「鹿男あおによし」読了
関東某所にある大学の研究室で働いていた28歳の青年が、神経衰弱というレッテルを張られ、体よく奈良の女子高へ追いやられる。
奈良へでは突然鹿に話しかけられ物語はそこから始まる。
地下には大鯰がいて、頭を鹿島大明神がおさえ尻尾を奈良京都大阪でおさえてるって。
その奈良京都大阪は鹿と狐と鼠が鎮めに儀式を60年ごとに行う。なぜかって、緩むから。
こんな荒唐無稽な物語。
ドラマ化されたが、そのドラマが私のドラマ人生で一番のドラマ。
原作とドラマの大きな違い。
主人公の同僚の藤原君が男性から女性(綾瀬はるか)に変わった。これだけでただのファンタジーではなくロマンスも加わったので大成功。この藤原に大きな役目を担わせて奥行が広がったようだ。
原作とドラマ、比べると原作は野暮ったく感じるが、細かい部分のユーモアは癖になる。
排泄と生殖のくだりを鹿が主人公に説くあたりや、松尾芭蕉の句をもってくるあたりはドラマでは省かれたが良かった。
剣道の試合は著者も語るようにドラマ・映像が勝る。
最後のリチャード(児玉清)を追い詰めるあたりや堀田イトとの別れのシーンもドラマが勝った。
ただ、原作がなければドラマは誕生しなかったのが事実だし、原作を愛してくれたスタッフのおかげでより良いものが完成したと思う。
私はこの原作本だけでなくDVDとサントラCDも持っている。
それだけこの作品を気に入っている。
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