「マツムシソウ」を見た「八島湿原」の続きです。ここには他にたくさんの花が咲いていました。とても目立っていたのは秋に咲く「サラシナショウマ(晒菜升麻)」です。この名前は若葉を晒して茹で食用にしたことから名づけられ、根は升麻として生薬で使われたそうです。長いブラシのような白い花穂があちこちで群生していました。
続いて野菊の仲間…「ユウガギク(柚香菊)」…微かに葉をもむとユズの香りがする(?)そうです。
こちらは「シラヤマギク(白山菊)」…その名の通り、白い色で山に生える菊の意味で名づけられています。
「ノコンギク(野紺菊)」…花の色は白やピンクがかったものから紺色に近いものまであるようです。
「ゴマナ(胡麻菜)」はシオンの仲間で、胡麻の葉に似ていて食用になるので胡麻菜となったようです。
秋の花では「アキノキリンソウ(秋の黄輪草)」…花がベンケイソウ科の「キリンソウ」に似ている所から名前を借用したそうです。秋に咲きます。
黄色の秋の花はこの「オミナエシ(女郎花)」と「キンミズヒキ(金水引)」も咲いていました。
黄色の花続きで夏の花ですが「ハンゴンソウ(反魂草)」…特定外来種の「オオハンゴンソウ」より花は小さいです。それに「キツリフネ(黄釣舟)」です。
ピンク系の花では「タチフウロ(立風露)」→「ハクサンフウロ(白山風露)」→「アサマフウロ(浅間風露)」の順に花色が濃くなっているようです。
「フタバハギ(双葉萩)」と「ヤマラッキョウ(山辣韭)」の花も咲いていました。
夏の花「ヤナギラン(柳蘭)」…葉が柳のようで、花が蘭に似て美しいのでこの名前が付けられたようです。咲いている花、終盤の花、種が綿毛になっているものもがありました。
「ワレモコウ(割木瓜、吾亦紅、我木香)」は秋の花…名前には諸説あるようです。「ススキ」も生い茂っていて、「ススキ」と「ワレモコウ」の風景にしみじみと秋を感じました。
アザミもたくさん咲いていました。「ノハラアザミ(野原薊)」と大きな「ヤツタカネアザミ(八高嶺薊)」それに「タムラソウ(多紫草、田村草)」です。
こちらは「ハバヤマボクチ(葉場山火口)」…屋根葺き用の茅を育てる葉場山に自生する火熾し(火口)用の草の意味だそうです。もう花が終わっていました。
青系の秋の花では「リンドウ」…ここに咲いているのは「エゾリンドウ(蝦夷竜胆)」だそうです。
同じく青い「トリカブト」…ここに咲くのは「ツクバトリカブト(筑波鳥兜)」です。鳥兜は雅楽の奏者がつける冠のことで、花の形が似ているからつけられた名前です。
こちらの薄青色の花は「ヤマハッカ(山薄荷)」…薄荷は日本在来の香草です。
他にもたくさんの花があったのですが、載せきれません…「アキノウナギツカミ(秋の鰻掴み)」…これは茎に下向きの棘があって、ウナギも滑らずに掴めると想像されたようです。「ヨツバヒヨドリ(四葉鵯)」がまだ咲いていました。
秋になって「ノリウツギ(糊空木)」の花色が赤く染まってきていました。この樹皮から糊をとったそうです。
白い花ですが「イタドリ(虎杖)」の花が咲き、「ノダケ(野竹)」はもう花の後でした。
白い花がまだありました。「ノコギリソウ(鋸草)」は葉が鋸の歯のようです。「クサキョウチクトウ(草夾竹桃、花魁草、フロックス)」がここにあるのは意外でした。明治期に日本に入ってきた花で牧野植物図鑑にも庭に植えられていると記載されているのですが…
「ヤマハハコ(山母子)」の花もあちこちにたくさん咲いていました。
この湿原に馴染んだ風景となって咲いていたのは「イワショウブ(岩菖蒲)」…これはユリ科ですがサトイモ科のショウブに葉が似ていることから付けられた名前だそうです。湿地に生えることが多く岩場に自生しているわけでは無いのにイワの名がついています…
ここにいたチョウはほとんど「ウラギンヒョウモン」でした。たくさん出会いました。
最後にこの湿原を一周している木道と草紅葉の始まっている「八島湿原」の風景です。
体調も心配で少しだけ歩くつもりでしたが、たくさんの花に誘われて結局この湿原を一周してしまいました。でもゆっくり歩いて自信も付きました。この日の歩数は6542歩でした…