花の名残と秋の花が混在している牛伏川流域でしたが、たくさんの花に出会えて良かったです。この日の歩数は5029歩でした…

   

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緑に光る苔~唐櫃石古墳~

2023-09-09 | 自然観察

市内に「唐櫃石(からうといし)古墳」があって、そこの石室に「ヒカリゴケ」が見られるとのことで行って見ました。まずはその「ヒカリゴケ」です。薄暗い石室内でその苔は幻想的な緑色の光を放っていました。

     

     

 

この古墳は諏訪湖の北側の高台にあって、幅1.7m、奥行き5.7 mほどの横穴式石室があります。その中にヒカリゴケがあって輝いていました。古墳の案内はこちらです。

     

     

 

石室内では「ヒカリゴケ」と共に「ベンガラ」に染められた石にも注目でした。

     

     

 

「ヒカリゴケ」の美しさと共に古墳時代のこうした「ベンガラ」の色が残っているのにも感激して見てきました。丁寧な説明もありました。

     

 

もう一度美しい「ヒカリゴケ」の世界を見て下さい。今では少なくなっていて準絶滅危惧種になっているそうです。

     

     

     

     

 

この場所は高台にあって「諏訪湖」が眼下に見えます。遠く富士山が望める地です。もう秋の「ススキ」がたくさん穂を出して揺れていました。

     

     

      

 

近くにいながら初めて見学した「唐櫃石古墳」…ヒカリゴケとベンガラ色の美しい古墳でした…   

 

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